【まだ使えてます】中国でのVPN規制強化のニュース!実情と今後の対策について考察

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突然日本を駆け巡った、中国政府当局によるVPN規制強化のニュース

昨日、Yahooニュース(時事通信社)をはじめ、各大手新聞などでも中国政府当局(工業・情報化省、以下工信部)のVPN規制強化についてニュースが駆け巡った。

実際中国でVPNを使っている者として、また中国国外ではあるがサービスを提供している者として、このニュースについては非常に多くの方からお問い合わせを受けたので、記事にまとめておきたいと考えた次第。

まずは時事通信社によるものだが、Yahoo!ニュースになって拡散したと思われる。

時事通信社が出したためか、朝日新聞デジタルやロイター社、NewsPicsなども採り上げている。

他にも、キュレーションメディアなどがこんな書き方をしている(ロケットニュースとエンガジェットは比較的冷静に書いている感じ)。

 

日本のニュースが参考にしたと思われるネタ元ニュースとは

日本のニュースでは出典を書いていないが(キュレーションメディアは別)、その元となった報道は香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)の記事だと思われる。

 

元のソースには「利用者の規制強化」については書いていない。あくまでサービス提供者への規制強化、許可制の導入

ニュースにはニュース配信をする企業や人によって色々とバイアスがかかるのは周知の事実。。そんなときはやはり原本を読むに限る。ということで、中国工信部の通達の原文を見つけた。

これによれば、特に利用者に対する規制については何も書いていない。

VPNに関していえば、「二、工作重点(仕事の重点)」の「(二)严格资源管理,杜绝违规使用(リソースの管理と違法利用の断絶)」の4項目目に以下の一文があるだけだ。中国語原文と私の拙訳を載せるとこんな感じだ。

4.违规开展跨境业务问题。未经电信主管部门批准,不得自行建立或租用专线(含虚拟专用网络VPN)等其他信道开展跨境经营活动。基础电信企业向用户出租的国际专线,应集中建立用户档案,向用户明确使用用途仅供其内部办公专用,不得用于连接境内外的数据中心或业务平台开展电信业务经营活动。

4. 違法に越境サービスを展開している件について。電信主管部門の許可を得ずに、自ら専用線を建てたりレンタルすること(擬似専用ネットワークVPNを含む)等、その他のチャンネルを使って越境経営活動をすること。基礎電信企業がユーザに対して貸し出す国際専用線は、集中したユーザデータベースを作り、ユーザに明確な使用用途を企業内部の事務専用とすることを明確にし、国内外のデータセンターや業務プラットフォームにアクセスして電信業務経営活動を行ってはならないとする。

つまり、あくまで、サービス提供者(しかも中国国内で中国工信部の管轄を受ける業者)に対する規制を強化し、VPNを含む専用線サービス提供は電信主管部門による許可制にするというものだということがわかる。

 

誤解を生むようなニュースが蔓延か

これら上記のニュースを読んでみると、時事通信の情報は「サービス提供者への規制」ということが明記されているが、朝日新聞デジタルのニュースではその部分がすっかり抜け落ち、VPNの使用が難しくなる、ということだけが書かれてしまっている。

これではまるで利用者側への規制があるような誤解を招いてしまうのではないだろうか。

 

既に行われている、中国政府当局によるVPNへの規制

事実上、中国ではVPNへの規制はとっくに行われている。サービス提供側にも、利用者側にもだ。規制強化のニュースも、また来たか、という感じもする。

元々、中国政府の施策として行われてきた「ネット規制」を回避する方法は、どんな方法であっても中国政府にとっては「違法」に決まっているのだ。今回のお達しで管理部門がはっきり決められて明文化された、というような意味合いしかないのではないかと思う。

一部のプロバイダや電信キャリアではプロトコル全体に対する規制を行ったり、また無料VPNサービス提供者は軒並みIPが規制されたり、有料VPN業者でもある程度のアクセスが集中すると中国国内外業者問わず狙い撃ちされるなど、実際の動きとして中国では規制がずっと以前から行われてきたのが事実だ。またとあるポートがオープンになっているサーバは自動的にアクセス不可にされるなど、人的な判断ではなく機械的な判断で規制がかかっていることもある。

そして今後規制が強化されるにしても、全く中国でVPNが使えなくなるわけがないと私は考える。

その理由は3つある。

  1. 正当な理由でVPNを使っている企業もある
    拠点間通信などでVPNを使っている企業もあり、VPN全体を規制すると経済活動に影響する。政治イデオロギーや政策も大事だが、企業に不便になるようなことをしては企業からの共産党への支持が得られなくなるため、そこまではやれないだろう。ただし、使用を許可制にしているのは間違いない。
  2. VPNをガス抜きにしている
    中国がネット規制をするのは、貧困層など予備知識のない人が、国外の中国批判など、中国政府にとって都合の悪い情報を読んで鵜呑みにしてしまうことを避けるためだ。しかし知識層はもちろんそんなことは知っている。。それは共産党幹部も周知の事実だ。そして毎月お金を払ってでも外の情報を見たい人には勝手にさせておけ、という一種のガス抜き作用があるものとみている。
  3. ネット規制=中国政府当局による”関所”である
    関所は徴税、検問の場所だ。中国政府当局が設定するネット規制装置、GFW(金盾)は正に、関所であるといえる。「関所を作れば通行料を徴収できる」。。この一言で殆どのことを表せるのではないだろうか。。関所の設置目的は、表向きには中国国内企業のサービスを守るため、また中国政府にとって有害な情報を見られないようにするためであるが、他にも目的が。。そう、抜け穴を作ることでも、彼らは更に儲けることができるのだ。。あまりにグレーゾーンなのでこれ以上は書かないが。

そして、中国は何らかのイベントがあった時にネット規制を強化するということもこれまであった。特に六四天安門事件記念日の前後、何らかの共産党大会や全人代の前後などだ。今回もそれの一環の可能性だってある。

 

規制強化発表後の実際のVPN接続状況について

実際、今月に入ってからスピードが遅くなったり切断されやすくなったという情報もなくはないが、私自身が使っているVPNは特に問題なく使うことができている。

当方が提供しているサービスは、香港法人であり、また中国国内で営業しているわけではないので特に影響を受けるとは思われない。もちろん、中国国内で提供されている業者のサービスを使っている人はすぐに繋がらなくなる可能性もあり、要注意かもしれない。

ということで、あまりこのニュースでVPN接続が不可能になることを心配しすぎる必要はないような気がする。

 

中国政府当局によるVPN規制強化、今後の対策

とはいえ、やはり規制された状態ではやはり大変不便になる。。そして今回規制強化が発表された以上、今後は現在問題なく繋がっているVPNサービスやプロトコルにも規制がかけられる可能性もある。

ということで、やはり今後の対策として、以下の数点が挙げられるのではないだろうか。

  • 無料のVPN接続サービスはますます規制強化される可能性があるので避けるか、頻繁に切り替える
  • 複数のVPN接続サービスを用意しておく
  • 国外のVPN接続サービス業者を利用する
  • 上記の条件で、接続先やプロトコルが多い業者を選択する
  • サービス提供者が提供するサービス業者固定型VPNルータなどの使用は避ける(サービス業者が飛んだらただのルータか繋がらないルータになってしまう)

上記を踏まえて、当ブログではいくつかお勧めの有料VPNサービスがある。こちらのページにまとめているのでよろしければぜひご参考まで。

記事は以上。

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