既存サービスに勝てるのか?Apple、中国でApple Music・iTunes Movie・iBooksのサービスを開始

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Appleが本日、中国にて待望(?)のApple Music・iTunes Video・iBooksのサービスを開始した。これによって、オンラインのサービスはようやく他国と同じサービスに追いついたことになる。

Apple Musicは中国では驚きの安さ

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日本ではApple Musicは個人会員は毎月980円だが、中国のApple Musicはたったの毎月10元(約190円)で、日本のたったの5分の1の安さとなっている。ファミリー会員は日本の1,480円/月に対して、15元(約283円)となっており、こちらも同じ5分の1の安さとなっている。

聞ける音楽の種類に違いがあるのかもしれないが、中国ではQQ音楽(Tencent=腾讯)や百度音楽など、中国IT界の大手をはじめとした無料のストリーミング+端末へのダウンロードも可能なサービスがいくらでも存在するため、それに対抗した形で安くしたのだろうが、、いったいどれほどの人がお金を払ってまで音楽を聴くかどうか、Appleのレコメンドや海外音源の豊富さで勝負ができるのかどうかが勝負の分かれ目となりそうだ。

iTunes Videoもようやくスタート、セールが魅力?

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世界ではもう何年も前から始まっているiTunesの映画サービスもようやく中国で始まった。ジュラシック・ワールドなどは他のサービスよりも早く配信開始というのがウリのようだ。

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なお、映画はHDと通常版の2種類にわかれており、例えばジュラシック・ワールドのダウンロード価格は新作のHDは22元(約415円)、通常版は18元(約340円)となっている。レンタルは明日から開始とのこと。

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またタイムセールで50種類以上の映画が1元(約19円)で買えたり、トランスフォーマー4などのようにHDが3元(約57円)で買えるものもある(レンタルは1元)。

画蛇添足 One more thing…

Appleにとって米国に次ぐ世界第二の市場、中国。Appleが力を入れて、値段を下げてでもサービスを開始せざるを得なかったのは、まさに市場規模に屈した形ともとれるし、柔軟に変化できることを示したともとれる。

ただし中国でAppleがコンテンツサービスを進めていく上での問題は2つある。1つは既に無料でサービスを提供している既存サービスがごまんと中国には存在しているため、有料でないと利用できないAppleには優位性が少ないことだ。個人的にはAppleの中国での国内サービスとの差異と優位性は3つと考えられるが、それぞれがユーザが選択するときの決定的な優位性になるかどうかは未知数だ。

  1. 海外版権コンテンツが中国国内サービスよりも豊富
  2. 広告が入らない。ただし中国の他の音楽・動画サービスでもお金を払えば広告を消すこともできる
  3. Appleのハードウェアとの一体化サービス

もう1つは致命的なアクセススピードの遅さだ。中国のアカウントで中国の環境から上記のサービスにアクセスしてみたが、中国版のApple Music含むiTunesの全体のアクセススピードが他のサービスに比べて、体感的に圧倒的に遅い。私はまだ映画を購入していないからわからないが、MacのiTunesのページ表示の遅さだけで、どうも買う気がしなくなってくる。映画のダウンロードに時間がかかるくらいなら、従来のところを選んでしまいそうだ。AppleはiTunesやiCloudに関するサーバを中国国内に置いているはずなのだが、それでも遅いということはアクセスが集中していてそれに耐え切れていないのだろうか?

アクセススピードの遅さは客離れを招くだけではなく、事件さえ招く。先日世界中を騒がせたiOSのマルウェア”Xcode Ghost”も、中国ではAppleの開発ツール”Xcode”のダウンロードに時間がかかるため、中国国内のクラウドストレージサービスに落ちていた感染されたXcodeプログラムがダウンロードされることによって感染されたアプリを量産することになってしまった。しかも中国でもIT最大手のTencentの開発環境さえ汚染されてしまっていたほどだ。

中国市場では他社よりも圧倒的に遅れたスタートとなったAppleのコンテンツサービス。中国の特殊な環境で守られた中国国内IT勢に、海外勢力が勝つことができるのか、今後も注目だ。

なお、中国に決済手段を持っていて、iPhoneやiPadなどの旧機種が余っているような人は、中国のApple IDを作ってApple Musicに登録し、Apple Music再生専用マシンにしてもいいかもしれない。もちろん、Apple TVと接続することで中国版iTunes Videoによって安価な映画をゲットして映画再生マシンにしてもいいかもしれない。ちなみに中国ではまだApple TVの発売が開始されていないが、今回のiTunes Videoサービス開始によって、Apple TV次世代ハードウェアの販売も開始されるかもしれない(次世代Apple TVではゲームの版権の問題が出てきそうだが)。

記事は以上。

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