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TF International Securities（天風国際証券）のApple関連の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo（郭明錤）氏のレポートによると、米国のドナルド・トランプ大統領命令によってAppleが中国企業テンセント（Tencent、騰訊）との取引を禁じられ、もし全てのApp StoreからWeChat（中国語名：微信）アプリを削除せざるを得なくなると、iPhoneの世界マーケットでの全体の出荷台数が30％も減少する可能性があると指摘しています。
もちろん世界中のApp StoreからWeChatが消え去る可能性は低いですが（例えば米国や日本などの国のApple IDのApp StoreでWeChatがダウンロードできなくなる可能性はあります）、Appleにとっては最悪のシナリオとして、トランプ大統領からの大統領令でテンセントとの取引を米国内のみならず国際的に完全に禁止された場合、全くあり得ない話でもありません。
WeChatは中国では殆どOSのようなもの
WeChatを実際に中国で使ったことがない人にとっては、WeChatってそんなに影響力があるの？と思うかもしれません。なぜなら、どれほど中国人の生活に入り込んでいるかが理解できないからだと思われます。
Google系サービス、Facebook、Twitter、LINEなどにVPNなどを通さないと通常はアクセスできない中国のネットワーク環境下では、WeChatはありとあらゆるサービスのプラットフォーム・インフラとなっていて、殆どOSのようなものです。WhatsappやMessengerのような、単なるメッセージを送るツールではなくなっています。
WeChatが削除されるということは、例えていえば、米国ならFacebook・Twitter・Apple Pay・Uber・WhatsApp、そしてその他シェアリングや買い物系のアプリが全て、他に代替が殆どない状態で一気にApp Storeからなくなるようなものです。なぜなら、WeChatはメッセージアプリであると共にソーシャルネットワークアプリでもあり、また中国最大のオンライン・オフライン決済プラットフォームであるほか、ウィジェットのようなミニアプリ（小程序）で銀行業務からシェアリングや買い物まで、殆ど全てこのWeChatで済ませることができるようになっているからです。
AppleのiOSでは、アプリは基本的にApp Storeからしかダウンロード・インストールできないのもネックに
更になぜApp Storeから特定のアプリが削除されることが問題かというと、iPhoneに搭載されているiOSでは、基本的に特別な企業アカウントの認証がない限り、App Store以外からダウンロードしたアプリのインストールを禁じているためです。
GoogleのAndroidであれば、もし公式アプリストアであるPlay Storeからとあるアプリが削除されたとしても、apkファイルを他からダウンロードしてくればインストールができますが、AppleのiOSの場合は脱獄して管理権限を持つか、或いは特殊な方法で他の企業認証などをインストールしたいアプリに付与するしか、App Storeからダウンロードする以外にアプリをインストールする方法がないからです。しかも前者は当然のこととして、後者は完全に利用規定に違反した行為です。
海外在住の華僑・華人・中国人にも影響
トランプ大統領による行政命令は米国内限定になることが最も理に適っていると考えられ、そうなると中国に所属する或いはリージョン設定が中国になっているApple IDのApp Storeからは、WeChatが取り下げられることはないかもしれません。しかしもし米国やその同盟国、例えば日本などのApp StoreからWeChatが消え去ると、今度は海外に住む華僑（例えば中国系アメリカ人）や華人、中国から訪れている人々に影響し、その人達が今後iPhoneを使わないということになりかねません。
そして更に米国企業であるAppleが、国際的な市場においてもテンセントとの取引を禁じられた場合は、iPhoneの売上げに6割を頼っているAppleの事業にとっては破滅的な決定となるのは間違いありません。
自国を代表する企業にそんなにダメージを与える決定が果たしてトランプ大統領にできるのか。。注目が集まります。
記事は以上です。
（記事情報元：Cult of Mac）