AppleのiPhone X売上減少で、サムスンは有機ELディスプレイが生産余剰に?

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日経Asian Reviewが、AppleのiPhone X生産数の減少によって、サムスンディスプレイ(以下サムスン)が有機ELディスプレイ(OLED)のApple以外の客先を探していると報じています。

iphonex_日本版

有機ELディスプレイはLCDに比べて圧倒的にコスト高

有機ELディスプレイはもともと非常に製造コストが高く、同様に色をはっきりと表示可能な低温ポリシリコン製のLCD(液晶ディスプレイ)よりも40%もコストが高く、しかもiPhone X用は端を折り曲げるなど特殊な加工となっていて、その価格は同じくサムスンが供給するiPhone 8 Plus用のLCDパネルの倍にもなります。

AppleがiPhone X用にキャパ確保の後に生産調整をしたため、サムスンは余剰生産状態となった?

Appleが最初のiPhone Xの生産のためにサムスンで大きなキャパを確保した後、生産量を調整したこともあり、サムスンの生産設備が余剰気味になっていること、またサムスンが自社ブランドのスマホでは有機ELディスプレイを消化しきれないことが原因で、サムスンはApple以外の有機ELディスプレイを外部に販売することが増えているようです。

サムスンの有機ELディスプレイ販売にのしかかる2つの問題

ただ、2つの原因でサムスンは有機ELディスプレイの販売先に困っているようです。1つは、価格の問題です。前述の通り、有機ELディスプレイは従来のLCDよりもコストが高く、それを吸収できるハイエンドのスマートフォンについて、Apple以外のメーカーは数を売ることができない現状があります。これまで有機ELディスプレイの採用が決まっていた他社も、市場全体の低迷とコストの高さから、LCDに固執してしまう傾向にあるようです。

またもう1つの原因は、有機ELディスプレイの製造については、同じ韓国のLGディスプレイや中国のBOEテクノロジーグループ(京東方)と天馬マイクロエレクトロニクスも中国政府の補助金を受けて新工場を立ち上げていて、有機ELディスプレイの世界全体の生産量は2017年と比べて2020年には倍増することが予想されるからです。現在のサムスンの有機ELディスプレイの供給量は世界シェアの95%と支配的な割合を占めますが、それが今後崩れていくことが予測されます。他社としても、相見積をとって少しでも仕入れ価格を下げたいと思うでしょう。

サムスン、有機ELディスプレイ工場の稼働率は50〜60%

サムスンの有機ELディスプレイ生産工場の稼働率は約50〜60%と低迷していて、その原因は世界的なスマートフォン市場の低迷とされていますが、その設備はもともと最初に膨れあがったiPhone Xの需要のために導入したものであって、AppleがiPhone Xの発注量を減らしたことで余剰生産状態となっているのが現状のようです。

iPhone X生産台数を半数に調整したというのは本当?

ただ、今年1月末には、iPhone Xの売上の低迷によってAppleはiPhone Xの生産委託先への発注を2017年第四四半期の4000万台から半分の2000万台に減らしたという報道がありましたが、村田製作所の藤田能孝取締役副会長がロイター(Reuters)に語ったところによれば、Appleの発注数減少はそこまでではないとのことです。また、ティム・クックCEOもiPhone Xの販売は好調であることを2017年Q4の財務レポート報告で述べていて、その内容とも食い違っています。

iPhone X不調の情報がどこから出たのかということにも注意を払ったほうがいいかもしれません。。もしかしたら、ライバル会社が仕掛けたニュースの可能性もなきにしもあらず、だからです。実際の販売状況は、市場や生産現場に表れるものです。ただ、市場調査会社や生産現場に近いとされるアナリストも、情報を売る相手のことを考えたり、情報を出すことによって顧客を誘導する立場にあるため、分析にはある程度バイアスがかかっているものとみたほうがいいかもしれません。

記事は以上です。

(記事情報元:日経Asian Review9to5MacApple Insider

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