Apple Watchの成功に続け!?スイス機械時計メーカーが次々とスマートウォッチに参入

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Apple Watchという”黒船”来航で、とうとう保守的なスイスの機械式腕時計メーカーも変革を余儀なくされているようです。

スイスの機械式腕時計といえば、著名なスイスのラグジュアリー時計メーカーが製造した腕時計で、その驚くべき機械的精度と非常に高い価格帯で世界的にも有名です。当然、スイス人にとっても国民的な誇りとなっているこの機械式腕時計ですが、ここ2年ほどでアメリカのAppleによるApple Watchによってスイスの腕時計業界はまたも”打撃”を受け、とうとう変革の時期が訪れているようです。

イギリスのメディアThis is Moneyの報道によると、スイス腕時計業界は現在でも非常に保守的で、新しい技術の導入に消極的どころか避けているようなところもありますが、スマートウォッチの代表Apple Watchという黒船が挑戦してきたため、スマートテクノロジーを採り入れるしかない状態に追い詰められているといいます。

確かにインターネットに接続可能で新しい技術が詰まったApple Watchは腕時計としては大成功を収めていることから、スイスの腕時計メーカー達も時計の意義を再考しているのかもしれません。今年、スイスのバーゼルで開催された、世界でもトップの機械式腕時計展示会のバーゼルワールド2018(BaselWorld 2018)でも、新たなスイスメーカーによるスマートウォッチの登場が目立ちました。スイスの腕時計メーカーによるユニークかつデザインが美しいスマートウォッチ3点をご紹介します。

世界初!ゼンマイ駆動(非バッテリー駆動)でスマートウォッチ機能を実現、フレデリック・コンスタントのスマートウォッチ

FrederiqueConstant_HybridManufacture

フレデリック・コンスタント(Frederique Constant)が発表したHybrid Manufactureシリーズは、睡眠やアクティビティモニター機能が追加されていて、しかも世界初のゼンマイ駆動(非バッテリー駆動)のスマートウォッチというのがウリとなっています。ただ、価格は最安値でも約40万円します。

デザインテーマを2019年サッカーロシアワールドカップに特化したウブロのスマートウォッチ

そしてウブロ(Hublot)のBig Bang Refereeもこのブランドとしては初めてのスマートウォッチとなります(韓国の某グループとは関係なさそうです)。Wear OSを搭載し、防水で、NFCやGPSなど一通りの機能を揃えているだけではなく、来年2019年のサッカーワールドカップの審判に正式採用された指定腕時計になっていることから、デザインや機能のテーマもワールドカップの要素が満ち溢れています。また機能的にもワールドカップの試合の結果を表示したり、ゴールが入ると時計が振動するなどの機能まで備えています。価格は約56万円で、発売年の今年にちなんで2018個の数量限定生産となっています。

デザインが非常にかっこいいモンディーンのスマートウォッチ

Mondaine_Helvetica-1-SmartWatch

モンディーン(Mondaine)のHelvetica 1 SmartWatchシリーズも、歩数計が搭載されています。あの有名なフォント、Helveticaが採用されていて文句なくデザインがかっこいいのが特徴です。ただ、バッテリー駆動のため、クオーツ式となっています。こちらは既に2015年に発売されていて、定価は950ドル(現在のレートで約10万円)と比較的安いものでしたが、たった1,957個しか生産されなかった限定版が現在はネットで249ドル(約26,300円)で投げ売りされているところをみると、全然売れなかったんだろうな。。という感じがします。

Apple Watchの昨年の販売個数、スイス機械式腕時計の総数を上回る。クオーツショックに続く黒船来航でどうする?

AppleはApple Watchの販売個数を公開していませんが、マーケティングのデータによると2017年の1年で2000万個を売ったというデータもあり、この数字はスイスの機械式腕時計全ての売上個数を上回る数字です。かつて日本のSEIKOによる、機械式腕時計よりも遥かに安価で遥かに精度が高いクオーツ式腕時計の販売による、いわゆる”クオーツショック”によって、壊滅的な打撃を受けたスイスの機械式腕時計業界ですが、その後ラグジュアリーさ、そして職人による手作りであることを強調して復活を遂げてきました。しかしまたここにきてアメリカのモンスター企業による黒船が登場してきて、スイスの機械式腕時計はまたもや危機感を抱いているところかと思います。

高級機械式腕時計とスマートウォッチはもともとターゲット市場が違う

確かに数万円〜10数万円の価格帯のApple Watchと、少なくとも30万円以上はする高級機械式腕時計とはターゲットとなる市場も異なりますし、用途やラグジュアリーさについても比べものにはならないのは確かです。

そんなわけで、Appleの腕時計が売れているからといってスイスの機械式腕時計業界が、こぞって安易にスマートウォッチに乗り出すのは危険かもしれません。なぜなら、もともと、機械式腕時計は、定期的なメンテナンスさえすれば、一生ものどころか、親子3代にわたって使うこともできるほど寿命が長い製品です。機械式腕時計メーカーは過去の製品の修理をいつまでも受け付けて、部品などを保存していることから、1個の腕時計の価格が非常に高くなってしまうのです。

それに対して、スマートウォッチはスマートフォンと同様、ドッグイヤー・日進月歩の技術の進化の影響を受けるもので、2〜3年もすると動きが遅くなって使い物にならなくなります。Appleは初代Apple Watchで100万円以上もするApple Watch Editionをリリースして見事に失敗しましたが、それはたった数年しか使えないものにそんな高い金を出す人がいなかったからではないでしょうか。

とはいえ、スイスの機械式腕時計メーカーにも変革は必要かも

スイスの機械式腕時計業界も、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスによって競争に晒され、変革を迫られているのは事実です。あまりに保守的すぎると、Apple Watchよりも更に先のウェアラブル製品によって市場を食われてしまうかもしれません。機械式腕時計の価値を本当にわかってお金を出す人も、減ってきています。

その意味では、1つ目にご紹介したフレデリック・コンスタント(Frederique Constant)が発表したHybrid Manufactureシリーズのような、伝統的なゼンマイ駆動でスマートウォッチ機能を実現するというような発想は非常に面白いと思いますし、スイスの腕時計メーカーにしかできないことのような気がします。しかし2つ目のウブロのワールドカップモデルは、正直2019年の一回、または4年に1回のワールドカップ開催時しか特殊機能が使えないのであればあまり意味がないような気もします。更に、磁気の問題でクオーツを導入せざるを得ないと、魅力も半減どころか激減してしまうのでしょう。道理で、モンディーンのHelvetica 1 Smartwatchは売れなかったわけですね。

スイス製のスマートウォッチで唯一成功しているのはWithingsだけなのかもしれません。。そういえばタグ・ホイヤー(TAG Heuer)もいち早くスマートウォッチをリリースしていましたね。

私自身はといえば、最近はもっぱらApple Watch着用になってしまい、10年以上前に買ったオメガ(OMEGA)のSpeed Master Broad Arrowはお蔵入りになってしまいましたが。。笑 とはいえ、Apple Watchをすごく活用しているかというとそうでもなかったりします。

記事は以上です。

(記事情報元:This is Money

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