2026年9月1日、【ティム・クック】がAppleのCEOを退きます。後任は【ジョン・ターナス】。クックは会長職(Executive Chairman)に移ります。退任を目前にしたクックがCBS Newsのインタビューに応じ、自身の遺したものについて語りました。「自分の legacy は他人が決めるもの。良識ある、まっとうな人間だったと言ってもらえたら」と。
インタビューは、テキサスの新工場の取材の場で
このインタビューは2026年8月13日、Appleがテキサス州ヒューストンに開設した先端製造センターの取材に合わせて行われたものです。
自身のlegacy(遺産、業績)を問われたクックはこう答えています。
私の考えでは、legacyというのは自分ではなく他人が語るものです。ですから、私が良識ある、まっとうな人間だったと言ってもらえればと思います。
製品でも売上でも時価総額でもなく、人としての評価を挙げたわけですね。15年もの間、世界で最も注目される企業を率いてきた人の答えとしては、意外なほど地味です。
クックの実績とは、結局のところ中国だった
ここからは私見です。
ティム・クックがAppleで頭角を現したのは、製品でもデザインでもなく調達と製造においてでした。1998年にスティーブ・ジョブズに招かれ、Appleが抱えていた在庫の山を叩き切り、生産を外部に委ね、部品の調達期間を極限まで短くした。当時数ヶ月分あった在庫を数日分にまで圧縮したという話は有名です。
そしてその舞台になったのが中国でした。鄭州の工場でiPhoneが日に何十万台と組み上がり、深圳の周辺に部品メーカーが集積する。あの構造を作り上げたのがクックであり、Appleが時価総額で世界の頂点に立てた土台も、突き詰めればそこにあります。
中国に住んでいると、この人の仕事の大きさは肌で感じます。Appleのサプライチェーンに連なる企業は中国国内に無数にあり、そこで働く人の数も、その家族が支えられている経済も、途方もない規模です。良くも悪くも、クックのAppleは中国という国と深く編み合わさっていました。
そして皮肉なことに、退任の場はテキサスの工場だった
今回のインタビューがヒューストンの製造センターで行われたというのは、なかなか象徴的です。
Appleはここ数年、製造をインドやベトナム、そして米国国内へ分散させることに腐心してきました。中国一極集中のリスクが、関税や規制という形で現実の経営問題になったからです。中国に賭けて勝った人が、その集中を解く作業をしながら退場していく。皮肉といえば皮肉ですが、状況の変化に合わせて自分の作ったものを組み替えられるという点こそ、この人の本質なのかもしれません。
もう一つ挙げるなら、在庫の話があります。在庫を持たない経営を極限まで磨いたのがクックでしたが、そのAppleが今、メモリ不足を前にOLEDパネルの在庫を積み増しています。自分が作った原則を、自分の代の最後に曲げることになったわけです。
後任のジョン・ターナスはどういう人か
新CEOのジョン・ターナスは、ハードウェアエンジニアリング担当の上級副社長を務めてきた人物です。技術畑の出身で、iPhoneやiPad、Macといった主要製品のハードウェア開発を率いてきました。
調達と運営の人から、技術の人へ。Appleのトップの性格が変わることになります。クックが会長として残るとはいえ、日々の意思決定は変わっていくでしょう。
そして交代の翌週には、iPhone 18 Proと初の折りたたみという大きな発表が控えています。新CEOとしては、これ以上ない大舞台から始まることになりますね。あの場に誰が立つのか、9月の発表イベントは例年とは違う意味でも見どころがあります。
なお、Appleが在庫を積み増している件については、こちらの記事にまとめています。
iPhone 18 Proの部品原価が4割増。Appleは異例の在庫積み増しへ
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)
※記事中の画像はイメージです。実機や実際の施設の写真ではなく、生成AIで作成したものです。

