KGI証券の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏が、本日投資家向けのレポートで、Appleが来年リリースするiPhone(iPhone 9?)で、より多くのLCPアンテナモジュールを導入し、それによってLTEの伝送速度が更に向上すると予測しています。
Ming-Chi Kuo氏は、来年の新型iPhoneでは少なくとも2つのLCP LTEアンテナモジュールが使われるとし、iPhone Xと同様ですが、4×4 MIMO(データの送信側=基地局と受信側=ルーターのそれぞれに4本のアンテナを搭載し、複数のデータを同時に送受信する技術)のサポートが増えてiPhone Xよりも更に進んだものになるとしています。
レポートでは、「アンテナ設計のアップデートは、次世代iPhoneで予測されるLTE伝送速度向上のキーとなる要素となっています。LTEアンテナのFPCB(フレキ基板)の材料として、LCPは広州は、熱性能及び対湿度性能において、現行のPIより優れています。私たちは、新型iPhoneはiPhone Xと同様2つのLCP LTEアンテナモジュールを搭載すると予測しており、もしかしたら更に多くのモジュールを搭載するかもしれません。そして仕様がアップグレードし、4×4 MIMO基準がサポートされるでしょう」と記述されています。
先週Kuo氏は、Appleの次世代iOSデバイスでは、モデムチップ(ベースバンドチップ)として、インテル(Intel)のXMM 7560とクアルコム(Qualcomm)のSnapdragon X20が搭載されると予測していて、それによってLTE伝送速度の向上を図るとしていました。この2種類のモデムチップでは、上記の4×4 MIMOテクノロジーがサポートされていました。ちなみにこれまでのiPhone(iPhone X、iPhone 8シリーズ)では、2×2 MIMOまでサポートされています。
4×4 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)では、複数のパケット通信用のアンテナを使うことで、劇的に伝送速度を改善するというもので、日本ではUQ WiMAXが世界初の4×4 MIMO導入で下り最大速度220Mbpsを実現しています。
なお、これまでのKuo氏のレポートでは、Appleは来年のために3種類のiPhone用を開発中としており、1つは【iPhone X】を踏襲する5.8インチディスプレイの有機ELディスプレイ(OLED)モデルで、もう1つは6.5インチの有機ELディスプレイのモデルで、【iPhone X Plus】と呼べるようなモデル、そしてもう1つは6.1インチの液晶(LCD)モデルで、最後の1種類は最も廉価で販売されるとしています。Kuo氏は、この3種類の新型iPhoneは、外観は【iPhone X】スタイルのベゼルレスでホームボタンとTouch IDが廃止され、Face IDを使って認証するタイプに統一されると予測しています。
Kuo氏はAppleは2018年後半に1億〜1億2000万台のiPhoneを出荷すると見込んでおり、2018年度にはスーパーサイクルを迎えると予測しています(ちなみに、米投資会社のモルガン・スタンレーも同様の予測をしています)。スーパーサイクルは別名コンドラチェフの波とも呼ばれ、古い機種を持っているユーザーの大きな買い替え需要を意味します。
LTEの通信速度が速くなることはいいことですが、全ての新型iPhoneからホームボタンとTouch IDが消えるとなると、本当にAppleは10年でiPhoneのデザインを見直した、ということになりそうです。個人的にはまだまだFace IDや、ホームボタンなしのスワイプ操作には改善の余地があるのではないかと思います。6.5インチや6.1インチモデルはかなり画面が大きくなりそうですね。
そしてiPhoneは来年以降は、有機ELディスプレイモデルのiPhone XとX Plusの発展型、そして廉価版の液晶ディスプレイモデルのiPhone 9という3種類の展開になっていくのでしょうか。価格が気になってしまいますね。。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)