アメリカの大統領選の候補者、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を知らない人はもういないだろう。この「大口叩き男」は大統領選に参加してからというもの、人が死んでも気にしないくらいのスタイルを貫いてきた。
そしてAppleも、何度もその「トランプ砲」の標的になってきた。例えば、トランプは今年2月に、ツイッター上でAppleに対し、Appleがテロリストの情報をFBIに出さないと支持者にApple製品のボイコットしてサムスン(Samsung)製品を使うように呼びかける、と”脅迫”したことがある。しかもそのツイートをiPhoneを使って出したというマヌケさも指摘されて話題となった。
I use both iPhone & Samsung. If Apple doesn’t give info to authorities on the terrorists I’ll only be using Samsung until they give info.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年2月19日
表面上はAppleに敵意を剥き出しにするトランプだが、彼は彼のやり方で実は裏でAppleをサポートしている。上記のiPhoneを使ってツイートをしたことも、Appleのために宣伝してあげた効果があるだけではなく、実は彼は少なくないAppleの株券を所有しているのだ。
AP通信の報道によると、トランプは最近彼が参加したAppleへの投資プロジェクトについて公開したという。それによればトランプは110〜225万ドル(約1億2,046万円〜2億4,639万円)のAppleの株を所有しているとのこと。現在のAppleの株価が90ドル前後しかないことを考えると、トランプの手中には少なくないAppleの株があることになる(単純計算で12,222株〜25,000株)。
これはトランプの常套手段で、裏表を使い分け、演説では聞こえのいいことを言い、裏ではちゃんとしっかりと政治やビジネスをこなしているわけだ。演説では中国人がアメリカ人の就業機会を奪っているといいながら、別の多くの場所では彼は中国が大好きだと言い、中国の商人とのビジネスを順調にこなしている。
かつてトランプが演説でぶちあげた「私が大統領になったらAppleに製造をアメリカに戻すようにさせる」という宣言は多くの人の喝采を浴びたが、その発言は正直全く現実的ではない。もしそんなことをしたら、ただでさえ高いApple製品(iPhone、iPad、Mac等)の全世界での価格が更に一段と高くなる。
トランプを支持する人やトランプの意見に喝采を送った人は、それに耐えられるだろうか?
画蛇添足 One more thing…
ドナルド・トランプ氏はビジネスマンとして非常に優秀で、しかも相当慎重な取引をする人でもあるらしく、普段もあの演説での過激な発言が信じられないほどおとなしい人らしい。やはり大統領になるにはわかりやすく弁が立つ、政治家としての一面を強調しなければ人々の印象に残らず、支持されないという計算のもと、あのようなパフォーマンスを行っているのだろう。
まあ、逆にわかりやすくていいんじゃないだろうか。トランプ氏自身はリバタリアンで、その思想は完全自由主義(リバタリアニズム)だといわれる。要は、なんでも自分で自立してやるべきだという考え方で、これまでのアメリカの主流と言われる多極主義といわれるネオコン達とも一線を画す考え方を持っている。もしトランプ氏が大統領になったら、日本にとっても他国への不干渉を主張する方針のアメリカから独立するいいチャンスだとは思うが、トランプ氏のことなのでやはりそこは現実に合わせて表裏を使い分けるのだろう。
普段AppleのiPhoneとサムスンのスマホを両方使いこなしているのと同じように。
記事は以上。
(記事情報元:Apple Insider)