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Appleの悪夢バタフライ構造キーボードがついに新規販売では絶滅。。しかし黒歴史は続く

Appleは昨日、MacBook Pro 13インチモデルをアップデートし、新型MacBook Proが採用したキーボードは予想通り「Magic Keyboard」とは名ばかりの以前の構造に戻った「シザースイッチ構造キーボード」でした。これによって、Appleが実店舗及びオンラインストアの直営店で販売する新規販売のMacBookからは、あの非常に評判が悪かった「バタフライ構造キーボード」が絶滅したことになります。

それでも、Appleは長らくこの多くの問題を抱えた「バタフライ構造キーボード」を販売していたせいで、それを搭載したMacBookを使用している多くのユーザは、今後何年もの間、この欠陥だらけのキーボードがいつ壊れるのかハラハラしながら生活していかなければならないことになります。Appleはもちろんキーボード無償交換サービスプログラムで修理はしてくれますが、修理している間MacBookが使えない状況になるということです(企業プログラムなどは別)。

安らかに眠れ、バタフライ構造キーボード

冒頭に書いたとおり、2020年5月4日にリリースされたMacBook Pro 13インチモデルには、Appleがいう「Magic Keyboard」が搭載されています。しかしこれは魔法でも何でもなく、「バタフライ構造キーボード」が搭載される以前に使用された伝統的なテクノロジーの「シザースイッチ構造キーボード」です。

Appleのこの「バタフライ構造キーボード」から「シザースイッチ構造キーボード」への脱却(回帰)は、昨年末のMacBook Pro 16インチモデルから始まりました。そして2020年3月にアップデートされたMacBook Airでも脱却が図られています。

これらの一連の動きによって、現在はApple.com以下の直営店で新規で販売されているMacBookシリーズのどれを買っても、地雷ともいえる「バタフライ構造キーボード」は使用されていないことが保証されました。

しかし完全に死んだわけではない。。

ただ、この「バタフライ構造キーボード」を搭載したMacBookシリーズは、Appleのサイトから完全に消え去ったわけではありません。Appleの整備済み製品のところには、まだまだ「バタフライ構造キーボード」搭載モデルが溢れていますし、MacBookを販売しているのはなにも直営店だけではありません。Amazon、楽天市場、家電量販店、その他のネットショップや実店舗でも、旧機種は販売されています。

そういうわけで、地雷はまだまだたくさん仕掛けられているといっても過言ではないのです。

バタフライ構造キーボードよ、お前はすでに死んでいる。。はずだった

「バタフライ構造キーボード」は、製品設計が非常に複雑なものでした。その目的は、キー下のスペースを少なくするというもので、それによってMacBookを更に薄く設計することができたのです。またこの「バタフライ構造キーボード」の良い特徴としては、キーボードの中心から少し外れたところを押しても、同じように反応することでした。

Appleの「バタフライ構造キーボード」は、2015年に初めて無印の「MacBook」でデビューしました。最も薄く、最も軽く、しかも高性能の割にファンレス、という謳い文句で登場し、確かに非常に薄かったのはこの「バタフライ構造キーボード」の恩恵を受けたものではありました。その後、2016年にはAppleはMacBook Proにもこの「バタフライ構造キーボード」を採用し始めます。

しかし、その頃からユーザからのクレームが始まり、ユーザは不満を感じるようになります。埃や細かい破片などがキーボードの下に入り込んでしまうと、キーが効かなくなったり、ずっと押された状態になるという現象が頻繁に発生するようになったのです。iFixitが2018年に指摘したように、「基本的な欠陥は、これらの非常に薄いキーが粒子状物質によって容易に麻痺することです。ほこりは、キーキャップがスイッチを押すのを妨げるか、或いは戻り機構を無効にします。」

Appleはその後、2018年のMacBook Proから「バタフライ構造キーボード」に改良を加え、シリコンの膜のようなものを1つ1つのキーの下に配置します。Appleの言い分は「打鍵音をよりソフトにする」という名目でしたが、埃や破片などが入らないようにする措置であったことは明白でした。しかしこの措置もあまり功を奏さず、やはり不具合は発生しました。シリコン膜の隙間から、やはり埃などは入ってしまうからです。

更に「バタフライ構造キーボード」のメカニズムは設計が複雑だったことから非常にデリケートな構造になっていて、キー配列を交換しようとすると簡単に壊れてしまいました。そして更に悪いことに、AppleがMacBookの様々なコンポーネント同士を1つの部品にしたり、または接着するなどして省スペース化を図ったことが、この「バタフライ構造キーボード」問題を更に難しいものにしたのです。iFixitは、「キーボード自体を単独で交換することはできません。接着されたバッテリー、トラックパッド、スピーカーを同時に交換する必要があります」と書いています。つまり、修理する人にとっては全く友好的ではない作りになっていたのです。

Apple、キーボード無償交換プログラムを発動。。しかし時既に遅し。悪夢が続く

キーが硬くなって押せなくなったり、粘り着いたような感じになって上がってこないような現象は、すぐには発生しません。またAppleはこの問題の影響を受けるのは少数のユーザのみ、と主張していました。しかし実際にはこの問題に対して迅速に対処しなかったことで訴訟が増加し始めたため、Appleは2018年にMacBookとMacBook Proの「キーボード無償交換サービスプログラム」を開始し、2015年モデルに遡って無償修理を提供しています。Appleは負けを認めたのです。

