先月頭頃に当ブログで紹介した、中国で現れた内蔵フラッシュメモリチップを載せ替えることでiPhoneの内蔵メモリ容量を増加する技術と方法。既に中国をはじめとして、日本を含むいくつかの国でこのサービスが始まっている。
iOSのシステム容量だけでも2GBを超え、またアプリの容量や、写真・ビデオなども解像度が上がるにつれますます容量が大きくなり、16GBのモデルでは殆ど足りないのではないだろうか。ということでもし16GBモデルを買ってしまった場合は、写真やビデオ・音楽などを削除しつつ使うしかなく、どうしても足りなくなったら容量の大きいモデルを買うしかなかった。しかしそんな状況の中、中国に強者が現れた。 スゴ腕!iPhone 6 Plus 16GBを128GBに改造する手法が中国で公開 - 小龍茶館 |
しかしこのサービスの存在自体が危うくなった。Appleが内蔵メモリ増加改造に対し対策を施し、将来的にiOSをアップデートすると文鎮化することが確定したというニュースが中国で流れている。
中国で出現した”格安”iPhone容量増加サービス
中国ではiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 5s、iPhone 5に限定して内蔵メモリ増加サービスを行っているところが殆どだが、iPhone 6を16GBから128GBに拡張するのに高くても399元(約7,670円)で行うことが可能だ。iPhoneは16GBモデルと128GBモデルの差額が1,500元(約28,860円)も開きがあるので、16GBモデルを買ってこのサービスで128GBにしてしまえば大幅に安く済むため、人気を博している。
とある中国のiPhone内蔵メモリ容量増加サービスは1500件もの改造実績があり、またトラブルが殆どないという。
なお、中国に送ることで容量増加・拡張をするサービスが日本にも存在している(いちいち紹介はしないので興味のある人は検索してみるといいかもしれない)。
格安iPhone内蔵メモリ容量増加サービスのからくり
上記でも紹介済みの当ブログ記事で、からくりの詳細は説明済みだ。
簡単に説明すると、内蔵メモリチップを大容量のものに載せ替え、そして特殊な”ハードウェアツール”を使ってiPhoneの内部の情報を書き換え、本来は許可されていないハードウェアの置き換えを可能にしてしまうというものだ。まさに中国ならではの”裏サービス”だ。
いい話は長くは続かない。。Appleが容量を増加したiPhoneを文鎮化させる動きへ
しかし、昨日中国から伝わってきた情報によれば、AppleはiOSの新バージョンのiOS 9.2にてこれまで存在していたセキュリティホールを塞ぎ、手動で交換した内蔵メモリを使用した端末を使用不可にすることにしたらしい。つまり、正規の手続きをとらずに内蔵メモリチップを手動で交換したiPhoneは、iOSをアップデートすると文鎮化して使えなくなってしまうということだ。
もし将来的に一切アップデートしないと決めている人であれば、このサービスを利用してもいいかもしれないが。。
Appleが内蔵メモリチップ増加改造に対策をする理由は3つ
このiPhone内蔵メモリ増加サービスはユーザにとってはお金を節約する上に容量を増やすことができ、一石二鳥のサービスだった。しかしこのサービスはAppleにとっては都合が悪い。Appleがなぜ内蔵メモリチップ増加などの改造に対策を施すのか、その理由は3つあると思われる。
1.セキュリティ:iCloudの”iPhoneを探す”が正常に機能しなくなる可能性があるため
紛失したり盗難されたデバイスを追跡したり使えないようにしたりすることで犯罪を減らす目的で設置されたiCloudの”iPhoneを探す”サービス。これはApple ID(iCloud ID)と端末を紐付けることで実現するのだが、端末情報を上記のようなやり方で変更されてしまうようだと、この”iPhoneを探す”サービスそのものが成り立たなくなる。そうなると、紛失・盗難された際のせっかくの”iPhoneを探す”サービスが使えなくなり、ユーザにとっても不利益となるためだ。
2.デバイス使用の正常性の確保のため
これはAppleが一貫して脱獄(ジェイルブレイク・Jailbreak)対策をしているのと同様の理由だ。例えば脱獄をするとセキュリティが著しく低下するだけではなく、本来はAppleが保証しているOSやアプリの動作の安定性などが脅かされる可能性が高い。それがハードウェアの交換となれば余計にそうだ。いくら腕が確かだといっても、ハードウェアの置き換えにはリスクが伴う。手動チップ交換にははんだ付けなど加熱を含む作業をしており、今後の使用に影響する改造をしかねないのだ。脱獄する人やハードウェア改造をする人はその辺は自己責任と割り切って行うところはあるかもしれないが、Appleとしてはそのような改造をされての使用は推奨できるものではないのは理解できるだろう。
3.Appleの儲けが減るため
結局はこれが最大の理由かもしれない。冒頭に書いたとおり、Appleにとっては本来は16GBと128GBのモデルでは3万円近い差額を稼げるところを、全く稼げなくなる上に他人に利益を取られてしまうという最悪の事態になる。たった1社で1500件もの16GB→128GBの手動内蔵メモリ増加改造をしているのだから、差額を3万円で換算すれば、Appleにとってはその1社の改造を許しただけでも単純計算でも30,000円x1,500台=4500万円の損失だ。儲けているのは業者と交換後に載せるチップメーカーだけ。Appleはこれを受け入れられるわけにはいかないだろう。
まとめ:いずれにせよ内蔵メモリ増加サービスには要注意
上記の理由で、内蔵メモリ増加サービスには要注意ということになる。
既にやってしまった人は将来iOS 9.2以上には絶対アップデートしてはいけない。もしiOS 9.2にアップデートしようとして文鎮化し、Apple Storeに持ち込んで修理しようとしても改造したことがばれてしまってできないだろう。
また、内蔵メモリ増加サービスにはハードウェア改造のために故障のリスクが伴う。128GBモデルを買うより安いからといって安易に申し込むのは避けた方がいいと思われる。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)