アナリストMing-Chi Kuo:Apple、次世代iPad ProでMini-LEDディスプレイを採用か

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TF International Securities(天風国際証券)の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏が、Appleが新技術のMini-LEDディスプレイの採用を加速したことを報告していて、特にこれまでMini-LEDディスプレイのサブサプライヤーとされた中国・福建省厦門(アモイ)に本部を置く三安光電(San’an Optronics)の予想以上の開発スピードと歩留まり改善のおかげで、Mini-LEDディスプレイを搭載した製品、特にiPadラインナップについて新しい予測レポートを発表しています。

iPad-Pro-Mini-LED

Appleの最初のMini-LEDサプライヤーは台湾・新竹の晶元光電(Epister)でしたが、既存の特許などが他社の参入障壁になり得ないことから、上記の三安光電などの競合他社がAppleのサプライチェーンにすぐに参入可能とKuo氏は見ています。その結果、Mini-LEDディスプレイは既にAppleとサプライヤーの中では「技術開発」の段階から、「生産規模やコスト評価」の段階に移行しているとのことです。

Kuo氏によれば、中国・三安光電は既に2021年には大量のチップをAppleに供給できるようになっていますが、逆に従来の台湾・晶元光電は歩留まりの問題が発生したことから、2020年の出荷量はKuo氏が以前予測していた数値の50%程度になってしまい、30万〜40万の間くらいになるということです。

Kuo氏は2021年末まで少なくとも6種類のMini-LEDディスプレイを搭載したiPadやMac製品が登場するとしていましたが、今年2020年末までには、Mini-LEDを搭載したiPad Proにまず最初のバッチが充てられるとしています。Kuo氏は2021年にはサプライヤーによる競争激化によってMini-LEDディスプレイのダイのコストは50%下がり、更に2022年には35%下がると見積もっています。

1,000から10,000程度(ディスプレイによっては15,000のものも)の個別のバックライトLEDを使用するMini-LEDディスプレイでは、従来のLEDベースのディスプレイと比較して、より深く、より暗い黒、より明るい色、より豊かな色彩、そしてより良いコントラストを提供できるとされていますが、そのコストの高さが問題になっています。

コストが高いとなるとiPad ProやMacBook Proのような高い価格で販売できる製品から搭載していくとみられていますが、iPhoneでもiPhone 12 Pro Maxのようなフラッグシップモデルにのみ採用すればいいのに。。と思うのは私だけでしょうか。

ちなみにMini-LEDは従来のLED(液晶ディスプレイ)技術の、バックライトを分割してエリアごとに輝度を制御する「局所輝度制御」あるいは「ローカルディミング」と呼ばれる技術の延長線上にあるものがMini-LEDです。バックライトの分割をより細かくすることで、画柄に合わせてよりきめ細やかな明るさ調整が行え、コントラストアップを狙えるというわけです。ただ、実は現在でもMini-LEDに関しては各社によって基準が異なり、明確な定義がない技術でもあります。

局所輝度制御技術を用いたLED(液晶ディスプレイ)は既に各社から販売済で、更に明確に「Mini-LED採用」とされたディスプレイは中国のTCLがQLED「X10」として既に販売開始しています。このディスプレイは15,000もの直下型ミニLEDライトを768のエリアに分けて局所輝度制御をするというもので、1エリアにつき約20のLEDということになりますが、量子ドット技術との組み合わせで輝度1500ニトを達成しています。しかしこの現行のMini-LED技術はMini-LED 1.0とでも呼べるような初期的な技術で、今後のMini-LEDの技術はVidrian LEDという新技術(Mini-LED 2.0とでも呼べるようなもの)に移行していく予定です。この新技術は画面と同じサイズのガラス基板に数千もの極小LED光源と配線を埋め込み、すべてのLEDを独立してコントロールするというもので、小型化も可能です。

AppleがiPad Pro等に採用しようとしているのがTCLが採用しているようなMini-LED 1.0世代の技術なのか、それとも新技術のMini-LED 2.0世代のVidrian LEDになるのかは不明です。

ただ、今後のディスプレイ技術の本命はやはりRGBのLEDが自発光し、シャッターやカラーフィルタなどを使わないある意味理想的で究極の技術「Micro-LED」であって、Mini-LEDはその繋ぎとして使用される可能性も捨てきれません。

なお、Micro-LEDとMini-LEDの違いについてはこちらが詳しいのでよろしければ参照してください。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors

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