Apple、カルテの取寄せに500ドルかかる現状を打破するために医療の領域に進出か

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医者達は、Appleこそが地球上で唯一医療業界を新しい方向に発展させることができる企業だと考えているようです。

Appleはこれまでずっと医療業界を変えることを望んでいました。Apple Watchのますます強大となるヘルスケア機能がその最も典型的な例といえるでしょう。ただ、多くの人はまだ、Appleがソフトウェアの面でも壮大な計画を持っていることを知らないかもしれません。今年1月、Appleは米国で新しいヘルスケアアプリを公開し、各大手医療チャンネルの電子カルテとの相互運用をサポートしています。そして最近米国会計検査院(以下GAO)がレポートを発表し、現在の医療情報が閉鎖的であることを指摘し、暗にAppleによる医療改革を支持した形になっています。

まずそのGAOのレポートの内容はどのようになっているのでしょうか。GAOは、現状では米国で患者が自分のカルテを取り寄せようとすると、”一種のチャレンジ”に直面するとしています。そして一部の患者はカルテ(病歴記録)を調べようとするとなんと500ドル(約55,650円)も支払わなければならないということです。またある患者は、PDF形式でのカルテを取り寄せようとしたところ、148ドル(約16,472円)もの請求書を受け取ったそうです。そして多くのユーザが、自身の病歴を調べようとすると病院側が多額の”閲覧費”を徴収することに非常に大きな不満を抱えていることが浮き彫りになっています。

そして心が痛くなるのが、多くの米国の患者が病院からの多額の請求書を受け取った時に、往々にしてカルテの取得を諦めてしまうことです。確かに患者の病気が非常に重い場合、病気そのものを治すことに比べ、カルテの情報の重要性というのはそれほど高くないように思われるにしても、です。

実は患者だけではなく、医者自身からもカルテ管理システムについては言いたいことがあるようです。2016年のある等計によると、3分の1以上の米国の医者がカルテ管理システムに不満を持っているとされています。なぜなら、メールやFAX、電話や専用のウェブサイトで病院のシステムにログインしないと、これらの情報が調べられないからです。

Healthcare App icon iOS

しかしAppleがこの業界に入ってきてから、以前の医療カルテ管理システムはそれほど”濡れ手に粟”という訳にいかなくなりました。新しいヘルスケアアプリでは、Appleは米国のCedars-Sinai、Johns Hopkins Medicine、Penn Medicine、Epic Systems、Cerner、Athenahealthといった医療機関と提携し、患者がこれらの機関に関連する病院で診察を受けた際に、全ての診察結果や病歴情報がヘルスケアアプリに反映されるようになっているからです。

ヘルスケアに関する投資家のSteve Kraus氏は、「Appleは今まさに、医療データセンターとの間にある壁を壊そうとしているのです。同社は常にユーザに向けてサービスを開放し、アプリを作ってきました。そしてユーザのデータを適切に保管しています。私は今回医療分野で、Appleはよいことを成し遂げているくれることを信じています」と発言しています。

しかし、GAOは同時に、電子カルテへの統一に関しては障壁が高いことを指摘しています。例えば、まずは大量のページのデータやファイルが存在すること、そして多くのデータをスキャンしてネットワーク上にあげなくてはならないという手間、そして医者による難解な筆跡が読み取りを困難にしていること、そしてプロセス上で紙と電子データが同時に混在してしまうことなどに大問題が生じているとされています。

多くの人はカルテの電子化について、”無味乾燥な任務”としていますが、医者の中には、Appleがもしかしたら世界で唯一医療業界を新しい方向へ発展させる力を持っている企業だとしている人達もいます。Appleのジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)COOは、「私たちは将来的には自分で自分のヘルスケアデータを所有することになるでしょう」と発言したことがあります。

日本でもカルテ(診療記録)の開示には各病院も慎重な表記になっていますが、開示手数料は米国ほど高くないようです。紙なら数十円、CDなどの媒体にコピーするには1000円くらいで入手可能です。しかし、媒体にコピーした場合開示時間30分など、外部から見ればはてなマークしか出てこない謎のルールが設けてある病院もあります。例えば、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院では、、

診療記録等の開示に対し、次のとおり料金(消費税別)を定めています。
ア)開示手続料 3,000円
イ)開示手続き料に加算 ①~④については、開示実施時間は30分。超過加算:30分につき3,000円
①診療記録複写代 1枚につき50円
②その他の証明書1枚につき1,000円
③CD-ROM(画像取り込み)1枚につき1,000円
④診療記録保管期限終了証明書1件につき1,000円
⑤医師の立ち会いのもとの説明1診療科1時間まで12,000円
超過加算30分につき6,000円
⑥紙カルテ閲覧30分につき(最長1時間)3,000円

となんだかよく解らないルールを作っているようです。このインターネットの時代にまだこれ!?といった感じがします。しかも、恐らく開示されても医師があまりに達筆で内容解読が困難なため、医師の説明が必要になる可能性が高い。。ので立ち会いのもと説明が必要となるでしょうね。となると、医師の説明には1時間数千円〜1万円円台の値段がつけられているので、いくら単価が安くても、全ての情報が納得できるまで開示されるまでは、やはりそれなりに手数料はかかってしまうのかもしれません。

またその病院以外での診療記録については基本的に開示しないなどのルールもあるようです。その手続が煩雑な理由を、一部の病院は医者と患者の深い信頼関係があった上で公開するもの、ともっともらしい理由をつけていますが、本来診療記録は、患者が今後公平で正確な医療サービスを受けるためにも、患者に対して全て公開されるべきものではないでしょうか。もちろん全てのデータが患者に開示されると、医者の医療ミスなどが指摘される恐れがあったり、そのデータを取り寄せるだけで手数料を取っている天下りの団体などが害を被るなど、大人の事情・闇の部分が大きいのかもしれません。AppleがITやAIの力で既得権益による抵抗が渦巻く”白い巨塔”をどうやって攻略していくのか。。今後の動きに注目していきたいですね。

記事は以上です。

(記事情報元:CNBC

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