日本時間10月28日未明に行われた秋の2回目の新製品発表スペシャルイベントで、Appleは待望の新型MacBook Proを発表した。今回発表された新型MacBook Proは大きく分けて3種類で、Touch Bar(タッチバー)を搭載しない13インチモデルと、Touch Bar/Touch ID搭載の13インチと15インチモデルだ。
Touch Barだけじゃない、性能もアップしたMacBook Pro
Touch Barの有無にかかわらず、当然これまでのMacBook Proに比べスペック上でも大幅な改善が施され、強力なプロセッサ、そしてより早いメモリやSSDなどが搭載されているのは言うまでもない。
上の図示でもわかるように、Appleは新型MacBook Proに更に”よい”ハードウェアを導入した。しかしTouch Bar以外のスペックの向上は、それほど多くの人を惹きつけるほどのものでもなかったようだ。なぜなら、このブログをご覧の方はほぼご存じだとは思うが、MacBookの性能はインテルのチップのロードマップと密接に関係がある、どころかそれ以上の物は出せないのが現状だからだ。では、インテルのチップのロードマップを見ると、次のMacBook Proの大幅な性能の改善はいつになるだろう?
それは2018年になるのではないかとみられる。
Appleの中では、今年のMacBook Proは大幅にアップデート
多くの人は、新しいMacBook Proの性能(スペック)は市場のWindows陣営の製品と比べても全くいいところがないと感じるだろう。しかしAppleからいわせれば、今年の新型は従来のものに比べスペックのレベルは大きく改善しているという。
例えば13インチのMacBook ProのチップアーキテクチャはBroadwellからSkylakeにアップグレードされた。これは順当なアップデートではあるが、新しいアーキテクチャでチップに更に密度が高くなったコアのGPUの性能は大幅に上昇し、Intel HDから更に先進的なIrisのGPUとなった。15インチのMacBook Proにおいては、2013年のHaswellアーキテクチャからSkylakeにアップデートされ、1世代を飛び越してのアップデートとなった。
更に重要なのは、これらのインテルのチップは、市場に出ているノートブック型コンピュータのうち、性能がほぼトップの型番を用いているということだ。もし無理矢理ツッコミを入れるとしたら、インテルの深層アーキテクチャはアップグレードされたが、CPUのコア数には変更がなかったことだろうか。新旧13インチMacBook Proはデュアルコア(2コア)で、新旧15インチ MacBook Proはクアッドコア(4コア)のままだ。
CPUのコア数が多いことが必ずしも性能がいいことを示しているわけではないが、2018年にインテルがモバイル用チップの新品をリリースした際には、MacBook Proの加速はこれまでとは大きく異なるものとなるだろう。
13インチはクアッドコア(4コア)に、15インチはヘキサコア(6コア)に?
インテルの次世代チップの製品ラインのコードはCoffee Lakeだ。このCoffee Lakeがリリースされた際には、MacBook Pro専用にいくつかの注目すべき新しい機能が盛り込まれそうだ。
インテルから漏れてきているモバイル用プロセッサのロードマップによれば、13インチMacBook Proのために28W(TDP)のチップシリーズを製造する予定で、そのうちの1つの型番は非常に特別で、はじめてクアッドコア(4コア)を用いた設計になっており、インテルのハイエンドのIris GPUユニットも内包している。それと同時に、15インチMacBook Pro用には45Wのチップシリーズが用意され、そこにはヘキサコア(6コア)バージョンも存在し、Intel HD コアGPUが採用されるもようだ。
MacBook Proはよりプロの領域で性能を発揮するようになる?
多くのコアを搭載したインテルのチップが、理論的には更に性能上で大きな潜在力を秘めていることは疑う余地がないことだ。特に多くのコアを搭載した方が有利となるアプリケーション、例えば動画や画像処理や編集ソフトなどではその性能が遺憾なく発揮されるだろう。また、特定のアプリが最高の性能を発揮できるように、Appleが統一しているMacのエコシステム内のサードパーティアプリが新しいMacBook Proの性能に追いつけるように、別途サポートも行われる。MacBook “Pro”という製品名がつけられた機種の理念としても、プロの領域で使われるアプリを十二分に動かせるような性能を搭載することは当然で、宿命づけられていることだ。
言い方を換えれば、2018年のMacBook Proは、性能やスペックを追い求めるMacユーザにとっては、最も価値のあるアップデートになるかもしれない。しかしAppleがMacに対して今後も多大な投資による開発を行うのかについては今後の動きに注目していく必要がある。実際、Macのアップデートの時間的な間隔はますます長くなっている。更に、Appleは当然のことながら”金のなる木”のiPhoneへ重点を移していることも懸念材料の一つだ。
画蛇添足 One more thing…
もしかしたらAppleはMac用のチップもiPhone/iPadなどモバイルデバイス用のAチップシリーズのように、自社開発に切り替えていく可能性も考えられる。しかし上記のようにMacシリーズの全体の売上は落ち込んでおり、ますますiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスの時代になっていくのは目に見えていることでもあるので、そこに更に投資をするという選択肢をAppleが選ぶかどうか。。不明である。
しかしMac(Macintosh)はやはりAppleを象徴するハイエンドな製品。Macの衰退はAppleの衰退をも意味するのではないだろうか。このまま尻つぼみにならないことを祈っている。
記事は以上。
(記事情報元:MacRumors)