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米国でのFBIとAppleの間の確執と攻防戦は数年の長い間に渡って続いてきました。FBIは犯罪者の情報が入っていると思われるiPhoneの解除をAppleに要求してきましたが、Appleはユーザの保護を第一に考えているとして断固として解除を拒否してきました。しかしこのバランスは現在はFBIの方に有利に傾いているようです。。というのも、当ブログでもこれまで何度かお伝えしてきたiPhoneのパスコードを比較的簡単にクラックできてしまうツールが、アメリカの警察やFBI等の組織の中で既に広く利用されているからです。
各地の警察やFBIなどの組織が”GrayKey”の導入を開始
海外メディアのMotherboardが本日、GrayShift社のiPhoneパスコードクラックツール”GrayKey”がアメリカ合衆国の各地、例えばメリーランド州、インディアナ州、フロリダ州マイアミなどの警察やFBI等の組織で既に幅広く運用されていることを調査で発見したと発表しています。またこの”GrayKey”使用することでよい効果が上がっており、その情報が広まって多くの組織がこのツールを購買し始めたということです。
上記の報道によれば、アメリカのシークレットサービス（United States Secret Service）も”GrayKey”の6回のロット分の発注を計画していて、それによって容疑者のiPhoneのクラックをしようとしているようです。またDEA（アメリカ麻薬取締局、Drug Enforcement Administration）も”GrayKey”に興味を示しているということです。
“GrayKey”によって従来よりも遥かに安価で解除可能に
FBIの主任Wray氏はかつて、現在アメリカの法執行担当者は暗黒の挑戦に面していると発言したことがあります。なぜなら多くの犯罪に関する情報が入ったAppleのデバイスが解除されずに大量に残っていて、法執行部門はiPhoneを解除するための合法的な権利を持っているにもかかわらず、Appleがそれに協力しないからというのです。かつてFBIは、カリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した無差別銃撃テロの犯人（現場で射殺）の所有物だったとされるiPhone 5c一台を解除するために、イスラエルのセレブライト（Cellebrite）社に依頼したことがありましたが、その費用はなんと100万ドル（1億円以上）だったといわれています。しかし”GrayKey”を使えば、その出費を大幅に抑えることができます。ロットで購入したとして、一台5000円程度で済むからです。しかも、解除方法も簡単です。
“GrayKey”そのものはMac mini並の大きさの箱で、2本のLightningケーブルが出ていて、最新バージョンのiOSのパスコードロックが解除でき、販売価格は1台15,000ドルで、300台の解除ができるので、300台解除すれば1台につき50ドル（5000円程度）ということになります。また”GrayKey”にはもう1つのコースがあり、30,000ドルで無制限に解除できるというのもあり、数が多ければ多いほど1台辺りの解除価格は更に下がります。FBIなどは恐らく後者のコースを選択したのではないかと思われます。
“GrayKey”による実際の解除方法などはこれまで当ブログでも紹介しています。
簡単にiPhoneを解除できるデバイスが法執行組織の手に大量に。。犯罪組織の手に渡る危険性も
ただ、このことはメディアの警察やFBIなどの組織に対する猜疑心を生み出しています。というのも、もしこういった調査・執行組織が”GrayKey”のようなツールを濫用して、一般のユーザのiPhoneのデータやプライバシーに影響することが懸念されるからです。多くの組織が購入することで紛失の危険性が高まり、もし”GrayKey”が犯罪組織の手の中に入った場合は、目も当てられない状態になりそうです。
Appleも対策する可能性があるが、いたちごっこになるかも
Appleは恐らく”GrayKey”が使用しているセキュリティホール（パスコードの入力回数制限を解除できてしまう脆弱性）を今後のiOSのアップデートで塞いでいくと思われますが、iOS脱獄（ジェイルブレイク・Jailbreak）と同様いたちごっこになってしまうと思われます。
記事は以上です。
（記事情報元：MacRumors）