しかしこのキーボード無償交換サービスプログラムが開始されてからも、Appleはその後のMacBook ProとMacBook Airの発売モデルに相変わらず「バタフライ構造キーボード」を搭載し続けました。その動きは2019年まで続いたのです。

そしてようやく、2019年末にリリースされた16インチMacBook Proで「シザースイッチ構造キーボード」に戻した時には、ユーザからの苦情が山積みになり始めてから数年経ち、また複数の訴訟提起から約18ヶ月が経過していたのです(その後Appleは更に半年近くも「バタフライ構造キーボード」を搭載した機種を売り続けましたが)。

というわけで、少なくとも新規販売という意味では、このAppleの狂気とも思える行為は終了しました。Appleは新規では「バタフライ構造キーボード」搭載モデルはもう二度と製造することはないでしょう。

しかし既に「バタフライ構造キーボード」搭載MacBookシリーズを使用している人にとっては、まだまだ数年は悪夢は続いていくのです。

私個人もまだまだ「バタフライ構造キーボードの悪夢」が続く

私個人も、「バタフライ構造キーボード」の端末は2台所有したことがあります。そのうちの1台はまだ所有しています。

1台目は、初めて「バタフライ構造キーボード」が搭載された2015年モデルの次の年に販売された、2016年モデルの無印12インチMacBookでした。確かにすごく軽くて、外出時に使うには最高のマシンだったのですが、少し動きがもたつくのが気になっていました。これはキーボードがどうかなる前に、上海で置き引きに遭ってしまいあっという間になくなってしまいました、、今となればすごく惜しいことをしたと思います。この12インチMacBookについては、私もべた褒めした記事を書いています。

そして2代目の2018年のMacBook Pro 13インチ Ultimateモデルは、現在も所有しています。以前も何度かこのブログに書きましたが、このMacBook Pro 13インチはApple銀座で購入したのですが、今年頭に急に電源が全く入らなくなりました。まだ購入してから1年も経っていないにも関わらずです。当時はそれをメインで使っていましたし、Apple Care+にも入っていたため、最寄りのマカオのApple Storeに持ち込んだところ、修理に数日かかるといわれ、それでは仕事にならない!ということで何とか代わりのものを。。と探したところ、既に販売開始されていたMacBook Pro 16インチかMacBook Airを検討しました。しかしマカオはなぜか税金が非常に高く、お隣の香港に比べて非常に高い値段で売っていたため、結局次の日に香港にわざわざ移動して、最終的にはApple カントンロード店でMacBook Pro 16インチ Ultimateモデルを購入したのです。

その購入後数日後にApple マカオから連絡が入り、MacBook Pro 13インチが修理完了したというので受け取りに行きました。結局もちろん保証範囲内だったので全て無償での交換となりました。ディスプレイパネルとシャーシ以外は全部取り替えておきました!とのことで、ほぼ完全に新品状態だということでした。外出用に使おうと思って売らないでいましたが、その後新型コロナ禍が始まり外出制限もあり、外出する事もなくなりました。結局MacBook Pro 13インチモデルはほぼ新品状態で一切弄らないまま、4ヶ月が経過しています。。まだアプリのインストールなどカスタマイズもしていません。なんだかもったいないですね。これからだんだん往来制限が解除されていき、国外に出ることも増えると思うので、今後は活躍してくれることを望みますが、確かにバタフライ構造キーボードは怖いです。正直、スペースキーやよく使うAキーなどが少しへたってきていたのでした。1年も経っていないのに。。キートップを含め完全に新品に交換されていたので、直ってはいましたが。

私もこの「地雷」を抱えながらだましだまし使っていくことになりそうです。そして間違いなく、「バタフライ構造キーボード」はAppleの黒歴史として刻まれることでしょう。Appleのかつてスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の右腕だった、ジョニー・アイブ(Jony Ive)CDO(Chief Design Officer)の最大の失敗作だったといえるかもしれません。ちょうど、そのジョニー・アイブによる2015年のMacBookのデザイン説明の動画がYouTubeのApple公式チャンネルにありました。25秒くらいから1分くらいまで、この今後Appleやユーザにとって悪夢となる「バタフライ構造キーボード」の、ジョニー・アイブの独特な英国訛りの英語による説明があります(下の映像リンクでは開始位置を24秒程度に調整してあります)。今ではもう苦笑しつつ見るしかないですね。

あ、そして今後は上記のようなことがないように、私は自分の香港法人でAppleの企業ケアプログラムのようなものに入りました。これで、今後何か問題が発生して修理となった場合でも、代替機を用意してくれるなどの対応になるようです。修理後に文句をつけたらそのような対応を案内されました。もっと早く言ってよ。。って感じでした。おかげで私は40万円を超える出費をしてしまったのです。。まあ、16インチMacBook Proはいいマシンなので、後悔はしていないですが。

記事は以上です。

(記事情報元:Cult of Mac

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