Appleは今年6月に行われたWWDC18(世界開発者会議2018)で、iOS 12からインドのスパム(迷惑メール・迷惑電話)対策アプリの基準に準拠することを発表しました。インドのメディアによると、インド政府はもしiOS 12でスパム対策アプリの搭載が間に合わなかった場合、6ヶ月以内(来年1月まで)にiPhoneを市場から追放するとしています。
TRAIの規定に従って迷惑メール対策アプリ「DND 2.0」を入れないと、iPhoneはインドの通信キャリアのネットワークから除外される
実はこの件は昨年9月から持ち上がっていました。India Todayは20日に「新しい取締り政策のTRAI(Telecom Regulatory Authority of India)は、Appleが譲歩してTRAIが規定するアプリをiPhoneに搭載しなかった場合、当局がAirtelやVodafone、Jioなどの携帯電話キャリアが、iPhoneをネットワークリストから外して登録を解除するように働きかける可能性がある」と報じています。
TRAIには確かに上記のような規定があるようです。もしAppleがTRAIによる「DND 2.0」というアプリの搭載を拒否し、iOS App Storeへの掲載を許可しなかった場合、全てのiPhoneがインド国内の3G/4Gのネットワークにアクセスできなくなるだけではなく、携帯電話としての電信ネットワークにさえ接続できなくなるだろう、と上記メデイアは報道しています。
Appleはコンプライアンスのため、中国政府に引き続きインド政府に譲渡するのか
Appleはこれまで一貫してiOSデバイスにスパムやマルウェア対策アプリをデフォルトで搭載することをしてきませんでした。また、DND(Do Not Disturb)は2016年にAndroid版がリリースされていて、ユーザの通話記録(ログ)やテキストメッセージを参照して、相手からの電話やショートメッセージ(SMS)がスパムかどうかを判断する仕様となっています。しかしAppleは、ユーザのプライバシー保護を理由に、サードパーティのアプリにはiPhoneの通信ログやSMSの内容へのアクセスを認めていないため、結果的にDNDアプリは現在までApp Storeへの掲載を許可されていません。
しかしこれまでAppleは、中国でiCloudのサーバを中国国内企業の管理する中国国内サーバに移管するなど、その国や地域で販売するためのコンプライアンスについては、これまでの方針を曲げてでも実行する姿勢を見せてきました。インドでも、政府の一見無理難題と思える要求を呑むのでしょうか?
また、iOS 12では、通話ログやSMSの内容までサードパーティーに開放する方針なのでしょうか、それともインド以外に販売するモデルについては引き続きTRAIが指定するDNDは入れないようにして、モデル番号を分けるのでしょうか?Appleの具体的な動きが気になるところです。
基本的にiOSではマルウェア対策やスパム対策をしている人は少ない
ところでiOS App Storeには、検索すればマルウェア対策・スパム(迷惑メール)対策アプリは確かに存在しますが、インストールしている人はあまり多くないのではないでしょうか。
それは、iOSがかなり高いレベルでのセキュリティ性能を保っていて、またユーザが基本的に最新版にしか復元できないようにしていることから、最新版を適用しているユーザが圧倒的に多いからといえるのではないでしょうか。
ただ、特に中国に住んでいると異常に多くのスパムや営業電話が多くかかってくるので、「DND」のようなアプリはあった方がいいと思うことはあります。特にインドでも多いのでしょう。脱獄アプリでは、通信ログやSMSにアクセスできるため実現できていたのですが、、
記事は以上です。
(記事情報元:Patently Apple)