調査会社のIDCが10月13日に公表した速報値によると、2026年第3四半期(7〜9月)の中国のスマートフォン出荷台数は約5,790万台で、前年同期比15.4%減となりました。上半期は約4%減でしたので、夏場に落ち込みが一気に広がったことになります。IDCはその原因を、ストレージをはじめとする部品コストの大幅な上昇が端末価格を押し上げ、消費者の買い替え周期がさらに延びたことだと説明しています。
この逆風の中で【HUAWEI(ファーウェイ、華為)】は上位メーカーで唯一の2桁成長を遂げてシェア21.1%となり、Appleも発売した機種数が減ったにもかかわらずシェアを17.8%へ伸ばしました。

1年で約1,060万台減、値上げで更に延びる買い替え周期
IDCの前年同期(2025年第3四半期)の公表値は約6,846万台でしたので、今回の速報値との差は約1,060万台です。しかもその前年同期は、中国政府によるスマートフォンの買い替え補助金の引き締めで既に前年比0.5%減と伸びていなかった四半期です。2年続けて前年を下回り、今年は減少幅が大きくなりました。前期(4〜6月)の約6,601万台と比べても12.3%減です。
IDCは7月の第2四半期の発表の時点で、安く仕入れた部品の在庫が尽きる下半期にコスト圧力が頂点に達し、下半期の出荷は前年比20%前後の減少になると予測していました。第3四半期の15.4%減はまだその手前ですが、今回のIDCの見通しでは、第4四半期も各価格帯で新機種が多数出るにもかかわらず市場は改善せず、コスト圧力は2027年の大半まで続くとしています。
値上げの大きな要因はメモリ(半導体)価格です。TrendForceは7月3日の予測で、第3四半期の従来型DRAM契約価格が前期比13〜18%、NAND型フラッシュメモリが10〜15%上がると見込んでいました。スマートフォン向けのメモリも供給が厳しく、メーカーが端末価格を引き上げることで販売に響くと予測しています。当ブログでも8月にiPhone 18 Proの部品原価が4割増になるという予測をお伝えしました。部品の値上がりが端末の価格に反映され、買い替えをためらう人が増えるという流れが、中国市場の出荷にも表れています。
HUAWEIとAppleでシェア38.9%、両社以外の出荷は約25%減
IDCの各社別のシェアと増減率を伝えた9to5Macによると、次のようになっています。HUAWEIは前年同期比17.3%増でシェアは15.2%から21.1%へ、Appleは4.3%減ながらシェアは15.8%から17.8%へ上がりました。2社を合わせたシェアは31.0%から38.9%となり、中国向けに出荷されたスマートフォンの4割近くをHUAWEIとAppleが占めています。

総出荷台数と各社のシェアから概算すると、HUAWEIは約1,220万台、Appleは約1,030万台で、両社以外は合計約3,540万台です。前年同期の総出荷台数と当時のシェアを使った同じ計算では、両社以外は約4,720万台でした。1年で約25%減った計算で、市場全体の15.4%減を大きく上回ります。公表された総数と丸められたシェアを組み合わせた概算ですが、出荷の落ち込みがHUAWEIとApple以外に集中していることが分かります。IDCもAndroidメーカーと中小ブランドへの圧力が特に大きいと指摘し、主要メーカーで唯一前期比で増えたHonorには回復の兆しがあるとしています。
HUAWEIが伸びた理由としてIDCは、幅広い製品ラインナップと、他社に比べて値上げ幅を抑えたことを挙げています。第2四半期も19.4%増でしたので、2四半期続けて2割近い伸びです。ただし前期比で見るとHUAWEIは17.6%減で、市場全体の12.3%減より大きく落ちています。前年比の独走ぶりだけを見るとHUAWEIは無風のように見えますが、夏場の失速は他社と同じで、前年同期比の成長と、直前の四半期からの減少が同時に起きています。9to5Macはこのほか、Lenovoが前年比1.1%増、Samsungが前期比106.5%増、Wikoが前年比74%減でシェア2.6%から0.8%になったことも挙げています。
機種が減ったAppleが4.3%減で済んだ理由
