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Macの売上げに陰り、ますますiPhoneへの依頼度が高まるApple

ここ数年のAppleの営業収益構成の中で、iPhoneが殆ど大部分を占め、iPadとMacがその両翼をなし、そしてソフトウェアやサービスが尾を形成するという傾向が続いているのは多くの方がご存じの通りだ。

片翼のiPadの失速、iPad Proでのてこ入れでどうなるか?

しかしマーケットの変化は、iPadという片翼に少なからぬ影響を与えた。世界的にタブレット市場の衰退には逆らえないこと、また一方で競争相手がそのシェアを拡大してiPadのシェアを侵食していることが、Appleに9月のスペシャルイベントで”iPad Pro”を発表させるに至ったといえるだろう。

Macもここに来て成長率に陰りが

もう1つの重要な片翼のMacについては、これまでずっとシェアと売上、営業利益を安定的に伸ばしてきた。しかしここ最近の動きを見ると、この片翼も少しずつその羽根を失っているようだ。

マーケットリサーチ機構Gartner が、会計年度2015年度Q4のMacの出荷台数について調査を進めたところ、彼らの結論としてはその四半期での成長率は1年前の同期比1.5%に留まったという。もう1つのマーケットリサーチ機構、IDCの調査では同じく1年前の同期比で3.4%ダウンしているという。

上記のデータから、Macの出荷台数を推し量ることができる。もしGartnerの調査結果が正しければ、2015年度Q4のMacの出荷台数は560万台、もしIDCの調査結果が正しければ同期のMacの出荷台数は530万台となる。もちろん最終的にはAppleの財務レポートが正しいということになるが。

ちなみに昨年の同期(会計年度Q4)では、Appleは552万台のMacを販売したとし、一昨年の同期の457.4万台から21%増えたことになっている。ただし、上記のマーケティングリサーチ機構が調べたのは出荷台数で、Appleが発表しているのは販売台数なので、その数を全く並べて語るわけにはいかないのは注意に値する。

新しいMacBook投入は効果なし?ここ2年来最低の成長率に

Appleは今年新しいMacBook(12インチRetinaディスプレイモデル)を販売開始したが、どうやらこの新機種はMacの販売台数の成長にあまり貢献しなかったようだ。Gartnerの調査結果であろうとIDCの調査結果であろうと、どちらの結果からもMacの出荷台数の増加はこの2年来最低となったということが読み取れるのは間違いない。

長い間、AppleのMacの販売台数の増加率はPCを大きく上回っており、ここ数年モバイル端末に移行していく中で、Windows PC業界の疲弊と無力さは既に明らかで、その中でMacの優勢は明らかに際立っている
12インチMacBook:Apple或いはジョブズ式の”偏執”と”究極”を体現したデバイス - 小龍茶館

世界全体のPC市場でみればMacの優勢は続く、但し全体的に縮小

もしMacやAppleにとっていい情報をどうしても出さなければならないとしたら、Macは依然としてPCマーケット全体としては悪くないということだけだ。IDCのレポートによれば、今四半期のPCマーケットは継続して縮小しており、前年同期比11%減少し、世界全体でも7,100万台に留まるからだ。

なお、ウルトラブックの市場ではMacBook Airがトップを維持していたが、MicrosoftのSurfaceの新機種などのリリースでその勢いがどうなるかが心配だ。

ABI Researchの最新のマーケティング調査結果によると、2015年のポータブルコンピュータの出荷台数は1.65億台となり、2014年の出荷台数とほぼ同じレベルになるという。
ウルトラポータブルPC市場、今年もMacBook Airがトップを維持 - 小龍茶館

iPhoneに依頼しすぎのApple、その収益構造の改善への道はまだ遠い

現在のAppleの現状は、iPhoneが相変わらず完全な売上シェアのトップで、スマートフォン業界の90%の利益を稼ぎ出しているため、Apple以外のスマートフォンメーカーは青息吐息状態だ。SONYやBlackberryなどは撤退するか残るか、苦しい選択を迫られているほどだ。ただAppleはほとんどiPhoneによって支えられ、iPadとMacという両翼が失速する中、今年の新製品のApple Watchはまだマーケット育成段階にあり、その形勢の変化のためには全く役に立っていないのが現状だ。

画蛇添足 One more thing…:iPhone 6s/6s Plusの”チップゲート”問題はiPhoneの売上に影響するか

もしここでiPhoneが失速するようなことがあればApple全体が傾くことになる。iPhone 6s/6s Plusは、TSMCとSAMSUNGという異なったメーカーによって作られたA9チップが2種類存在しており、TSMC製の方が2〜3%というわずかな差ではありながら性能が優れていて、しかも省エネ性能には大きく優れているという調査結果が出ていることは当ブログでもお伝えしたとおり。

少々遅くなったが、先週話題になったiPhone 6s/6s Plusがメーカーによって2種類のA9チップが搭載されていることがわかっているので、その違いと判別方法をまとめてみた。
iPhone 6s/6s PlusのA9チップ性能、TSMCとSAMSUNGの2種類の違いと判別方法まとめ - 小龍茶館

Appleも2種類のチップがあること、そして性能に差があることを公式に認めざるを得なくなるなど、さながら”チップゲート”事件に発展しそうな勢いだ。私のiPhone 6s PlusはたまたまTSMC製だったのでよかったが、SAMSUNG製を掴んだ人は、同じ値段なのに性能が低いものを買わされたと不満に感じるだろう。むろん、差が出るのはストレステストをしたときで、一般的な使用環境においては殆ど性能差がないではあるが。

ただ、この事件もiPhoneの快進撃に大きな影響は与えないかもしれない。そう、あのiPhone 4のアンテナゲートの時のように。

記事は以上。

(記事情報元:iFanr

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