ますますヒートアップする、Appleとクアルコム(Qualcomm)の間の闘い。。そしてその戦火は一層グレードアップして、クアルコムは、アメリカにて一部のiPhoneの販売差し止め要求を出しました。これはもちろん特許紛争に関する動きなのですが、あるアナリストによれば、もし本当にITC(アメリカ国際貿易委員会)が一部のiPhoneの販売を禁止したとしても、実際Appleは何も心配することはない、というのです。
先週金曜日、クアルコムはITCに2つのそれぞれ別々の訴訟を提出しました。クアルコムはITCに、Appleに対して実際の行動をとるように迫ったのです。しかし、実際にiPhoneに採用されているクアルコムの技術は一部分でしかなく、またITCの調査は8月から開始され、全ての調査が終了するには18ヶ月(1年半)の時間がかかります。そうなると、次世代iPhoneの【iPhone 8(仮称、iPhone Edition、iPhone Xとも)】や【iPhone 7s/7s Plus】に関してはアメリカ市場で販売できなくなることはありません。
モルガン・スタンレーのアナリスト、トム・ホール(Tom Hall)氏によると、iPhoneのアメリカでの総出荷量のうち、55%がクアルコムのベースバンドモデムチップを採用していないとしていて、全体で17%のiPhoneしか今回の訴訟の影響は受けないと分析しています。
T Cannacordのアナリスト、マイケル・ウォークリー(Michael Walkley)氏も、クアルコムの今回の行動はApple製品に対して一定のリスクはもたらすものの、Appleは相応の特許費用をすぐにしはらうだろうと分析しています。もしかしたらAppleはこれからも関連した特許費用を払い続けながら法廷上でクアルコムと戦うことになるかもしれません。Appleの目的はただ一つ、クアルコムが要求する特許費用を引き下げることだけです。
Appleとクアルコムの戦火は、着火してからだいぶ時間が経っても燃え続けています。今度どんな展開になっていくのか、注意深く見守る必要がありそうです。というのも、Appleとサムスン(SAMSUNG)の特許争いのように、一方では特許費用について長いシーソーゲームを繰り広げつつ、一方ではサムスンはAppleの良好なサプライヤーとなっていて、非常によい提携関係が続いています。つまり右手では拳を交えながら、左手では握手しているような状態です。Appleとクアルコムもそのような関係になっていくのかもしれません。
Appleも、クアルコムのベースバンドモデムチップのテクノロジーは本当は欲しいのでしょう。というのも、現在iPhoneのモデムチップはクアルコムとインテル(Intel)からの2社購買となっていますが、インテルの方が性能が低く、クアルコムのチップをインテルの性能に合わせて下げているという実態があるからです。本来訴訟や特許紛争のリスクがなければ、iPhone 7/7 Plusのモデムチップをクアルコムからの単独購買とすることで、携帯電波・パケット通信の性能が今よりもよかった可能性があります。Appleとしては1つの部品を1社からの単独購買とすることはもちろんリスクがありますが、あまりに性能が違いすぎる場合は別でしょう。iPhone 7シリーズ、そして次世代iPhoneの3種類のSoCも、TSMCからの単独購買といわれています。
記事は以上です。
(記事情報元:International Business Times)