IDCはAppleについて、新機種への市場の反応は予想を上回ったものの、今年は投入した機種数が少なかったため出荷は小幅減になったと説明しています。具体的には、9月18日に発売されたのはiPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxの2機種で、無印iPhone 18は今回発表されませんでした。iPhone Duoの発売は10月23日ですから、発売時期は第4四半期に当たります。前年の同じ時期はiPhone 17・iPhone 17 Pro・iPhone 17 Pro Max・iPhone Airの4機種が9月19日に出そろい、IDCは当時、無印iPhone 17の需要が供給を上回っていたと記しています。前年に供給が追いつかなかった標準モデルの新機種を投入せず、前年同期比4.3%減にとどまったことになります。
新機種の反応については、当ブログでもお伝えした通り、iPhone 18 Proシリーズの中国での発売初週が約130万台という個人集計をIT之家が報じています。前年のiPhone 17 Proシリーズの115%、Proシリーズだけで前年のiPhone 17シリーズ全体の初週の約9割に達したとのことです。中国の発売価格もiPhone 17 Proから据え置かれました。この初週の販売集計は、IDCの四半期の出荷統計とは対象が異なります。それでも、高価格帯のProシリーズに買い手が集まったという報告は、IDCが述べる新機種の好反応と重なります。HUAWEIの値上げ幅の抑制とAppleの中国での発売価格据え置きは、値上げが続く市場で購入を後押しする要素と考えられます。
一方で前期比ではAppleも15.1%減です。第2四半期のAppleは、下半期の値上げを見越した駆け込みでiPhone 17が売れて24.4%増でしたので、夏までに需要の一部を先食いしていたわけです。第4四半期にはiPhone Duoが加わります。当ブログでも、発注を3割増やしても年内の総量は1,000万台未満という報道を紹介しました。ただし、これは世界向けの発注の話です。中国への配分と既存のiPhoneからの買い替えの割合によって、中国市場の出荷に上乗せされる台数は変わります。
小龍的にはこう思った
小龍的には、IDCが第2四半期の発表で示した上半期の価格帯別の動きが気になります。約6万3,400円(400ドル)未満の機種のシェアは前年同期から11.8ポイント縮み、約9万5,100円(600ドル)以上は10.4ポイント広がったとしています。IDCは、低価格帯の利益が部品コストに圧迫され、メーカーが安い機種の生産と投入を減らしていると説明しています。つまり、買う側が高い機種を選んでいるだけでなく、売る側も安い機種を減らしている(というより減らさざるを得ない)ということです。Xiaomi(シャオミ、小米)についても、利益を守るために低価格機の出荷を抑えたとIDCは記しています。手頃なスマートフォンを探している人にとっては、価格と選択肢の両方に関わる動きですね。
IDCは、部品コストの圧力が2027年の大半まで続くと予測しています。日本で売られる端末にも同じメモリが使われる以上、部品の値上がりは日本のメーカーや販売価格にも関わります。円安も重なる中、新品の下位モデルの供給が絞られているため、「発売から待てば安くなる」と後回しにするのは得策ではありません。買い替えが必要な人は、Apple公式の認定整備済製品や状態の良い中古iPhoneを狙うか、必要な容量の在庫があるうちに型落ちモデルを早めに確保するのが、結果的に一番安く手に入れる確実な方法です。
あとは、以前も書いたことがありますが、Appleは認定整備済製品として、公式に修理した中古品を公式ストアで販売しています。人気商品は競争率が高いですが、ここで旧機種を手に入れるのが一番安心かと思われます。私も最新でなくてもよいもの、またiPhoneやApple Watchのように常に身に付けて使うものではなく、また特に新品でなくてよいジャンルの製品については時々利用しています。やはり公式が一番安心ですからね。変な中古屋さんで買うよりいいと思います。
しかしHUAWEIは高級EV尊界(製造はJAC、江淮汽车)で今月発生したブレーキポッキリスキャンダル(第三者によるテストで複数発生)が今後スマートフォンシェアの方にどのような影響を与えていくかに注目が集まります。HUAWEIは中国ではリコールもせず、自社試験では問題ありませんでしたと火消しに走っているようですが。。
記事は以上です。
(記事情報元:IDC、9to5Mac。参考:IDC 2026年第2四半期、IDC 2025年第3四半期、TrendForce。円換算は三菱UFJ銀行が2026年10月14日に公表した仲値TTM(1ドル=158.46円)による参考値です)




