Apple、LGBTQを象徴する模様のApple Watchウォッチフェイス”Pride”をロシアでは使用不能に設定

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iOSデベロッパのGuilherme Rambo 氏のTwitterによると、地域をロシアに設定したApple Watchの”Pride”シリーズのウォッチフェイスが使えないように設定されている、とThe Vergeが報じています。正確には、ペアリングしているiPhoneの地域設定がロシアになっていると、表示されなくなるようです。

Apple Watch The Pride

昨年6月にAppleが主催して行われた世界開発者会議(Worldwide Developer Conference、WWDC、毎年開催)で、”Pride”と名付けられたウォッチフェイスが公開されました。このデザインは、LGBTQコミュニティの象徴として用いられる、レインボーフラッグ(プライド・フラッグ)にインスパイアされたものだということが、2ヶ月前に、Appleがしばしばコミットメントとして出している”平等と多様性”の象徴ともいえる、Project (RED)において正式に意味が紹介されたのです(下のPrideと名付けられたYoutube動画参照)。

しかし、Appleのこのコミットメントも、政治的な問題に巻き込まれてしまうと、どこにおいても主張できるというわけではなさそうです。

2013年から、ロシアでは”ゲイ・プロパガンダ法”を打ち出しました。これはヨーロッパ人権裁判所も含めた多くのところで施行されている法で、ゲイへの先入観や偏見を強化し、同性愛者への嫌悪感情を助長するものです。そしてこの法を犯す者には懲役まで用意されているのです。つまりこれは、Apple Watchのスペシャルな”Pride”シリーズのウォッチフェイスやウォッチバンドが、使用しているだけで”ゲイ・プロパガンダ”をしているととらえられるため、ロシアでは法律上使用不能、ということを意味するのです。

Appleが今回のように”Pride”ウォッチフェイスをロシアで使えなくしたことについて、同社を批判するのは確かに簡単ですが、Appleがこんな決定をしたのはもちろん理由があると思われます。批判する前に2つのことを考慮しなければなりません。

1つは、そこに法が存在している、ということです。会社が国や地域で経済活動を行うには、どうしてもそこのローカルルールに適応していなければなりません。例えそのルールが、文明化した世界ではいかに忌まわしいととらえられていたとしても、です。これはグローバル企業としては避けられない問題です。

そして2つ目は、Appleのこの決定は、実はLGBTQのコミュニティや中の人達を、ロシアにおける差別待遇や懲役から守るためのもの、と考えられることです。

つまり、簡単に批判する前に、Appleにもやむを得ない事情があったこと、そしてこのやり方は逆に、当事者の保護に繋がっていることを考えるべきなのです。

そしてもちろん同時に、Appleはこの問題について沈黙を保つべきではありません。Appleの経営陣の実質のトップ、ティム・クック(Tim Cook)CEO本人がゲイであることは、本人がカミングアウトしていて有名です。クックCEOはゲイとして、会社の多様化への世界へのコミットメントをしています。そのコミットメントのステップとして、今回の決定をロシアで行ったことを説明するべきかもしれません。Appleは世界一の時価総額を持つ企業として、沈黙は容認されがたく、そして過剰にやりすぎても偽善にみえてしまいます。同社はこういった敏感な問題に対して、特に元/現共産圏や中東、そしてインドのような、宗教や文化や価値観が欧米と大きく異なるところでは、難しいさじ加減と舵取りをしていかなければならなくなっています。

記事は以上です。

(記事情報元:The Verge

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