ハッカー・・・神秘的で、一見普通の人とは遠く離れた世界に住む人たち。彼らは意気揚々と登場し、人々を恐れさせる存在だ。
お隣の中国にもハッカーは存在し、近年世界的にその影響力を増し、時に大きくその存在が伝えられる。最近米国政府の役人が資料が大量に盗んでいた事件では、米国政府によって中国のハッカー達がその黒幕だとみなされている。
その前にも中国のハッカー達は米国によっていくつものハッカーによる不正侵入事件の犯人とされており、米国では外向けにも「中国ハッカー脅威論」を喧伝しているのはご存じの通りだ。
強大だからこそ、敬い恐れる。一般人からすれば、ハッカーは簡単にちょこっとキーボードを叩けば、まるで世界の全てが手中にあるかのようにコントロール可能になるように見えているかもしれない。そんなことができるおかげで、彼らはとても優雅な暮らしをしているように想像しているかもしれない。
では、そんなハッカー達の中でも、中国のハッカー達の秘密のベールを剝いで、彼らの真の生活を近くから覗いてみようではないか。たぶん、あなたはあなたが思っているより彼らのことを知らないかもしれない。
ハッカー達の真の姿
あなたが想像しているハッカーとは、こんな感じかもしれない。
でも現実世界では、たぶん彼らはこんな感じだ。
中国のハッカーに対するアンケート調査結果が語る、赤裸々なハッカー達の実態
昨日、スマートライフセキュリティのコミュニティ”GeekPwn“で、Tencent(テンセント)とFREEBUFの二大主流メディアプラットフォームがまとめた「ホワイトハットハッカー調査レポート」が公開された。これは中国で初めての中国ハッカー集団に対する実態アンケート調査となった。
この調査は中国の第2回国家ネットワーク安全期間(第二届国家网络安全周期)の間に行われ、中国国内でのサンプリング数も最大で、非常に多くの内容に溢れたハッカー調査報告となった。6月9日までに、1万人近いセキュリティ関連従事者や普通のネットユーザに対して行われたアンケート調査結果をどうぞ。
中国のハッカー達の年齢
調査で、まず1990年代生まれの人たちがホワイトハットハッカーの主力で、その比率が61%となることがわかった。そして1970年代までになるとたったの4.34%となってしまう。ハッカーは90年代生まれに占められているといえるだろう。
ホワイトハットとブラックハットの違い
まずここで何をもって「ホワイトハット」「ブラックハット」というかについて説明したい。世界中、どのパラレルワールドにも善悪の区別がつけられているが、ハッカーの世界でもご多分に漏れず、「ホワイトハット(善玉)」と「ブラックハット(悪玉)」に分けられている。ハッキング(正確にはクラッキング)とはネットワーク上での戦争行為のことともいえ、攻める人もいれば守る人もいる。もし悪意をもって攻めるのであれば攻撃側はブラックハットとよばれ、ホワイトハットは主に防衛側に回ることが多いが、もしホワイトハットが攻撃に回ってもそれはある種の正義感を持ちながらのものとなる。つまりは、ブラックハットは悪や暗闇の役割を演じ、ホワイトハットは悪や暗闇を消し去る正義の化身というわけだ。セキュリティ会社のハッカー達の殆どがホワイトハットで、セキュリティホールの発見やその修復に責任を持つのはそのためだ。
日本ではハッカーはハッキング技術を持つ人たち全体或いはホワイトハットのことを指し、ブラックハットのハッカーはクラッカーと呼ぶことも多い。
中国のハッカー達の収入
ブラックハットであろうがホワイトハットであろうが、彼らの仕事には多くの非常に高度な技術的要素が絡む。だから恐らく彼らの給与はさぞかし高いだろうね!と思いきや、彼らの大半の年収は200万円にもいかず、月収は16万円以下、そしてハッカーのうち5%しか年収1,000万円を超えないのが現実らしい。(ただ、年収2,000万円を超える人も7.7%いることにも注目だ)
ブラックハットの方がホワイトハットよりも収入が多い、但しリスクが伴う
このアンケートを実施したLeiPhoneが、事情をよく知るホワイトハットセキュリティ会社”北京知道创宇”の余弦技術担当副社長に尋ねたところ、彼は実際のハッカーの収入は上記の数字よりも更に低いだろうとしている。しかし全てのハッカーが収入が理想的ではないというわけでもなく、ブラックハットの方が相対的には潤っているようだ。以前著名なハッカー”大牛”の発言によれば、ホワイトハットの収入はブラックハットに比べて天地の差があるという。余弦副社長もそれを否定しない。「一般的にいって、ブラックハットの収入の方が確かに誇張されている」。もちろん、ブラックハットにはリスクが伴うが。
中国のハッカーの異性交際状況
しかしこんな年収で、しかも”ハッカー”という肩書きが着いているのであれば、当然その他のオタクと同様彼女もできにくいだろうね!
