クアルコム(Qualcomm)は本日、2019年代一四半期の決算を発表しました。その決算によれば、Appleとの最近の和解の一環として、来四半期に受け取るであろう収益の金額に関する詳細が明らかになっています。
Axiosの指摘の通り、クアルコムは「和解金からの現金払いと関連債務の解放」を含む、Appleとの和解による収入で45〜47億ドル(約5006億〜5229億円)を獲得する予定であることが判明しました。
Appleとクアルコムは4月中旬に和解を発表し、すべての訴訟と互いに棄却しました。当時のAppleは、和解にはAppleからクアルコムへの支払いが含まれていたと述べていましたが、両社ともAppleが期限切れのロイヤルティで支払った金額についての具体的な詳細を明らかにしていませんでした。
その金額はおよそ50億ドルから60億ドル(約5562億円〜6674億円)とアナリスト達によって見積もられていましたが、実際にAppleはその数字に近いものの、そこまで多くの金額を支払っていないということになります。
Appleとクアルコムとの契約には、6年間の直接使用許諾契約と複数年のチップセット供給契約も含まれています。これにより、Qualcommは将来のデバイス用にベースバンドモデムチップをAppleに供給する予定です。
Appleは、2020年のiPhoneラインナップにどうしても5Gモデムチップを必要としたため、クアルコムと提携するしか方法がなかったという分析もできます。AppleはもともとこれまでiPhone 7から供給を受けていたインテル(Intel)チップの使用を計画していましたが、インテルは開発日程目標を達成できず、Appleとインテルの間で緊張が高まったとの報道がありました。
Appleとクアルコムが和解契約を発表してから数時間後、Intelは5Gスマートフォン用モデムチップ事業から撤退すると発表しました。そしてインテルのスワンCEOは、5Gスマートフォンチップを作ることは今後全くなく、同社またその決定はAppleとクアルコムの和解に基づくものであることを認めています。
Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは昨日、Appleのクアルコムとの和解決議について「気分が良い」と述べています。「私たちは訴訟を撤回し、世界中のすべての訴訟が棄却され解決されたことを嬉しく思います」と語ったのです。「複数年に及ぶ供給契約を結ぶことができてとてもうれしく思います。また、両社にとって重要な、クアルコムとの直接ライセンス契約を結べたことをうれしく思います」とも。
Appleにとっては、45億〜47億ドルはそれほど大きくない金額といえるでしょう。クアルコムにとっては大きな金額といえます。現在5Gモデムチップの開発ができるのは世界でもクアルコム、ファーウェイ、サムスン、ザイリンクスくらいしかないと思われます。そのうちAppleとしてはやはり現実的にクアルコムと組むしか選択肢がなかったといえるのかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)