昨日、サムスン(SAMSUNG)とクアルコム(Qualcomm)が提携を結び、次世代のQualcomm Snapdragon 835チップをサムスンの10nmプロセスによって製造することがメディアで報道された。これは、サムスンが10nmプロセスの競争の中で一歩先んじた形となった。しかしこのことはサムスンの半導体分野での最大のライバル、台湾のTSMCにとっては災難レベルの影響を与えるほどでもないようだ。
というのも、TSMC自身も既に10nmプロセスの完成に向けて着実に歩みを進めているからだ。そして更に重要なことは、TSMCは更に小型化・省電力化を実現する7nmのプロセスの日程まで発表していることだ。
TSMCの劉徳音CEOはかつてメディアの取材に対し、TSMCの先進的なプロセスは引き続きライバル達を牽引するレベルを保つこと、そして自社の技術に非常に自信を持っていると語っていた。
TSMCの計画によれば、同社の10nmプロセスのチップは2017年第一四半期に出荷が開始される。時間的にはサムスンより少々遅れる形となるが、TSMCはそのことについて特に心配はしていないようだ。なぜならTSMCはAppleの次世代iPhone【iPhone 8(仮称)】に搭載予定のA11チップの受注合戦の中で、サムスンを抑えることができると信じているからだ。しかもTSMCの7nmプロセスも既に準備が開始されており、もう既に現在のところ20社ほどの客先が7nmプロセスの採用を決めているという。7nmプロセスのチップは2017年後半に試作が開始され、2018年には正式に出荷が開始されるという計画が発表されている。
更に、Appleのサプライチェーンからの情報によると、とあるリサーチ機構が極秘インタビューを行ったところ、7nmプロセスの製造は元来の予定の2018年の第一四半期から、2017年第四四半期に早まるかもしれないという。もしこの情報が本当だとすれば、7nmプロセスのチップが来年のiPhone 8に間に合うかもしれない。またサプライチェーンの情報では、Appleの7nmプロセス採用のプロセッサは、TSMCが独占して受注するだろうと予測される。
画蛇添足 One more thing…
複数社購買は進めたいが、スマートフォンの完成品の業界ではライバルとなっているサムスンからの購買はできるだけ避けたいApple。しかもiPhone 6sの時代にサムスンとTSMCのA9チップの性能に差があるというチップゲート(Chipgate)事件があり、メインプロセッサの複数社購買には懲りているところもあるだろう。
上記の要素を考えても、今後のAppleのiPhone等モバイル用SoCの製造は今後もTSMCに委託される可能性が高いのではないかと思われる。もちろん、100%確定した話ではないが。。
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(記事情報元:WeiPhone)