減産なのに?Appleの一部のサプライヤー、旧正月にも3倍の休日出勤給与を追加して生産継続、その理由とは

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中国に駐在や長期出張したことがある人ならわかるだろう。。恐怖の旧暦(農歴)の正月(旧正月、春節)まであと1ヶ月を切った。

中国の工場独特の出稼ぎ工員の旧正月帰省問題

そんな中、Apple(に限らずどこのメーカーも)のサプライヤー工場にとって、頭が痛いのが出稼ぎの工員が田舎に帰って年越しをすることだ。特に中国大陸では旧正月(春節)の休暇を非常に重んじ、基本的には田舎で家族と過ごすようになっているからだ。これは歴史的に連綿と続いてきた文化だけに、解決するのは非常に難しい問題だ。

foxconn-workers

Appleの3つの組立工場は旧正月の工員引き留め作戦を展開

そんなわけで、工場は何とかあの手この手を使って工員に自ら志願して残業や休日出勤をしてもらうように工夫をする。そしてもちろんその中でも最も直接的な方法は、給与を増やしたり、ボーナスを出すことだ。

Appleのサプライチェーンからの情報によると、iPhoneの組立の最大の委託先協力工場、フォックスコン(Foxconn、富士康)は率先して旧正月の残業及び休日出勤代を出すという”工員引き留め作戦”を展開しており、また同じく組立委託先協力工場のペガトロン(Pegatron、和碩、iPhone等の組立を担当)やクアンタ(Quanta、廣達、主にApple Watchの組立を担当)もそれに倣っているという。

 

工員引き留めの目的は必ずしも製品納期を間に合わせるためではない可能性も

WeiPhoneの報道によれば、ペガトロンとクアンタは先日、もし工員が旧正月期間中(今年の旧正月の一月一日、大年初一は太陽暦の1月28日)に自ら望んで休日出勤した人には3倍の給与を与えると従業員向けに発表している。しかしこれらの休日出勤の対象がiPhone組立と関係があるかについては明らかではない。業界内部の情報筋によれば、サプライヤーは必ずしも受注した製品の組立製造に間に合わせるためではなく、旧正月後の人員数の確保のために休日出勤ボーナスを出していると指摘する人もいる(旧正月休暇のあと、戻ってこない工員も多く、人員の入れ替えで品質が下がってしまい、その上教育の費用もかかるという中国工場ならではのジレンマがあるのは製造業に関わる人にとっては周知の事実と思う)。

フォックスコン、ペガトロン、クアンタのような労働集約型企業にとって、毎年旧正月休暇の後に工員が目減りするのは大きな問題となっている。そういうわけで、旧正月期間中の出勤ボーナスを出すことで旧正月中に帰省させず出勤させることで工員を引き留めるのは、一定の程度ではあるが効果のある方法だ。

 

iPhoneは自体は減産

iPhoneの生産キャパの問題については、4日前の12月31日に日本の日経新聞が伝えたところによれば、AppleはiPhoneの発注量を10%減産するという情報もあり、来年の第一四半期の販売台数及び生産台数は予測よりも少なくなる可能性がある。

 

画蛇添足 One more thing…

というわけで、Appleからの需要があるために旧正月出勤ボーナスを出すと早合点するのは危険かもしれない。それぞれの工場にはそれぞれの複雑な事情があるのだ。。

いずれにせよ、大中華圏外では休みではないのに、特に中国大陸は長期休暇に入るので、やはりこの時期は中国でビジネスをやる人にとっては頭の痛い問題だ。毎年発生することなので当然ある程度の対策は取れるが、それでも毎年何らかの想定外の問題が発生してしまう旧正月。。私自身も前職のバイヤー業務では苦労したのを思い出す。。

ただ、フォックスコンはこれまで当ブログでも何度もお伝えしているとおりかなりの量のロボットアームを導入しているということで、労働集約型企業という形態を抜け出そうとしている。ロボットアームであれば旧正月とか関係なく、また労働争議もなく、文句を言うことなく疲れることもなく働いてくれる。。組立作業には人間がいらない時代が来るのはそんなに遠い先の話でもなさそうだ。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

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