累計4.59億台!Apple、iPhoneの出荷を河南省鄭州にますます大きく依存

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中国の新聞”河南日報”によれば、Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOが、フォックスコンの代表取締役の郭台銘と数名の中国河南省のトップ達と北京で会合し、その議題は河南省の省庁所在地の鄭州に組立工場を作ることだったという。

鄭州ハイテクパークにあるフォックスコンでは、2016年の前半までに累計4.59億台のiPhoneを出荷している。

Foxconn-Zhengzhou_フォックスコン-鄭州_富士康

ティム・クックCEOが河南省への協力を表明

ティム・クックCEOは、河南省のイノベーションの発展の方向性はAppleの発展の展望とちょうどぴったり合っているとし、Appleは河南省にある蘭考県などの貧困地域の開発をぜひサポートしたいと表明していたという。

 

河南省鄭州フォックスコンではこの3年でiPhoneの60%以上を製造

鄭州市の公式の統計によると、ここ3年近くでは、鄭州のフォックスコンで生産されたiPhoneの製造量は全体のiPhoneの製造量の60%以上を占めているという。以前にも、クックCEO自身が鄭州のフォックスコンの工場に視察に行ったこともある。なお、フォックスコンは鄭州以外には広東省深圳市、四川省成都市にもiPhoneの組立工場を持っている。

 

河南省も炭鉱や鋼鉄業界の国営企業の人員を割いてフォックスコンに協力

台湾のDigitimesは今月の初旬に、フォックスコンが鄭州に加工工場を建設するために現地の政府機関に協力を求めたといい、また鄭州政府機関は年末までに現地の炭鉱と鋼鉄業界の余剰労働力をフォックスコンに振り向けるように協力するとしたと伝えている。

河南省の国資委(国家資源委員会)と能源化工集団(エネルギー科学工業グループ、いずれも国営)の傘下にある企業では、≪フォックスコンのキャパ拡大による臨時人事調整に関する通知≫を従業員や対外向けに公告として出しており、既に7月末までに第一陣がフォックスコンに振り向けられたという。

 

画蛇添足 One more thing…

中国政府機関の協力を得る台湾の私営企業という構造

フォックスコンはシャープを買収したことで日本でも有名になった台湾ホンハイ(Hon Hai、鴻海)の中国国内企業で、完全に民営・私営の会社のため、本来はキャパが足りなくなるのは企業の責任だが、そこまで政府の協力を得られるということはやはり河南省はこれまでの石炭や鋼鉄など、既に斜陽の重工業に頼っていた産業構造を見直していること、また莫大な税金をもたらすフォックスコンのことは聞くしかない(他に移られたくない)という構造が見える。

 

河南省もフォックスコンもWin-Winの関係に

実際、石炭や鋼鉄などの国営企業では人が溢れ、多くの人が出勤せずに待機していて(中国では”待業”という)、いつまた職場に戻れるかわからないような状態だ。それらの人達は休職状態であまり多くない給与を与えられているが、国営企業にとっては何も仕事をしていない人達にも給与を出し続けなければならず、そのことが結局無駄な経費として中国全体の経済を圧迫している。

そんな中、フォックスコンのような元気な産業が人が足りないということであればこれは渡りに船だ。給与の一部をフォックスコンに負担してもらってそういった休職状態の国営企業の従業員を使ってもらえば人員をうまく活かせてコスト削減できるというダブルのメリットがある。

もちろんフォックスコンとしても1から人材を募集するよりもコスト削減になる上に、ある程度の学歴や仕事経験のある人で、基本的にやめることのない間違いない人材を雇える(その辺で雇った従業員はすぐにやめてしまって流動性が高い)ということで双方にメリットのある取引になったのだろう。

 

河南省でのiPhone組立比率が増えている背景

そしてフォックスコンが河南省でキャパを拡大している背景には、他のiPhone組立拠点の深圳や成都の発展がめざましく、それらの地域での従業員の平均・最低賃金が上がっている中で、Appleのコスト要求はますます厳しくなるため、まだ賃金が少し低い内陸部に移るしかない現状があるといえるだろう。

河南省は1省だけで人口がほぼ1億人(2015年末で9,450万人)もいて、全体的に産業の転換が遅れ、貧困地域が多く貧富の差が大きい地域だ(そのため人身売買なども横行している)。河南省政府としてはできるだけ早く改革を成し遂げるために、Appleやフォックスコンのようなハイテク企業に省内の経済を牽引してもらいたいという魂胆があるのだろう。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

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