Appleまたスウォッチに敗訴、あのスティーブ・ジョブズのone more thingの商標を守れず

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シドニー・モーニング・ヘラルド(The Sydney Morning Herald)によると、Appleはスイスのスウォッチ(Swatch)との裁判にまた敗訴したということで、今回はオーストラリアにおいてあの「one more thing」の他社製品上での登録商標の使用を止められませんでした。

Steve-Jobs_one-more-thing
Steve JobsのOne more thing…。もはや懐かしささえありますね。

Appleは以前、オーストラリアの特許商標庁に対し、スウォッチが「one more thing」を登録商標として使用することを許可されるべきではない、なぜならあれはAppleの前CEOスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の名言だからだと主張していました。確かに、スティーブ・ジョブズは発表イベントなどの最後にクールに「one more thing」と発言し、そして人々が驚くような製品を発表するというのが定番になっていて、多くのAppleファンがその言葉を楽しみにしていました。現在のCEO、ティム・クック(Tim Cook)もこのone more thingを多用しています。クックのone more thingはジョブズ時代ほどの効果があるとは思えないですが、それでも特に古参のAppleファンにとっては、このone more thingは発表イベントの中で最も期待されているワードであることは間違いありません。

しかしSwatchは「one more thing」は映画やテレビドラマで人気を博した『刑事コロンボ』がよく発言していた“just one more thing.”にインスパイアされたものだと主張しており、これを映画からインスピレーションを受けたという黒い腕時計の発表に用いていたのです。

そして最終的に審査官達はスウォッチ側につき、Appleにスウォッチ側の弁護士費用を支払うよう要求したのです。その理由は、Appleはこれまで「one more thing」を、特定の商品やサービスの中で使ったことがなく、この言葉に対して独占的な使用権がないからということでした。

判決文では、Appleの一部の製品やサービス以外にも、この言葉はいわゆる非常に一般的な言葉で、臨時的に使ってもこの言葉そのものがとある特定の製品やサービスとは結びつきにくいと指摘されています。

実はこれはAppleとスウォッチ間におけるいわゆる短いワードに関する裁判の初めての例ではなく、2社の関係はずっとぎこちないものになっています。以前、Appleは上と似たような訴訟でやはりスウォッチに敗訴しています。原因は、スウォッチが新しいNFC対応のウォッチを発売する際に「Tick Different」という商標を登録して使用しようとしたことです。これはAppleのCMでかつて使われ、人々に大きなインパクトを残した「Think Different」と非常に似ていたため、Appleは自らの商標権を侵害されたとしてスウォッチを起訴しましたが、最終的には敗れました。また2014年5月頃、スウォッチはAppleが多くの国で「iWatch」という名前を使わないように訴えました。なぜなら、同社の製品「iSwatch」にそっくりだからです。最終的にAppleは「iWatch」という名称を避け、「Apple Watch」となったわけですが、これがスウォッチのこの行為と関係があるかどうかについてはわかりませんが、多少の影響は与えたのではないかと思われます。

現在のところ、Apple Watchの販売台数はスイスの腕時計業界全ての販売台数を足したものより多く、ウェアラブルデバイスの販売台数はこれからも2桁成長をしていくとみられています。というわけでスイスの時計業界を代表するスウォッチとAppleはライバル関係になっていて、市場を奪い合っている状態ではありますが、Appleは今回は敗訴しましたが、今後も別の手段でスイスの伝統的な腕時計業界の生き残り空間を更に圧迫していくのではないかと思われます。

記事は以上です。

(記事情報元:9to5Mac

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