Apple、マップをiOS 12から自社測定データに順次置き換え。真の目的は?

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米Apple社は、次期iOSのiOS 12から、iOS標準マップアプリの地図データを、自社独自で測定し集めたデータに置き換えていくことが、9to5Macによって報じられています。

リリース当時からずっと不評だったAppleのマップアプリ

Appleのマップは、リリース当時から不評でした。Apple自身がマップのデータを集めているわけではないので、基本的には既存のマップデータを持つサードパーティから購入してそれをアプリに反映させているのです。それがアメリカではそこそこいいレベルに行っていたのですが、特に日本やイギリス、中国などの国では、それぞれの国の移動手段の違いによる需要の違いに対応できず、また反映の基準の設定を間違ったと思われるデータの反映方法によって、日本では

  • パチンコガンダム駅が登場
  • 尖閣諸島が2つある
  • 羽田空港が大王製紙に
  • 東京都公文書館が海の中に

など奇怪なことが発生して大混乱していました。Appleはこんなにも目立つ問題も把握せずにリリースしたのは、明らかに拙速だったといえます。

パチンコガンダム駅

その結果、Appleのティム・クックCEOが公式に謝罪させられるほどに追い込まれたり、当時のiOS(iOS 6まで)担当のトップ、スコット・フォーストール(Scott Forstall)SVP(上級副社長)が更迭されるなど、ちょっとした騒ぎになりました。

現在でも日本などアメリカ以外でのApple標準マップはまだまだデータが少ない上にカスタマイズされていないため使いづらく、誰もが中国以外ではGoogle Maps(グーグルマップ)を使用している状況だと思います(中国でもAppleのマップは全然ダメで、Google Mapsは通常アクセス制限がかかっているので、百度か高德か腾讯の3択くらいかと)。

Apple、iOS 12からマップを順次自社収集データに置き換え

さてそんな中、Appleが次期iOSのiOS 12から、自社が測量・撮影用の自動車で集めたデータに切り替えていくという情報が流れました。実際、アメリカではAppleのマップデータ測定用のバンが走っているのが目撃され、撮影もされています。

Photo by 9to5Mac

コンテンツ制作経験の少ないApple、地図内製化には一抹の不安も

正直、AppleはこれからAppleが1から集めたデータのみに切り替えるというので、かなり不安を感じるところです。というのも、Appleは箱や枠を作るのを得意としてきた会社で、自社でコンテンツを作ってきた経験はほぼないからです。しかも、この地図データというのは一回集めたら終わりではありません。間断なくデータを集め、そしてそれを非常に早い周期で実際の地図データに反映していかなければなりません。そこには莫大なヒト・モノ・カネを投入する必要があるからです。

Appleが地図内製化するのには別の目的があるかも

しかしAppleがわざわざ不慣れなコンテンツ作りに手を出してまで、マップの改善に乗り出したのは、当然別の目的があるからでしょう。自動運転技術を作って売るために、マップデータを自社で構築することで、その自動運転経験を積むという相乗効果を狙っている可能性が最も高いといえるでしょう。また地図データはドローンによる空撮でも集めるということで、ドローン技術についてもAppleは研究し、将来的な製品に繋げようとしているのかもしれません。

既にiOS 12ベータ版ではサンフランシスコのベイエリアのみ自社データに置き換わっている

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Image by 9to5Mac

そして、実際リリースされているデベロッパ向けのiOS 12ベータ版(デベロッパプレビュー版)では、このAppleが収集したデータによって更新されたAppleマップを確認することができます。

現在のところ、サンフランシスコのベイエリアのみ、Appleが収集したデータに置き替わっています。上の画像を見ると、左側がこれまでのApple Maps、右側が新しく置き換えられたマップで、確かに縮尺を大きくしている状態でも、地形や道などがかなり細かくデータが反映されていることがわかります。いずれこれがアメリカ全土、そして世界各国に広まっていくものと思われます。日本がいつになるかはわかりませんが。。

小龍のひとりごと

中国を除く世界的にはGoogle Maps一強となっている現状に風穴を開けることができるのでしょうか?

マップの測量とデータの反映を世界に展開するとなると、大変な量のデータを自社で扱うことになり、しかも莫大なマンパワーを必要とします。しかも、一回作っただけではなく、その後の間断ない長期的なフォロー(更新や誤りの修正)が必要となってきます。

地図データは一般消費者相手には無償で提供されるもので、Appleは恐らくBtoBで今後集めたデータを売っていくとは思いますが。。Appleの本当の狙いはそこではなく、今後やはり自動運転技術と、ビッグデータやAI技術の発展のために、このサービスを意地でも完成してくるかもしれません。それに期待したいと思います。。まだまだ先になると思いますが。

記事は以上です。

(記事情報元:9to5Mac

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