先ほど当ブログでもお知らせした通り、Appleが本日から、一部のiPhone 7が圏外になってしまう問題で、無償修理プログラムを提供し始めました。
Appleは基板上の部品の問題、としか言及していませんが、中国のiPhone修理屋で影響力を持つGeekBarが、実際に圏外問題の端末を修理した経験が豊富にあることから、一体どのようにして圏外問題が起こっているのか、技術的な解説をしています。
iPhone 7の一部モデル番号の機種が圏外になる現象の詳細
まず現象として、SIMカードを挿した後、圏外或いは検索中…と表示されてしまうというものです。そしてそうなっている時に設定>一般>情報に入ると、【モデムファームウェア】の項目が空白になっているとのことです。
そして最悪の場合はこの状態で再起動すると、Appleロゴの画面が表示されたままフリーズし、システムが起動しないこともあるそうです。
iPhone 7の圏外問題の原因、詳細解説
さて、この問題は技術的にはどのような原因なのでしょうか?GeekBarは、「RF回路の故障」としています。
まず、これがiPhone 7のロジックボード(メイン基板)の表裏です。
iPhone 7には2つのハードウェアバージョンがあります。その区別は、ベースバンドモデムチップの種類によって変わっています。
- CDMA2000もカバーした3ネットワーク版:クアルコム(Qualcomm)MDM9645(右)
- CDMA2000をカバーしていない2ネットワーク版:インテル(Intel)PMB9943(左)
そしてGeekBarが修理している中で圏外問題が発生しているのは、クアルコムMDM9645に集中しています。そして問題が起こっているモデル番号はA1660、A1779、A1780だそうです。これはAppleの記述とも整合性がありますね。
そしてクアルコムMDM9645の回路内部で、コアへの給電がショートすることがあり、またチップ内部でもショートが起こることもあるそうです。これが圏外になる(つまりベースバンドモデムチップが作動しなくなる)原因だそうです。ハードウェアの問題ということですね。
ただ、なぜ上記のショートが起こるのかどうかについては言及されていませんので、真の原因はわかっていないといえます。調達や品質管理が主な仕事だった私にとってはちょっと不満という結果になりました。これはクアルコムやAppleの問題調査結果の発表を待つ必要がありそうですが、もしかしたらそのような調査結果は公開されないかもしれません。
そしてベースバンドモデムチップはA10 FusionチップやDRAMチップ、ベースバンドコードチップと密接な関係があるため、単独で交換することはできません。交換してもiPhone 7全体が作動しなくなるのです。
というわけで、これはやはりサードパーティの修理屋さんでは手に負えないクラスの問題で、Appleでの修理が必要となります。
Appleの無償修理プログラムの対象機種やプログラムの詳細
詳細は、当ブログでも記事にしていますのでご参照ください。
クアルコムとAppleは特許についての裁判を抱えており、今回の件はハードウェアの問題のため、クアルコムはAppleから損害賠償を請求される可能性があります。。今後この2社の関係はどうなっていくのでしょう。クアルコムとサムスン(SAMSUNG)は和解しており、Appleとも和解の道を探って欲しいところです。
記事は以上です。
(記事情報元:GeekBar WeChat)