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これまでの20年間、AppleのデザインのトップでCDO（Chief Design Officer）のジョニー・アイブ（Jony Ive）氏はAppleにおいてこれまでテック業界の金字塔ともいえる様々なデザインを生み出してきました。
そんなアイブ氏がこれからデザインしたいものって何でしょうか？VRデバイス？EV（電気自動車）？はたまた、思いも寄らないようなハイテク製品？しかし実は本人が語るには、彼の向いている方向は全然違うところにあるようです。。
ノーマン・フォスター基金（Norman Foster Foundation）が主催した会議で、ジョニー・アイブ氏は、「将来どんな製品をデザインしたいのですか」と質問されたとき、驚くべきことにこんな答えを出したのです。
「ソープディスペンサーをデザインしたい」
ソープディスペンサーとは、液体の手洗い用洗剤などを入れてプッシュ式などの方法で使う分だけ出すための容器。。あれです。シャンプーやコンディショナーなども入れますよね。。そんな、アレです。えー。
ジョニー・アイブ氏は1992年にAppleに入社して仕事を始め、スティーブ・ジョブズ（Steve Jobs）の復帰後にそのデザインの才能を存分に発揮しました。アイブ氏はApple復興と大躍進の立役者となったiMac、iPod、iPhone、iPad、Apple Watch、そして各種Mac製品のデザインに関わってきました。しかし実は彼は、ずっとシンプルな日常用品のデザインにずっぽりはまっていたようです。
Appleのハイテクで世界を変えるような製品をデザインする一方、親友のデザイナー、マーク・ニューソン（Marc Newson、Apple Watchのメインデザイナーでもあります）と一緒にテック製品ではない普通の製品、例えば完全にシンプルなテーブル（机）のデザインをいじくり回したりしていたのです。
その後ジョニー・アイブ氏はイギリスのフィナンシャル・タイムズで、このことについて釈明しています。アイブ氏は、「デザインの全ての意義は、人類に対する賛美にあります」と語っています。それを成し遂げるために、アイブ氏は、デザイナーは（人類が抱える）非常に重要な問題に対してソリューションを創造していかなければならない、と主張するのです。例えば「手を洗う」というような問題に対して。。
アイブ氏は、「今、本当にいいソープディスペンサーがないんです」と言い切っています。そしてそのことで本当に困っているというのです。そんなわけで、アイブ氏はソープディスペンサーのデザインイノベーションを起こしたいと考えているようですが、具体的な計画については語られていません。ちなみに、Apple入社前にはアイブ氏はイギリスのデザイン会社Ideal Standardで、バスルームの浴槽や洗面台、また便器などのデザインをしていました。その頃に満足できるデザインができなかったということなのでしょうか。。
AppleでCDOとなって実務はだいぶ下の者に任せ、まずます半引退、有閑デザイナー的な存在となってきたジョニー・アイブ氏。Apple内部では、EVプロジェクトとされたProject Titan（プロジェクト・タイタン）のトップになった後そのプロジェクトを解散させた、というニュース以降はメディアへの露出も極端に少なくなっています。Appleの新製品紹介ムービーにもなかなか出てこなくなって、往年のファンとしてはちょっと寂しい限りです（広島弁翻訳も聞きたいのに）。WWDC17基調講演には出席していて、ストリーミング放送ではちらっと顔が見えてましたが、それ以上の露出はありませんでした。
いくらアイブ氏デザインでも、まさかAppleから単なるソープディスペンサーがリリースされるとは思えないですが、IoTやスマートホームの一環として、HomeKit対応のソープディスペンサーがリリースされることももしかしたら全くあり得ない話でもないといえましょう。それでも、個人的にはAppleファンがアイブ氏やApple社に求めているのってそれじゃないような気もします。。そもそもソープディスペンサーに強烈な不満を抱いている人っているのでしょうか。。ただ、イノベーションは普段何気なく慣れてしまっている不便さや不満の掘り起こし作業から始まったりもします。
▼既にスタイリッシュなオートソープディスペンサーは存在します。。
もちろん、これまでいくつものイノベーティブなデザインによってテック業界を変えてきたアイブ氏なら、日用品の方でもあっと驚くようなデザインをしてくれるかもしれません。
記事は以上です。
（記事情報元：Cult of Mac）