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Apple、AR用ハンドトラッキング技術ベンチャーLeap Motion社の買収に二度失敗

Business Insiderが2018年10月31日に、Appleとシリコンバレーのベンチャー企業Leap Motion社の買収話が失敗に終わったことを報道しています。Appleはこの5年以内に、2度ほどこのLeap Motion社を買収する計画をしていたということです。Leap Motion社はVR/AR業界でハンドトラッキング技術において先進的な技術を持っているベンチャー企業とされています。

複数の名前を明かさないことが条件で語った内部の人物からの情報によると、最近のAppleによるLeap Motion買収話は2018年春にほぼ完了しかけたのですが、当時Leap Motionの共同創業者の1人で若者のMichael Buckwald氏とDavid Holz氏による、”消極的な感情”と”おかしな行為”によって、買収のための話し合いが中断されてしまったというのです。

Leap Motionの共同創業者たち。左からDavid Holz、Michael Buckwald

実はその前にも、AppleとLeap Motionは2013年にも1回目の買収に関する会議を行っているということです。当時24歳だったHolz氏がAppleに加入する気持ちはないということを伝えたところ、会議はめちゃくちゃになったということです。証言によると、Holz氏はAppleがイノベーティブではなくなったとし、その技術は”ひどいものだ”とこき下ろし、更にGoogleのAndroidがiOSより優れている点について討論を始めたということです。Appleは各種ARプロジェクトの開発のために、Leap Motionが持つハンドトラッキング技術に非常に興味を抱いていたということですが、Holz氏のおかげでその買収話は台無しになりました。

1回目の話し合いはご破算となったのですが、Appleはその後も何年にもわたって、Leap Motionを買収したいとラブコールを送り続けたといいます。VR/AR技術が日に日に重要性を増すにつれ、その想いは募っていったようです。Leap Motionの元従業員の証言によれば、同社の元従業員のうち一部はAppleに引き抜かれ、現在でもAppleのARプロジェクトの開発に携わっているということです。

最新の噂情報では、AppleはARスマートデバイス(ヘッドセットがメガネのような形態)を開発しているというものがあります。少なくともAppleはARに非常に興味を持っているのは間違いなく、既にARアプリを開発するためのARKitをデベロッパ向けにリリースしているほか、代表のティム・クック(Tim Cook)CEOもよくインタビューでARの潜在能力について興奮して語っていることからそれは明らかです。そこでAppleは今年の初めに再度Leap Motionの買収に動いたのですが、また破談となってしまいました。

今年の春に、Appleは3000万〜5000万ドルでLeap Motionを買収したいと考え、それをLeap MotionのHR部門に伝達し話し合いを行い、従業員に対して招待状まで送っていました。そしてLeap Motionがもうすぐ完了する買収話のお祝いをしようとしたタイミングで、Appleが突然買収話をキャンセルしてきたということです。

Business Insiderによると、Appleがなぜ最後の最後にそのような行動に出たのかについてははっきりしていないとしながらも、1つだけ間違いない事実があるとしています。それは、「創業者が最終的にLeap MotionがAppleによって机上に出された価格よりももっと企業価値があると考えたのだ」というのです。そして今後、Leap Motionでは会議が開かれ、Apple以外との買収話を進めようとしているということです。ただ、Leap Motionはそこに気付くのがちょっと遅すぎたかもしれません。事情通の情報によると、AppleがLeap Motionに提示した最新買収価格が、同社にとっては”最後のチャンス”だったというのです。

Appleは二度もLeap Motionの買収に失敗し、そして”仏の顔も三度”で、また買収話を持ちかけるのでしょうか?1回目と2回目が5年の間隔が空いていますが、もうあと5年後となるとさすがにもう買収する気はなくなっているかもしれません。今後のLeap Motionの身の振り方に注目が集まります。

Appleはよく規模の小さいベンチャー企業を買収することで、その優れた技術を社内に取り込んでいます。1ヶ月ほど前に、AppleはAsaiiとSpektralの2社のベンチャーを買収しました。Asaiiは音楽分析プラットフォームで、AppleはこのテクノロジーをApple MusicとiTunesに取り込もうとしているのは間違いないでしょう。Spektralはリアルタイムに画像や動画の中の物体を分離させることができ、それによっていわゆるグリーンバックスクリーン効果(人物など手前にある物体はそのままに、背景を完全に置き換えることが可能になる効果)が実現します。Appleはこの技術を恐らく今後iPhoneやARデバイスに応用していくのではないかとみられています。

記事は以上です。

(記事情報元:Business Insider

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