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Apple、来年発売予定の次世代iPhone/iPadを開発中。クアルコムのチップは使用せず

米Apple社とクアルコム(Qualcomm)社の特許を巡る係争がますます激しくなっている中、ウォールストリート・ジャーナル(以下WSJ)の新たな報道によれば、Appleは来年発売予定のiPhone(iPhone 9か)とiPad(セルラー版)を設計しているところですが、これらの製品にはクアルコム社製のチップは使われないということです。

Apple、次世代iPhoneの開発にはクアルコム社製モデムチップを使用せず、インテルとメディアテック社製のみ採用

上記の報道によれば、Appleは新しいiPhoneやiPadには、インテル(Intel)とメディアテック(MediaTek)のベースバンドモデムチップ(携帯電話の通話及びパケット通信ネットワークの制御を司るチップ)のみを採用しているとのことです。これは当然Apple側の、法廷での争いを考慮しての行動と思われますが、実はクアルコム側も新型iPhoneとiPadのプロトタイプへの自社チップの使用について厳しく規制をしているといいます。というのも、Appleとの訴訟問題が巻き起こった後、クアルコムはかなり早い時期にテスト用ソフトウェアのシェアを終了したからです。

ただ、Appleがクアルコムのチップを使わないという決定は覆ることもありえます。なぜなら、Appleの次世代iPhone/iPad開発はまだまだかなり初期段階だからです。

またAppleは上記のインテルとメディアテックという2社のサプライヤーが、クアルコムとの特許使用料裁判において有利に作用すると考えているようです。それが、この2社をAppleが”武器庫”に採用する最大の理由といえるでしょう。去年のiPhone 7シリーズの前は、Appleは明らかにクアルコムのチップに頼りすぎていたきらいがありました。そしてiPhone 7シリーズ、iPhone 8シリーズ、そして間もなく販売開始されるiPhone Xには、Appleはインテルとクアルコムの2社から購買するようになっています。

 

Appleのティム・クックCEO自身は闘いは望んでいないが、避けられない状況?

クアルコムとの紛争について、Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは、法廷で長い闘いをするよりも、現状に落ち着きたいと考えているようです。ただ、やはり最終的には法廷での闘いになるだろうとクックCEOは指摘しています。

 

Appleとクアルコムの係争の経緯

これらは全ては今年の初め頃、Appleによって米国連邦貿易委員会に提出された提訴によって始まりました。その内容は、クアルコム社がAppleに支給しているベースバンドチップ(モデムチップ)には、不当な特許使用料が含まれているというもので、Appleはその後10億ドルもの賠償金を求めた訴訟を起こしました。そしてクアルコム社はその反撃(報復)手段として、アメリカにおいてiPhoneを輸入差し止めと、中国においてiPhoneの製造と販売を差し止める申請を行うという闘いになっています。

どうやらこの闘いは泥沼化しそうですが、Appleとしてはこの闘いがある限りはできるだけクアルコム社製のチップは使いたくないというのが本当の気持ちでしょうね。サムスンとも特許訴訟を抱えるAppleですが、iPhone 7シリーズ移行はSoCはTSMCに一本化しているものの、ディスプレイについてはやはりサムスンから購入せざるを得ない事情もあります。

 

現状ではクアルコム社製モデムチップがインテル社製よりも優れているのも事実

ベースバンドモデムチップについては、クアルコム社の製品よりも、インテル社製の方が機能的には劣っていて、クアルコム版LTEチップの性能をインテル版に合わせてスペックを下げて使用している事実があります。Appleとしては本当はクアルコム社の製品を使いたいところでしょうが、係争を抱えている相手の製品を購入し続けるよりは、他の会社に発注を出してその発展を促す方が得策だと考えているのでしょう。

記事は以上です。

(記事情報元:WSJ

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