どんなにセキュリティが堅牢なシステムでも、その最大の弱点はそれを使っている”人”にあるといわれています。iOSデバイスは脱獄しなければ比較的セキュリティ性能が高いといわれていますが、そのためにはパスワードやパスコードによる保護の設定をしたり、強化しなくてはならない、といわれています。しかしなぜiOSのパスワードやパスコードを設定・強化しなければならないのでしょうか？Computer Worldが8つの理由を挙げているのでご紹介します。

１．iPhoneはあなたの生活そのもの

あなたがiOSデバイスを使う目的を考えてみてください。電話やメールの連絡先、SNS、メール、SMS、ウェブブラウジング、オンラインショッピング。。そしてそれらの中には、パスワードで保護されたオンラインショップやサービスなどが関連しているはずです。そう、あなたの生活は実はあなたのデバイスの上にあるのです。

もしあなたがそれを守らなかったら、もしデバイスをなくしたときに、ある日から別人によってあなたの生活そのものが利用されたり、他人によってあなたの友人に馴れ馴れしくされてしまうかもしれません。

２．多くのリスクが存在

もしあなたがデバイスをパスワード保護していなかったら。。別人によって、以下のデバイス上の情報の一部にアクセスされてしまいます。

• ウェブサイトのパスワード
• 連絡先とその他の詳細情報（電話番号や住所、メールアドレスなど）
• メールやメッセージのやりとり
• 位置情報のヒストリー
• 写真や動画
• これまでの支払記録、クレジットカードの番号
• もし会社で端末を利用していたら、会社のネットワークにアクセスするためのアプリとそのパスワード
• 悪意のあるソフトウェアのインストール

ここまで多くのリスクが存在するにも関わらず、iOSユーザの中にはパスワードやパスコードを設定せずに使っている人が多くいるといわれています。

３．あなただけの問題ではなくなる

iPhoneにパスワードやパスコードを設定しないのは、自分自身の便利のため（入力が面倒くさい）という理由が多く、そしてもし端末を他人に使われても自己責任だからいいじゃないか、と考えている方が多いようです。では、もしあなたがそうしたとしても、あなたの周辺の人はどうでしょう？家族、友達、同僚。。たぶんみんな、自分のメールアドレス、電話番号、そしてSNS上の情報などを、知らない人に公開したいとは思っていないでしょう。

あなた自身のデバイスを守ることは、周りの人への気遣いを証明する一つの方法でもあるのです。

４．あなたの仕事は大丈夫？

一部の人達は、あなたの秘密を知りたがっています。それはあなたの連絡先であったり、ID情報であったり、クレジットカード情報だったりします。また会社で働いているということであれば、彼らが欲しがる情報は更に増えます。もしあなたが大企業で働いているのであれば、ライバル企業はあなたの会社の機密を知りたがるでしょうし、犯罪者達はお金が欲しいと思うでしょう。

Appleはプラットフォームをセキュアな状態に保とうとしていて、それは一定の効果を挙げています。iOSのセキュリティを攻略する脱獄（ジェイルブレイク、Jailbreak）が一定の価値を持つのもそれを証明しており、そしてそのことが犯罪者が一般的に市場価値が高い会社や年俸・年収の高い人をターゲットにする理由になるのです。

５．攻撃は巧妙に、複雑になっている

ネットワーク攻撃の費用はますます高くなっています。それは攻撃がますます複雑に、巧妙化していることを意味します。Appleユーザを狙ったフィッシングサイト・フィッシング詐欺もますます対象を絞り、手口が巧妙化しています。もしあなたが狙われ、そしてひっかかってしまったら。。相手はあなたのセキュリティ保護を何とか突破しようとしてくるでしょう。彼らが本当に必要としているのは、あなたが業務で使用しているセキュリティ証書だといわれています。なぜなら彼らが複数の人からセキュリティ証書をゲットできれば、企業のセキュリティシステムに入りやすくなるからです。

