Appleの新型iPhone【iPhone X】の予約開始まであと1週間を切りました。製造が難しく全く生産が追いついていないという情報がある中で、著名なKGI証券のアナリストMing-Chi Kuo(郭明錤)氏はレポートで、この新しい有機ELディスプレイを搭載したiPhoneの製造に関して「最悪の時期はもうすぐ過ぎ去る」としています。
Ming-Chi Kuo氏のレポートによれば、【iPhone X】の製造には3つの製造の難関、いわゆる「ボトルネック」があるとされています。
そのうち最大の生産の障碍となっているのは、アンテナ部分のフレキ基板(FPCB)で、原因はその複雑性が高まったことと、当初このフレキ基板のサプライヤーとして決まっていた村田製作所がその品質規格を満たすことができなかったからということです。
アンテナ部分のフレキ基板には特殊な材料・設計・生産技術・設備及び試験が必要となっています。というのは【iPhone X】の規格要求が【iPhone 8】シリーズよりも厳しいことによるもので、現在世界でも村田製作所とCareer Tech(嘉聯益科技、台湾企業)しかAppleの要求を満たすものを作ることができないといわれています。しかし、当初【iPhone X】のアンテナ部分のフレキ基板のうち、60%もの受注をとった村田製作所が、2018年第二四半期以前には問題を解決することができないとして事実上ギブアップしたため、Career Techに全ての発注が流れたということです。その切替劇をやっている間に、製造が大きく遅れたと考えられます。
そしてもう1つのボトルネックは、iSightカメラ(背面カメラ)の広角レンズに使われるフレキ基板です。サムスン(SAMSUNG)やファーウェイ(HUAWEI)が採用している広角デュアルレンズと違い、【iPhone X】の広角レンズと長焦点レンズはそれぞれ別のPCB基板を使用しているとのことで、サプライヤーのInterflexはこのうち広角レンズのフレキ基板の品質問題に苦しめられているとのことです。
そして3つ目のボトルネックは、既に多くの人に知られていて、これまでは最大の難関とされていたTrueDepthカメラの赤外線スキャナ部分、別名”ロミオ”と呼ばれているモジュール部分です。Ming-Chi Kuo氏によれば、これまでの設計に起因する顔認識能力の低下問題は既に解決しているとのことで、「最悪の時期は過ぎ去った」とのことです。
総合的には、Ming-Chi Kuo氏は2017年第四四半期の【iPhone X】の出荷台数予測をこれまでの3000〜3500万台から2500〜3000万台へと下方修正しており、【iPhone X】がリリースされる前には、200〜300万台のデバイスしか販売ネットワークに流れないとしています。というわけで、【iPhone X】の初期の供給は非常に少なく厳しくなるとのことで、この点はこれまでの噂と同様です。Ming-Chi Kuo氏は更に、上記の製造に関するボトルネックがもうじき解決されることから、2018年第一四半期から【iPhone X】の出荷台数は「明らかに増加する」と予測しています。
記事は以上です。
(記事情報元:Mashable)