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どちらかが嘘をついている?FBIがセレブライト社にテロ犯のiPhone 5cをロック解除依頼した支払金額に新たな証言

Appleが昨年の頭頃、FBI(米国連邦捜査局)がカリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃撃テロ事件の犯人、サイード・ファルクの持ち物だったiPhone 5cのロック解除を拒絶してFBIとの諍いが起こったことは業界だけではなく世界的なニュースになった。その後FBIはサードパーティの解除会社(イスラエルのセレブライト社)の力を借りることで解除に成功し、この件は収まった。その際、FBIはセレブライト社にロック解除方法を手に入れるために多額の費用を支払ったとされている。

しかし最近のCNBCの報道によれば、民主党下院議員、Dianne Feinstein氏が最近公聴会で、FBIが昨年銃撃テロ事件の犯人のiPhone 5cを解除するのに要した金額は90万ドル(現在のレートで約1億122万円)だったと明かしたという。

民主党下院議員のDianne Feinstein氏

だが、Feinstein氏が今回暴露したこの数字は、以前FBIのJames Comey局長が婉曲的に公開した数字と異なっている。Comey局長はまずサードパーティ(名前は明らかにしなかったがセレブライト社であることは間違いないとされている)に、100万ドル以上の金額を支払ったとしていた。昨年ロンドンで開催されたセキュリティカンファレンスで、Comey局長は「あの時のデバイスの解除には、私のFBI局長の地位で退職までにもらえる給与ほどを支払いました。私はあと7年4ヶ月で退職の予定ですが」と語っている。

ロイター(Reuters)社がこの発言を元に計算したところ、Comey局長が退職するまでの7年4ヶ月の期間内に、更に134万ドル(現在の給与で1億5千万円)の給与が支払われることがわかった。そしてこの中にはボーナスや福利厚生は入っていない。

となると、Feinstein議員とComey局長の2人が挙げた数字は異なるということになるが、なぜそうなったのかについては真相は不明だ。AppleとFBIとの訴訟の中で、Feinstein議員は下院情報委員会の中で最も権威のある民主党下院議員で、所謂”8人組”の中の一人とされている。彼らは定期的に政府の極秘行動事項に触れることができる立場であることから、Feinstein議員も出鱈目を言っているようには思えない。一方、Comey局長も当事者のFBIのトップということでさすがに嘘をつくとは思えないが、ただ具体的な金額よりも自身の給与を引き合いに出したということはある程度金額をぼやかす目的があったのかもしれない。

今のところ、FBIもFeinstein議員の事務所もこの件について何らコメントをしていない。

しかしいずれにせよ、1億円以上の金額を支払ったというのは間違いなさそうだ。

ちなみに当ブログでもお伝えしたとおり、先日FBIのComey局長は昨年1年で半数のモバイルデバイスの解除に失敗したことを明らかにしている。

米国連邦捜査局(FBI)のJames Comey局長が先週の公聴会で、会計年度2017年の前半で、FBIは3000台ものモバイルデバイスのロックを解除し、中の情報を取り出そうとしたが、そのうち約半分ほどの解除に失敗したと発表している。
FBIのComey局長、現在の技術ではモバイルデバイスの半数の解除が失敗したことを公表 - 小龍茶館

記事は以上。

(記事情報元:CNBC

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