もしあなたが機密情報を扱う仕事に就いていてiOSを使用しているユーザだったら。。そしてデバイスのセキュリティレベルがそれほど高くなく、誰かにクラックされてしまったとしたら。。あなたはどう思うでしょうか？そしてあなたは仕事をそのまま続けられるでしょうか？デバイスのセキュリティは、あなたのデバイスがセキュアかどうかということだけではなく、あなたの今後の仕事がうまくいくかどうかについても関わっているのです。

６．Appleのエンジニアの努力が無駄になる

Appleには、本当にかなり賢いセキュリティチームがいて、あなたのセキュリティを守っています。iPhoneは何重ものセキュリティ保護システムを持っていて、それらは非常に複雑です。例えばECID、AESやTCC、ファイルシステム全体の暗号化といったものです。セキュリティ起動チェーンから始まり、アプリがあなたから余計なデータを収集しないように、データを収集する場合はあなたの同意を得るようにしています。しかしこれらのセキュリティの基本は、1つのキーとなる要素が前提です。それはあなたのパスワード、です。

私たちはこれだけははっきりと言えます。Appleのエンジニアが大量の時間とアイデアと努力を注ぎ込んで、iOSのセキュリティを確保しています。そしてiOSは確かにセキュリティ性能は非常に高いのです・・・もしあなたがパスワードやパスコードをちゃんと設定してさえいれば。

７．頻繁に使うからこそ必要

多くの人が、複数のデバイスやサービスで同じパスワードを使っていたり、またはデバイスにパスワードやパスコードを競ってしていません。なぜならその人達は自分がパスワードを覚えられないと感じているからといわれています。確かに、それは理解できます。でも、よく考えてみてください。。あなたは毎日iPhoneを何回見るでしょうか？その答えは80回。もちろんこれは平均値なので、当然人によって多くなったり少なくなったりするでしょう。

そこで、あなた自身に質問してみてください。あなたは一日に何度もそれを使う場合、どのくらいの時間で1つのパスコードやパスワードを覚えるでしょう？パスワードやパスコードを設定するときに、あなたのパスワードを紙の上に書いて、その後1〜2日は参考に見るようにいてください。そしてその紙を封筒にでも入れて、本当に絶対に安全な場所に保管してください。自分を信じてみてください。あなたはパスワード・パスコードを覚えられるはずです。

そして最近のiPhone（iPhone 5s以降発売機種、iPhone 5c除く）にはTouch IDによる指紋認証があるため、頻繁にパスワード・パスコードを入力する必要はありません。またパスワード・パスコードを保存するには、有料ですが1 PasswordやLastPassなどのクラウドによるパスワード保存サービスのアプリを使うという方法もあります。それを使えば、たった1つのパスワードを覚えておけば全てのパスワードを記憶してくれて、端末にパスワードを保存しなくてもいいようになります。

８．2700年がゼロになる

Appleはパスコードは4桁か6桁、そしてパスワードには英字と数字の組み合わせで何文字でも設定できるようにしています。では4桁と6桁の英語と数字の組み合わせのパスワードにはどんな違いがあるでしょうか？フォーブス（Forbes）の報道によれば、現在のコンピュータでは6桁の英語と数字によるパスワードを総当たりで解読するのに、72年の時間がかかるとされています。それに比べ、4桁だと7分で解読されてしまうそうです。そしてもしそれが人間がやるとしたら。。6桁だと2700年という時間がかかるそうです。

そしてもしiPhoneにパスワード・パスコードを設定していなければ、その時間はゼロになってしまいます。

小龍的にはそう思った

iPhone/iPad/iPod TouchなどのiOSデバイス、或いはMacにもパスワード・パスコードを設定していないと、ともかく第三者からの物理的なアクセスに弱くなってしまいます。家族や子供に使わせるためにパスワード・パスコードを設定しないという人もいるようですが、それでも少なくともその端末を使う人には共通でわかるパスワード・パスコードを設定しておいた方がいいでしょう。

やはりいざというときのための備えはしておきたいものですね。

記事は以上です。

（記事情報元：Computer World）