短命に終わった原因は”あの男”だった!Apple、21年前に当時世界最速のノートブック”PowerBook 3400″をリリース。

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21年前の今日(アメリカ時間)1997年2月17日、AppleはPowerBook 3400をリリースしました。このPowerBook 3400は、Appleが世界で最も速いポータブルコンピュータとうたって販売を開始したものの、とある人物のおかげで悲劇的な運命を辿ります。

Powerbook3400

PowerBook 3400はデスクトップの性能にも匹敵する最強のノートブック型コンピュータとしてデビュー

数年のPowerBookラインナップが続いたのち、このモデルは他社のライバルに対する強力な対抗馬として投入されました。CPUとしてPowerPC 603eプロセッサが搭載され、動作クロック数は240Mhzまで設定であげることができました。その後もちろん多くのラップトップコンピュータにその性能が追い抜かれていくのですが、その当時はPowerBook 3400は一部のデスクトップのMacに匹敵するほどのスピードを誇っていました。

マルチメディア再生に最適化

またAppleは当時、新しいPowerBook 3400を”マルチメディアにフルに最適化された”Macとして喧伝していました。同社は「フルスクリーンのQuickTime動画をスムースに再生し、ウェブサーフィンに十分なパワーを持っている」と表現していました(QuickTime、ウェブサーフィンという言葉自体が懐かしいですよね)。

ホットスワップ可能なドライブベイを搭載

PowerBook 3400c_CD-drive

PowerBook 3400には更にいくつかの気の利いた機能がありました。そのうちの1つ、ホットスワップが可能なドライブベイでは、CD-ROMドライブとフロッピーディスクをチョイスしたり、切り替えたりすることができました。これらをコンピュータの電源を落としたりスリープ状態にすることなく交換できたのは画期的でした。

AppleのPCIバス初搭載、伝送速度も当時かなり速かった

またPowerBook 3400はAppleのPCIアーキテクチャが喧伝された初めてのコンピュータでした。EDOメモリと、64ビットの内部バスを搭載していました。「新しいAppleのPowerBook 3400は、世界最速のノートブックコンピュータというだけではなく、恐らくベストのコンピュータです」とAppleの当時の広告では記されていました。

価格帯は70〜100万円!

PowerBook 3400c

そしてこの”世界最速のラップトップコンピュータ”の価格はかなりのものでした。最低でも4500ドル、オプションによっては6500ドルとなり、現在の米ドルの価値に換算すると6800〜9800ドル(約72万2000円〜104万円)という価格帯でした。当時のMac、というよりApple製品は本当に高かったのです。。今とは比べものにならないレベルですね。

iPhone Xが最低でも11万円以上、iMac Proが最低でも50万円と聞いて、最近の人は高いと思うかもしれませんが、古いAppleファンからすれば別にそんなに高くないな、と思ってしまうレベルです。。笑

素晴らしいマシンだったが、短命だった。。その原因はあの男!

確かにPowerBook 3400は素晴らしいマシンでしたが、運悪く、このコンピュータは長くこの世界に止まることはできませんでした。Appleはその製造を1997年11月に終了してしまいます。そう、世界最高のラップトップコンピュータと紹介されて華々しくデビューした後、10ヶ月も持たなかったのです。

その原因とは。。そう、かのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)です。

Powerbook-steve-jobs

スティーブ・ジョブズは1997年にAppleに復帰し、そしてPowerBook 3400販売中の8月にAppleはかの有名な”Think Different”の広告キャンペーンを打ち、今後Appleは他とは違うアプローチをしていくという方針を鮮明に打ち出します。

▼スティーブ・ジョブズによる音声と日本語字幕付の”Think Different”のCMをどうぞ。

PowerBook 3400は復帰したジョブズによって整理され、後のPowerBook G3にその座を譲ることに

ジョブズは1997年2月のAppleのNeXT買収によってAppleの非常勤顧問となり、その後様々な方策を使ってこれまでの取締役達を追い出し、自分に縁のある人間に置き換えていきます。そして2000年に正式にCEOの役職に就くわけですが、それまでに様々な”選択と集中”を行い、これまで散漫だった製品ラインナップの整理整頓を行っていき、それによってAppleの復活を印象づけていきます。過去の資産の多くを切り捨て、新たに導入したものも少なく、また残ったものもごく少なかったのです。

最終的に、PowerBook 3400はPowerBook G3ファミリにその座を譲ることになります。PowerBook G3は、まさにApple復活のアイコンとなったトランスルーセント(スケルトン)仕様のiMac G3と同じG3プロセッサを搭載したラップトップ版という位置づけになりました。そしてG3プロセッサはその後iBookに搭載され、カラフルでオシャレな”クラムシェル”ラップトップコンピュータとして1999年にデビューします。

iBook

今でもマニアックなAppleファンには熱狂的に支持されるマシン

短命に終わったPowerBook 3400は、実際に非常にパワフルなノートブック型Macでした。短命で高価だったこともあって、一部のマニアックな古いAppleファン達からは、今でも熱狂的に語られることのあるマシンです。もう21年前の話で、私は当時大学生で、さすがにここまで高いマシンを買うことはできませんでした(デスクトップのPowerMac 7200は使っていましたが)。

ちなみにPowerBook 3400は1世代前のPowerBook 1400と共に、珍しくPowerBookの前にMacintoshという名前が冠せられなかったマシンです。その後またMacintosh PowerBook 2400シリーズでMacintoshの名前が復活し、PowerBook G3でもMacintoshの名前が継続されますが、最後のPowerBook G3(Firewire搭載モデル)でMacintoshの名前がまた消え(実は正式名称でもG3はついていない)、そしてG4ではMacintoshの名前が一切なくなります。G4の後はMacBookという名前になって、Macの名前が残ることになります。

現在のMacBookは、MacBook、MacBook Air、MacBook Proという名前がついていますが、MacBook Proは真の意味のプロ、例えば映像のプロが使うには性能が物足りず、意味が問われ始めています。PowerBookという名前はそういう意味ではつっこまれることもなく、なかなかよかったのではないかと思いますが、、もうその名前が復活することはないでしょうね。

記事は以上です。

(記事情報元:Cult of Mac

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