以下のNominatが作った新しい世界地図は、皆さんが見慣れた世界地図とちょっと違うことに、すぐ気づくだろう。世界地図は当然ながら丸い地球を平面に変換するための図法によって描かれる。ではこの地図は普段見慣れたメルカトル図法とは図法が違うから、違うように見えるのだろうか?いやいや、そうではない。
世界でよく使われているドメイン名によるランキングで国力が決まるとしたら。。現在の実際の国力とはちょっと違う配置となってしまうのはご存じだろうか。そう、上の地図は1つの国のトップドメインで登録されているドメイン名の数で国の面積を表現した場合の世界勢力図となっているのだ。
上の地図ではアメリカは明らかに小さくなっていて、中国・ドイツ・オランダ・イギリスが非常に大きい国になっているのがわかるだろう。そして注目すべきは、なんとこの地図の中では最大の面積を誇る、日本の右(東)側にある.tkドメインだ。
【.tkドメイン】とは
恐らく多くの人が.tkドメインにはあまり縁がないだろう。しかしこの【.tk】国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)にはなんと3100万ものドメインが登録されているのだ。
この.tkドメインは、太平洋に浮かぶトケラウ(Tokleau)島のものだ。ニュージーランドの管轄内にあり、この島には1,400人の人達が住んでいる。
もし普通に人口で割ると、この島の人達は1人あたり22,300個ものドメインを持っていることになるが、当然ながら実際はそんなことはない。
【.tkドメイン】が国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)の中で最も登録数が多い”ワケ”
実は2000年に、Joost Zuurbierという人物がFreedom Registryを設立し、どこの国のどんな人でも、.tkドメインを取れるようにしたのだ。しかも、3文字以上のドメイン名は無料なのだ。Zuurbier氏の会社、FreeNomはオランダに本部を置き、ロンドンとパロアルトにもオフィスを置いて基本無料のドメイン名の配布を行っているが、トケラウ島上からは配布されたことは一度もない。
.tkドメインはトケラウ島民の生活を支えている
.tkドメインが基本無料であることから、多くの人がドメインを登録するが、連続90日に25回以上の訪問がなかったページは自動的に取り消され、そこにZuurbier氏の会社が執行した.tkドメインの上に広告を貼ることで、収入を得ているという。また先ほど書いたとおり3文字以下のドメイン名は有償であることから、この2つの収入源があるようだ。そしてその収入はトケラウ島民に分配されているという。
2012年、トケラウ島のGDPの6分の1はこの.tkドメインの収入によるものだったというから、やはり世界一多い国別コードトップレベルドメインは伊達じゃないということになる。Joost Zuurbier氏も非常に頭のいいことを考えたものだ。
アメリカ合衆国が小さい”ワケ”
ちなみに現実世界で最も国力が高いアメリカ合衆国がなぜドメインの数ではこんなに小さくなってしまうかというと、アメリカの殆どの企業と個人は.comを好んで使うからで、.usを使う人は滅多にいない。そんなわけで自然と.comが多くなってしまうからだ。
ちなみに.comドメインはどこの国にも属していないため、上記の地図には現れないが、ドメイン登録数では上記の地図の全ての合計よりも多くなっている。
記事は以上。
(記事情報元:cnBeta)