まさにその通りで、アンケートでは半分のハッカーが彼女・彼氏など交際相手がいないという。ただ、先ほどの調査結果ではハッカーは90年代生まれが過半数ということを考えればまだまだ若く、彼女や彼氏がいなくても不思議ではない。このアンケートを実施したLeiPhoneの編集部のメンバーも、半分が彼氏・彼女がいないというのだから不思議ではない。
中国のハッカーの性別
ハッカーは一般的には男性とみなされている。だからこそ映画”ワイルド・スピード”の第7作目、SKY MISSIONで女性ハッカーのラムジーが登場したときに、ローマン・ピアースが怪訝な顔をしたのだ。彼から見れば彼女にはハッカーが持っているべき特徴がなく、「(ハッカーは)少なくともそんな感じじゃない」といわしめたのだ。
さて現実世界でも、ハッカーはやはり男性が圧倒的大多数を占める。調査によれば、中国のハッカーのうち女性はたったの5%以下だった。
中国のハッカー達が目指す先達のランキング
ビル・ゲイツは最近こんな言葉を残した。「私を見習わないでください。大学の失業証書は重要なものです」。テクノロジーギーク出身のゲイツは、小学校の頃から既に立派なハッカーだった。そしてこの偉大なハッカーはハーバード大学に入学して1年後に退学して起業したのだ。結果が証明しているように、彼の選択と決定は正しかった。
そんな彼の行動が後輩ハッカー達の崇拝の対象となり、彼らが最もなりたいと夢見る人のランキングのトップとなった。歴史上最大の情報セキュリティスキャンダルを暴き、正義のヒーローとなったエドワード・スノーデンの支持率はゲイツの半分程度しかない結果となった。
ハッカー達の本来の先輩といえるクラッカーとして世界的に有名なケビン・ミトニックや、AppleのiOS脱獄やSONY Playstationクラッキングなどで有名なハッカーGeoHot(George Hotz)もランクインした。
ビル・ゲイツがトップになったのは、世界一の金持ちになったからというのが最大の理由であるのはいうまでもない。
中国のハッカー達はなぜその世界に足を踏み入れたのか
ハッカーになるには天賦の才能ももちろん重要だが、中国の多くのハッカーは自学でその技術を磨いていることがわかった。GeekPwnのレポートの中で、自分で勉強したハッカーは51%で、専攻で学んだ人は24%にすぎないことがわかった。これは環境に大きく左右されており、ハッカーは一般的には技術者と思われがちだが、やはり比較的アンタッチャブルな世界に生きている人たちであり、ネットワークの影や裏側に生きる人が多いからだと思われる。
ハッカーが身近に感じられたかな?
さて、ハッカーの基本がよくわかっただろうか?実際ハッカーはそんなに遠い存在でもなく、毎日地下鉄で肩をすりあわせているかもしれないし、普通にSNSに出没している人かもしれない。
それからこれは内緒だが、ハッカーには乙女座が一番多いらしい。
画蛇添足 One more thing…
iOS脱獄ツールはiOS7から現在のiOS8まで、これまでの欧米系ハッカー達をさしおいて中国のハッカー集団PanguとTaiGからリリースされてきた。今後はKEEN Teamも加わって、今後の脱獄界は中国のハッカーが中心で回ることになる。今後の中国のハッカー達の動きに大注目だ。なお、完全脱獄ツールには1億円以上が支払われるというのは当ブログの以前の記事「脱獄も中国が熱い!!ハッカー集団Keen TeamがiOS9の脱獄に着手」でも紹介したとおり。偉大な功績を残したハッカーにはやはりそれ相応の報酬が支払われるべきだろう。
ちなみにブラックハットを理解するには、そのものズバリの名前の映画「ブラックハット」をご覧になるのが一番早いかもしれない。中国、香港も出てくるし。。他に、前出のワイルド・スピードやマトリックスもどうぞ。
記事は以上。
(記事情報元:LeiPhone)