vattiのW杯フランス優勝全額返金キャンペーンで、中国の代理店が失踪した事件の真相とは

今回の記事はAppleとは関係ありませんが、身近な出来事だったので。。思わず記事にしてしまいました。

2018年サーカーFIFAワールドカップロシア大会で、フランスが優勝しましたね。

ところでワールドカップ開催後、フランスの厨房機器メーカーのvatti(華帝)が、中国市場で、フランスが2018ワールドカップで優勝したら対象製品を全額返金としていたのが、本当に優勝してしまいました。

中国のvatti代理店が負債を抱えて失踪、ワールドカップキャンペーンとの関連性を疑われる

そんな中、中国のvatti代理店だった王偉親子（王偉が北京、息子が天津）が売上が悪く在庫も抱え、1億元（約17億円）以上の負債を抱えたため失踪し、6月29日に北京と天津のvattiが差し押さえられる事件が発生し、今回のW杯フランス優勝キャンペーンによる損失によるものではないかと騒がれました。

調査によると、今回のW杯フランス優勝キャンペーンで、vattiが顧客に返金する額は8000万元分(約13.45億円)にのぼったそうです。

実際、ワールドカップキャンペーンのvatti全体に与える影響は小さい

もっとも、vattiの中国市場全体での年間売上高は60億元(約1008億円)なので、実は返金額は大した影響はなかったといえるでしょう。

実際、このキャンペーンを打った費用も、フランスが優勝したとしても昨年の営業費用16億元（約269億円）の1.8％に過ぎないという推測もあります。vatti公式でも、今回のキャンペーンで対象となったセット製品の売上額も、キャンペーン期間中の全売上のうち、実店舗で約7％、オンラインショップで約9.67％だったということで、そこまで大きい割合を占めたわけではありませんでした。

失踪した代理店そのものも、vattiにおける割合はごくわずか

またこの王偉親子はvattiの2番目に大きい代理店で、その大型リセラーが失踪したとして7月2日に針小棒大に事件を紹介していたメディア（北京晨报）もありましたが、実際はこの代理店はvattiの売上のたった2.84％しか占めていなかったこと、また王偉の異変に気付いたvattiのマネージャーが、早めに在庫を移すなどの措置をとっていたため、この親子の失踪はvatti全体的には影響は非常に少なかったと思われます。

更に《证券日报》の記者が、この失踪した代理店はvattiの他にもいくつも家具用品の工場の代理をしていたこと、他にも多くの投資プロジェクトを抱えていたことを調査してつきとめています。更に、vattiは王偉から資金繰りが厳しいという連絡を受け、かなり条件を緩めていたとも報じられています。つまり、王偉親子はvattiの代理をしていたことが原因で倒産したわけではなさそうです。

逆にワールドカップキャンペーンはvattiの売上と利益を押し上げ

逆に、このキャンペーンを打ったことで、vattiの売上は跳ね上がりました。キャンペーンを打った当日、6月18日だけでvattiの売上は前年同日比の450%に跳ね上がり、コンバージョンは86%にも至り、ワールドカップキャンペーンセット製品は業界トップ3の売上に躍り出ました。

更に全体的には実店舗で7億元、オンラインショップで3億元、合計で少なくとも10億元(約170億円)以上の売上の押し上げがあったようで、昨年同期比でそれぞれ20％と30％以上の伸びだったそうです。さすがのW杯経済効果は中国にも波及したといえます。中国代表は出ていないのに（笑）！もちろん、vattiがあらかじめ緻密な計算をもとにこのキャンペーンを展開したのは間違いないでしょう。

vattiの株価は下落、勝手に事件を結びつけた報道が影響か？

ところが哀れなことに、vatti（华帝股份、002035.SZ 深圳株式市場）の株価は無責任に上記のワールドカップキャンペーンと代理店が逃げたという2つの出来事を勝手に結びつけた報道のせいで、3月には40.98元だった株価が、7月頭に15元くらいに一気に暴落してしまっています。そういう意味では、代理店の失踪はvattiに大きな影響を与えたともいえるかもしれません。やはり風評は恐ろしいですね。

記事は以上です。

（記事情報元：Chinese Herald）