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iPhone 8や7sのモデムチップはどうなる?Apple、チップサプライヤーのクアルコムを起訴、賠償請求額は約1150億円

クアルコム(Qualcomm)の上級管理職にとっては、FTC(連邦取引委員会、別名独占禁止当局)に起訴されたというのは頭痛の種だろう。というのも、これまでは双方とも公の場ではないところで独禁法違反に関することを話し合っていたにも関わらず、それが公になってしまったからだ。そしてまた今度起訴したのがAppleだと知った時に、クアルコムはいったいどんな感想を抱いただろうか?

Apple Insiderによると、Appleは先週金曜日に正式にクアルコムに対して訴えを起こし、その理由はFTCと同様に独禁法違反であることだった。そしてこのAppleの挙動がアメリカのテック業界を震撼させている。

Apple、クアルコムが不当に特許費用を徴収していると主張

「長年、クアルコムは不公平な方法で彼らと関係のない技術特許費用を徴収してきた。AppleはTouch ID、ディスプレイ、カメラなどの分野で多くのイノベーションを行ってきたが、クアルコムが徴収した特許費用ははますます増えるばかりで、これには正当な理由が全くない。Appleにとって、イノベーションの費用がますますかさむばかりだ。クアルコムは確かに業界データ基準に関してだけは多くの貢献者の中の1つではあるが、彼らがAppleから徴収した費用は、その他の特許についてAppleが支払っている額の5倍にあたる」

Appleは起訴文書の中でこのように表記し、両社の長年の提携の間に、クアルコムはAppleから10億ドルの特許費用を多めに徴収したとしており、そのためAppleはクアルコムに賠償金10億ドル(約1,150億円)を請求している。そしてAppleは更にこのような書き方でクアルコムを批判している。

「自らのビジネスモデルを保護するために、クアルコムは特許費用の徴収に関しては非常に急進的になっている。彼らがAppleから多く徴収した10億米ドルの費用も、既に行政機関の調査を受けている。Appleはイノベーションを弛まず続けており、また私たちは使用される特許をサポートし、公平且つ合理的な費用を支払いたいと考えている。ただ私たちは私たちに対するクアルコムの(特許費用)徴収モデルに対して非常に失望している。とても不公平で非合理的なものだからだ。別の選択がない限り、私たちは法廷で解決をお願いするしかない。」

 

Apple、iPhone 7/7 Plusから既にクアルコム1社購買からインテルを追加し2社購買に切替え済

クアルコムはAppleのiPhoneやiPadに独占の形でベースバンドチップ(携帯電話モデムチップのこと)を提供してきた。その関係は昨年2016年まで続いたが、現行最新のiPhone 7/iPhone 7 Plusにおいて、Appleはようやくクアルコムと同時にインテル(Intel)製のベースバンドチップを採用し、2社購買に変更している。その行動に踏み切ったのは、恐らく既にそこに支払う特許費用が高すぎるという批判の声があってのことだろう。

 

画蛇添足 One more thing…

これまで携帯電話のベースバンドチップ(モデムチップ)については数年前までは60%以上のシェアを持ってきたが、最近はMediaTekやIntelなどの他社メーカーによってそのシェアを落としてきている。Appleとは強力なパートナーシップを結び、独占供給をすることでかなりの利益を上げてきただけに、ここにきてAppleに訴えられ、しかもFTCから独禁法違反の判定を食らってしまうと会社の存続に関わる大きな損失を産んでしまうかもしれない。

Appleが係争中の相手から購買することを避けるのであれば、次世代iPhoneのiPhone 7s/iPhone 7s PlusやiPhone 8のベースバンドチップはインテルからのみ購買するということにもなりかねない。そうなれば、インテルの株価にも当然影響してくるだろう。ただAppleはこれまでサムスンと係争中でもやはりサムスンからディスプレイやSoC(メインチップ)を購入してきた経緯があるため、もちろん今後確実にクアルコムがAppleの購買先から外されると決まったわけではないと思うが。。

今後のAppleとクアルコムの裁判の結果に注目だ。

記事は以上。

(記事情報元:Apple Insider

 

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