Apple、iPhoneのために中国YMTC(長江ストレージ)と3D NANDフラッシュメモリチップ購買交渉中

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Appleの全てのiPhoneは、中国(大陸、内地)と深い関わりがあります。しかしこれまでは組立の殆ど全てと一部の加工という、あまりお金が落ちないところばかりが中国で行われていて、SoCやカメラ、ディスプレイや多くのチップなどの部品は台湾を含む中国大陸地区外のところから購買されていました。しかしだんだんその状況は変わってくるのかもしれません。

iPhone-LogicBoard

BOE(京東方、京东方)が今後iPhoneの有機ELディスプレイ(OLED)を供給することが決定したという情報もありましたが、今回更にYMTC(Yangtze Memory Technologies、長江存儲科技、长江存储科技、日本では長江ストレージとも)がAppleにNANDフラッシュメモリを供給することになるかもしれない、というニュースが入ってきました。

Apple、中国のYMTC(長江ストレージ)とNANDフラッシュメモリチップの購買について交渉

YMTC-logo

日経新聞の水曜日の報道によると、Appleは中国のYMTCと商談に入り、将来的にNANDフラッシュメモリチップを購買することについて話し合っているといいます。そしてそのNANDフラッシュメモリチップの用途はもちろんiPhoneのことと思われます。双方が合意に至った場合は、iPhoneが初めて中国(大陸・内地)のメモリチップを採用することになります。

YMTC(長江ストレージ)とは

このYMTCは湖北省の省都武漢市にあり、もともとは武漢新芯集成電路製造(XMC)という会社で、そこに清華紫光集団などのいくつかの会社が240億ドルを出資して2016年に設立された会社です。なお、XMCには中国が国家レベルで半導体産業の発展を支援するためのファンド、「国家集積回路産業投資ファンド」も投資していることから、国家レベルのプロジェクトの1つともいえます。

YMTC

同社設立当時の計画としては、2018年に64層3D NANDフラッシュメモリを量産すること、という目標が掲げられていましたが、既に2017年には32層積層の3D NANDフラッシュメモリの研究開発に成功しています(実際のところはサムスン西安の技術のコピーといわれています)。現在のところ、まだサムスン(SAMSUNG)やSKハイニクス(SKhynix)の64層3D NANDフラッシュメモリとはレベルの差があるものの、もしAppleの受注をとったとしたら、これは同社だけではなく、中国の半導体業界として1つの大きなマイルストーンとなる出来事となりそうです。

そして、もし最終的に両社が合意に至った場合は、Appleにとって初めて中国(大陸・内地)メーカーからメモリチップを購入するということになります。そしてYMTCにとってみれば、これは非常に大きな業績と収入になります。初期発注量は恐らくそれほどの量にはならないとみられますが、世界でも屈指で最大級のチップバイヤー企業、Appleの受注をとれたら、設立たった2年以内の会社としては画期的な業績を残すことになります。

YMTCからのNANDフラッシュメモリチップの購買は早くても2019年から?

ただ、業界内部の人物は、Appleの発注量の多さと現在のYMTCのキャパを考慮すると、もし実際に契約が成立したとしても、2019年にならないと供給は始まらないとみています。一部の専門家は、2020年にならないと無理ではないかとみています。

Appleは現在4社から購買、世界の需要の15%を占めるバイヤーに

現在、AppleはNANDフラッシュメモリチップを日本の東芝や、ウェスタンデジタル(Western Digital)、SKハイニクスやサムスンから購買しており、Apple社1社だけでNANDフラッシュメモリチップとして世界の需要の実に15%を占めるほどの圧倒的な量を持ちます。

NANDフラッシュメモリチップとは

ちなみに、このブログをご覧になっている方はほとんどおわかりのこととは思いますが、念のため。。NANDフラッシュメモリチップは、いわゆるiPhoneやiPadでモデル選択の時に64GB・128GB・256GBと表示されている容量を指している部分、つまり普段ユーザのデータを保存しておく内蔵ストレージに使われるものです。

記事は以上です。

(記事情報元:Patently Apple

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