【消せない広告が来た】Apple Mapsに広告表示が始まる。検索結果の最上段に「Ad」、オフにする設定はなし

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ついに来てしまいました。【Apple Maps】での広告表示が、米国とカナダで始まりました。検索すると、結果の最上段に青い「Ad」ラベル付きの店舗が1件表示される形です。検索後の「おすすめの場所」にも広告枠があります。そして重要な点がひとつ。この広告をオフにする設定は存在しません。
車内の地図アプリの検索結果で、最上段だけが青いタグ付きで表示されている様子(イメージ)

検索結果の最上段に、青いタグ付きの1件。画像はイメージです。

何がどう表示されるのか

  • 対象は今のところ米国とカナダ。数週間かけて表示量が増えていく
  • 検索結果の最上段に1件、青い「Ad」ラベル付きで表示
  • 検索後の「おすすめの場所」欄にも広告が入る
  • Appleいわく、広告への接触はAppleアカウントに紐付けず、第三者にもデータを渡さない
  • オフにする設定はない。iCloud+などの有料会員でも同じ

海外の掲示板の反応は辛辣で、「ティムの置き土産」という皮肉まで飛んでいます。9月1日のCEO交代の直前に、嫌われ役の施策を滑り込ませた格好だからです。

なぜAppleは地図に広告を入れるのか

答えは検索連動広告の旨味です。地図で「ラーメン」と検索する人は、いまからラーメンを食べに行く人です。これほど購買に近い検索はWebにもなかなかありません。Googleマップが長年やってきたことで、Appleだけが手を付けずにいた金脈でした。

そして時期も偶然ではないと思います。App Storeの手数料収入は、米国で18%減るなど世界中の規制で削られ続けています。サービス部門の成長を守るには、新しい広告枠を開くしかない。地図はその第一候補でした。

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そもそも、どれだけの人がApple Mapsを使っているのか

ここで一度、実際の使用率を調べてみました。推計は調査会社によってまちまちですが、傾向は驚くほどはっきりしています。

  • Googleマップの月間利用者は20億人超。世界で最も使われるナビアプリで、2位以下を大きく引き離す
  • スマートフォン利用者の7割以上がGoogleマップ派という調査がある
  • 利用者数の推計では、GoogleマップとApple Mapsの間に数倍から10倍前後の開きがあるとみられる
  • そして肝心のiPhoneユーザーに限っても、Googleマップを選ぶ人が多数派という調査が複数ある。Apple Mapsを第一に使う人は1〜2割にとどまるという数字も

つまり、iPhoneに最初から入っている地図なのに、多くの人がわざわざGoogleマップをダウンロードして使っている。「Googleマップの方が使いやすい」というのは好みの問題ではなく、数字に出ている現実なのです。

その劣勢のアプリに、消せない広告を載せたらどうなるか。Apple Mapsに残っていた数少ない取り柄は「余計なものがない純正の地図」であることでした。そこを自分で削るわけですから、ただでさえ少ない利用者を、さらにGoogleマップへ押し出すことになるのではないか。私はそこを危惧しています。広告収入と引き換えに利用者の土台が痩せていくなら、商売としても本末転倒です。

正直に言うと、私はApple Mapsをほとんど使ったことがない

ここからは中国在住者としての話です。最初に告白しておくと、私はApple Mapsをほとんど使ったことがありません。だから今回の騒動も、正直なところピンと来ていません。

理由は単純で、中国では高徳地図(Gaode)や百度地図の方が圧倒的に使いやすいからです。特にナビは超優秀で、車線単位の案内から渋滞の読み、到着時刻の精度まで、日々の移動で困ることがまずありません。中国のApple Mapsは高徳のデータを借りて動いていますが、それなら本家を使う方が早い、というのが実感です。

そして、広告の話には続きがあります。高徳や百度も、かつては広告が出ていました。ところがその後、中国では当局によるアプリ広告への締め付けが続き、地図アプリの広告は目立って減っていった。つまり今の中国の地図アプリは、規制の力で広告が片付いた後の姿なのです。プライバシーを看板に掲げてきたAppleが、中国が規制で終わらせた方向へ、いまから歩き出そうとしている。ずいぶん皮肉な逆行だと思いませんか。

広告枠というのは、自主的には閉じません。売上が立てば翌年はその成長を求められ、枠は増えていく。Googleマップの広告が年々増えてきたのがその実例で、閉じるとすれば、中国のように外から力が働いた時だけです。今日の「検索結果に1件だけ、明示ラベル付き」は一歩目として上品な形ですが、一歩目だから上品なのです。

Appleの言い分——アカウントに紐付けない、第三者に渡さない——は、たしかに他社よりまともです。ただ、ユーザーが問うているのはプライバシーではなく、「金を払って買った端末の純正アプリに、消せない広告が載ること」の是非です。ここに答えていない限り、反発は続くと思います。

日本と中国への展開は

今回は米国・カナダのみで、日本や中国への展開は発表されていません。ただ、この種の施策が儲かると分かれば広がるのは時間の問題です。なお中国のApple Mapsは高徳地図のデータで動いている特殊な作りなので、広告の入り方も別の形になるでしょう。

iPhoneの純正アプリは「広告がないこと」が暗黙の約束でした。その約束が、静かに書き換えられた日として記録しておきます。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors

※記事中の画像はイメージです。

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