有名なラップ音楽アーティストと音楽プロデューサーであり、Beats社の共同創業者のDr. Dreにとってみれば、今年は最も収穫が多い1年となることだろう。
Appleが32億ドルでBeats社を買収した後、Dr. Dreは当然ながら2014年度で最も収入が多いアーティストとなり、また史上最も単年度での収入が大きかったアーティストにもなった。”フォーブス(Forbes)”が今週発表したアーティストの2014年の収入ランキングをみると、Dr.Dreは6.2億米ドル(約736億円)でトップとなり、2位のビヨンセ(Beyonce)の5億米ドル(約593億円)を抜いている。
上記のフォーブスのランキングトップ10のアーティスト収入の全てを足しても14億米ドル(約1,662億円)で、そのうちの半分をDr. Dreが占めた。ランキング上にはイーグルス(Eagles)の1億ドル(約118億円)やBon Joviの820万米ドル(約9億7300万円)やブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)やジャスティン・ビーバー(Justin Beaver)などが並んでいるが、他のアーティストによって幸いなのが、音楽の制作やライブやレコード販売の収入がDr. Dreの驚くべき財産の主要な収入源ではなかったことくらいか。しかしこのとんでもない富はDr. Dreが自身を”ヒップホップ界で最も成功した男”として自らを称えるのに値するだろう。DiddyやJay-Zもその後塵を拝するしかないからだ。
Dr. Dreは現在自身の作品を発表していない。ファンはもう既に10年以上もの間アルバム”Detox”を待っている。この財産を手に入れたことで、更にDreが良質な音楽を生み出してくれることを願うばかりだ。
画蛇添足:金に目がくらんでないといいが。。
Dr. DreがトップになったのはもちろんAppleによるBeats買収による収入であることは明らかだ。アーティストはステージ上で飛んだり跳ねたり、制作でうんうん頭を悩ませたり、世界中をツアーしてチケットやアルバムで稼ぐよりも、さっさと自分で会社を作ってM&Aで売ってしまうのが一番金になることがわかってしまった。何とも夢のない話だ。
金のために音楽をやっているわけではないかもしれないが、金を手に入れてしまった後のアーティストの音楽はつまらなくなるのもまた定番だったりする。音楽の根源は本来ハングリー精神や、自らの周囲の問題提起から始まったりするものだ。ヒップホップなどはまさにそういったものだ。そういったものから抜けだしてしまって根本となるものが一気に消え去った後に、いったいどんな音楽が生まれるんだろうか。
元音楽業界にマネジメントという立場で身をおいていた自分としても、確かにマネタイズは大事だったが、それよりもアーティストが最高の音楽を作り出すためのモチベーションを保つにはどうしたらいいかということを常に考えていた。
Dr. Dreは今後は後進の支援にあたっていくのかもしれない。私個人としてはビジネスマンとしてのDreではなくて、アーティストとしてのDreの今後に注目したいところだ。
金をがっぽり儲けられたがために勝手に強制配信をやるという大失態を犯したU2とAppleのように、金に目が眩んでいなければいいのだが。
記事は以上。