iOS脱獄ハッカーのElias Limneos氏(Twitterアカウント@Limneos)が最近、デバイスのハッキングに大きな”進展”をもたらした。その”進展”とは、iPhoneの標準機能、NFCのハッキング成功のことだ。
まずは下の短い動画をご覧いただこう。
上の動画で、Elias Limneos氏が脱獄したiPhone 6sでNFC機能対応のタグとインタラクティブな通信に成功していることがわかる。動画では、iPhone 6sはトークンの存在を素早く感知し、プッシュメッセージを送っている。
Limneos氏によれば、彼はNFCハッキングのためにはnfcd保護プロセスをクラックしなければならなかったといい、理論的には彼のハッキング手法はNFCを搭載している脱獄可能なiOSデバイスであれば、全ての機種に応用できるという。Limneos氏は現在もNFCプロトコルの研究に余念がなく、データの読み書きの管理が正確にできるように力を尽くしているという。
現在のところ、動画でのデモンストレーションで、この方法を使えばNFC対応のタグの読み取りと、それを使った認証が可能ということがわかる。この手法によって、iPhoneを使ってRFID(電子タグ)ゲートを開き、タグをiPhoneの近いところに移動させると、iPhoneが何らかの反応を示すようにも設定できる。
Androidユーザは既にここ数年、かなり機能が整ったNFCを利用できているが、AppleのiPhoneユーザは不便を強いられている。Appleが初めてNFCをiPhoneに搭載したのはiPhone 6からで、その目的はApple Payの取引だった。ただ、現在のところAppleのNFCは基本的にApple Payの支払い(日本版iPhone 7シリーズのSuica含む)にしか使えておらず、その他の機能を開放する計画は今のところないといわれている。
NFCタグが使用できるようになると、事業者にとってもユーザにとってもスマートフォンの活用範囲が拡がる。QRコードでもできなくはないが、いちいちリーダを起動し、カメラを起動したりする手間がかかるのを省いてくれるからだ。
そうなると、また脱獄の価値が出てくるかもしれない(Appleが対策するまでは)。Limneos氏のNFCハッキングツールと脱獄アプリがCydia内で公開されるかどうかは未知数だが、今後このハッキングは面白い流れになりそうだ。ただこれがAppleの耳に入ったら、もしかしたらAppleもNFCタグ機能の開放に踏み切るかもしれない。
記事は以上。
(記事情報元:9to5Mac)