かねての予想通り、Appleが深刻な成長鈍化に陥っていることが判明した財務レポートとなった。
本日、Appleが2016年度第1四半期(=会計年度。実際には2015年10月〜12月)の財務レポートを発表した。
全体的に過去最高売上と最高利益の記録を更新したものの、その伸び率は昨年に比べぐっと下がった。そしてiPadやMacにおいてはマイナス成長となっている。
Appleの会計年度2016年第一四半期(2015年Q4)の各種数字
項目 | 2015年Q4 | 2014年Q4 | 前年同期比 |
売上高 | 759億ドル(約8兆9822億円) | 746億ドル | 0.17%↑ |
純利益 | 184億ドル(約2兆1775億円) | 180億ドル | 0.12%↑ |
1株あたり利益 | 3.28ドル(約388円) | 3.06ドル | 0.72%↑ |
粗利率 | 40.1% | 39.9% | 0.05%↑ |
保有現金と有価証券資産 | 2,157億ドル(約22兆5290億円) |
Apple 2015年Q4 デバイス種類別販売台数
項目 | 2015年Q4 | 2014年Q4 | 前年同期比 |
iPhone販売台数 | 7,480万台 | 7,450万台 | 0.04%↑ |
iPad販売台数 | 1,610万台 | 2,140万台 | 24.8%↓ |
Mac販売台数 | 530万台 | 550万台 | 3.63%↓ |
Apple 2015年Q4 地域別売上高一覧(売上高順)
地域 | 2015年Q4 売上高 | 前年同期比 | シェア率 |
アメリカ | 293億2500万ドル | 4%↓ | 38.6% |
中国 | 183億7300万ドル | 14%↑ | 24.2% |
ヨーロッパ | 179億3200万ドル | 4%↑ | 23.6% |
アジア太平洋地域 | 54億480万ドル | 4%↑ | 7.2% |
日本 | 47億9400万ドル | 12%↓ | 6.3% |
2016年1月〜3月決算予測
- 売上高予測:500〜530億ドル
- 粗利率予測:39〜39.5%
2009年からの四半期毎項目別利益比率の推移
Apple 2015年Q4 項目別利益比率
相変わらずiPhoneへの利益の依存率は高く、68%となっている。iPhoneの成長率は0.04%とほぼ0成長となった。今後iPhoneが失速し、マイナス成長に転じた場合は、Apple全体の売上げと利益もマイナス成長に転じていくことになる可能性が高い。
さすがのAppleのiPhoneも、今年2016年に製品ラインとしてのピークを過ぎるのは間違いなさそうだ(そうなると2007年の発表から9年間成長したことになる)。しかしAppleはまだ有効な次の手が見つかっていないのが現状だ。
2,157億ドル(約22兆5290億円)というとてつもない額の現金資産を持つAppleではあるが、もし会社の業績が一気に悪くなるといくらお金を持っていてもどうしようもなくなってしまうこともある。Appleは早急に次の手を打っていかなければならないだろう。
恐らく次の奥の手として考えていたであろうEV(電気自動車)の”Apple Car”研究開発プロジェクト”Titan”はどうやら暗礁に乗り上げているようだし、ますます先行きが不安なAppleといったところだろうか。
Appleのデバイスが世界中で累計10億台アクティベートされる。。でも去年iOSデバイスが累計10億台出荷済み
なお、国内外のメディアで、AppleによるとiOSやMacなどのデバイスを全て合わせて累計10億台がアクティベートされたという情報が出ているが、実は昨年の同期、2015年度Q1(2014年10月〜12月)には、iOSデバイスが累計10億台出荷されたとAppleのティム・クック(Tim Cook)CEOは発表している。
出荷台数とアクティベートされた台数の違いがあるのはもちろんわかるのだが、1年間でiPhone・iPad・Macデバイス合わせて約9,620万台が出荷されているわけで、買い換えがあったにせよ、世の中にはアクティベートされていない端末が案外沢山あるのではないかと思われる(店舗の在庫だけならいいが、何らかのAppleの売上数字の情報操作に使われていたりしていないか疑問や不安も残る)。
記事は以上。