Pen-One Acquisition GroupがAppleを法廷に訴えた。訴状によれば、Appleは2007年に同社が所得した特許を侵害しているという。その特許とは、「タッチペンを中継した身分認証システム」というもので、特許番号は7,281,135(リンク先はUSPTOによる詳細)。もともとこの特許はタッチペンと指紋、或いはどちらかを使ってサインをする、ペンベースのPOSシステムのために取得された特許だった。しかし原告側はAppleのモバイル決済システムApple PayでTouch IDを使ってユーザが指紋認証をして支払うというそのシステムが、同社の特許を侵害していると主張している。
Pen-One Acquisition Groupのこの特許は、タッチペンを介した識別・認証方式のものだ。POSの端末でビジネス取引(決済)をする場合、顧客がタッチペンでタブレットにサインをする際に、サイン(デジタル処理されたサイン情報)そのものも認証データとなるが、タッチペンに取り付けられた生体センサー(指紋センサー)でも顧客の識別が可能となり、それは同時提供でもいいしどちらか片方でも構わないという。
Pen-One Acquisition Groupは既にアラバマ州南部の地方裁判所の事務所に起訴状を提出した。起訴状では、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone SE、iPad、iPad miniとiPad ProはみなApple Payをサポートしているとし、これらのデバイスは全て商業デバイスや電信デバイス、その他Appleデバイスをサポートするデバイスと支払処理について連携可能とも指摘している。
世界的に特許に対する意識が上昇しており、特に電子機器は特許の固まりだ。現在ネット上で公開されている特許の数だけでも数百万、或いは1000万件以上あるといわれている。全ての人の全ての特許の情報を完全に手に入れることは難しいため、理論的にはどんな会社も無意識にどこかの会社の特許を侵害している可能性がある。特にAppleのような大きな会社になれば、関わっている製品の種類や更にそこに搭載されている部品数なども膨大になるため、特許侵害裁判にぶち当たるのはもはや宿命ともいえる。そして更に大きな企業になればなるほど、相手もAppleの知名度を借りつつ自身の知名度を上げることができるため、狙われやすいのだ。
Appleも相当数の特許裁判を抱えているが、相手が明らかな特許ゴロの場合は権利侵害が認められない場合もある。またAppleにとっても重要な特許の場合は、法廷で争うよりは買収してしまうことも考えるかもしれない。
ちなみにPen-One Acquisition Groupは同日、サムスン(SAMSUNG)も訴えている(SAMSUNG Payがあるため)。
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(記事情報元:Patently Apple)