iPhone5sのTouch IDのオリジナル(原形)はこれだ!AuthenTecの指紋認識技術開発のサクセスストーリー

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

2012年7月にAppleが指紋識別技術のプロフェッショナルであるAuthenTec社を買収し、
指紋識別技術を社内に取り入れた。
Apple製品としてiPhone5sで初めて搭載された指紋認証技術「Touch ID」は、
このAuthenTecの技術を使った開発によるものだ。
その買収額は3.56億ドルにも上ったというから、
Appleの気合いの入れようがわかるというものだろう。

最近、AuthenTecの共同創始者であるF.Scott Moodyが、
ノースキャロライナ州立大学にて、
学生達にTouch IDのオリジナル(原形)を披露し、
Touch IDの背後にある技術について講義を行った。

iPhone5s_Touch_ID_original_2

F.Scott Moodyの講義によると、
iPhone5sのホームボタンの下にある8mmx8mmのセンサーが、
使用者の指の毛穴、指紋構造を認識し、
使用者が誰かを識別するのだという。

しかもあなたが使うたびに、
このTouch IDはますますあなたについて詳しくなっていくという。
つまり使えば使うほど正確に識別が出来るようになるのだという。

AppleのTouch IDの前に、
AuthenTecはFingerLocという開発プロジェクトを進めており、
それがAppleの注意を引いたのだという。

iPhone5s_Touch_ID_original

FingerLocの外観はiPhone5sほどクールではなく、
1つのボックスにその仕組みが集められ、
それが更に大きなコントロールボックスに接続されている。
そして指紋認識センサーのところはiPhone5sと違って四角形であるが、
iPhone5sと同様金属の枠が嵌め込まれている。

iPhone5s_Touch_ID_original_3

指紋認識の正確度を高めるため、
AuthenTecは数名の皮膚学の専門家と一緒に研究を行い、
識別の正確性を高めたという。

数年の開発期間を経て、
AuthenTecはFingerLocの外観と技術を飛躍的に改善し、
センサーの寸法を小さくし、
更に製造コストを抑えたため、
Appleが彼らの技術の買収に興味を持ったという。

当時同様に興味を持った会社にモトローラと富士通がいたが、
Appleの方がよりその技術に心酔し、
大金を払ってAuthenTecを買収したのだという。

元々F.Scott Moodyは、
多くの投資家達を前に、
この指紋認識技術の長期的展望を説明していたのだという。
指紋識別装置はかなり前から既にIBM(現在はLenovo)のノートパソコンであるThinkPadシリーズに搭載されており、
このThinkPadシリーズの成功の鍵の1つとなったのがこの指紋識別機能だったからだ。
MoodyはかつてIBM(当時まだLenovoに買収されていなかった)のCTOに対し、
自社で開発した指紋識別システムを披露したことがあったが、
その時は大失敗に終わったという。
なんとそのIBMのCTOの指紋を、
AuthenTecの共同創始者であるDale Selakのものと識別してしまったというのだ。
その時Moodyは、
「CTOというのは指紋はどなたも一緒なんですね」
とジョークを言って、笑ってごまかすしかなかったという。

これは今では笑い話になるが、
創業者にとっては開発中の非常に恥ずかしく、
困難にぶちあたった経験となったことだろう。

彼の技術的な解説によると、
AuthenTecの指紋認識システムは、
上述の通り皮膚学の専門家と共同で研究を行い、
まずは指紋の分類をした後に、
その後ユーザー個別の識別に入るのだという。
また更にこの指紋認識システムは学習機能を持ち、
使えば使うほど認識確率が上がっていくのが特徴だということだ。

AuthenTecがAppleに3.56億ドルで買収された後も、
技術部隊は全て元のまま仕事を進めることができたという。

以前、有名なハッカーグループのAnonymousが、
iPhone5sのTouch IDの指紋識別センサーは、
アメリカ国家安全局(NSA)に収集した指紋データを送っていると告発する映像を流している。

それに対しMoodyは、
「政府の指紋識別センサーに関する基準など私にとってはどうでもいいことで、
最低のコストでユーザーの指紋を正確に認識するセンサーが私の関心事だ。
私は技術マニアではない。
私がはまっているのは、いかに技術が人々の役に立つかということだ」
と述べている。

Touch IDの原形が見られて、
またその創業者の苦労話や考え方が聞けて感無量だ。
技術とそれがいかに人の役に立つかについてこだわる創業者と、技術の進化。
そしてサクセスストーリー。
AuthenTecは小さいAppleなのかもしれない。

あの小さな8mmx8mmのiPhone5sのTouch IDには、
実は非常に多くの人のドラマが詰まっていることに気がついて、
ちょっとiPhone5sが欲しくなった。
皆さんはどうだろうか?

記事は以上。

Visited 50 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人