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【約9,085億円の損害賠償額評決】AppleのTaptic Engineが特許侵害、Appleは控訴へ

【iPhone】や【Apple Watch】の触覚を生むTaptic Engineを巡る特許訴訟で、米サンディエゴの連邦陪審が2026年9月25日、Appleの特許侵害を認めました。評決書に記された損害賠償額は約9,085億円(57億2,196万1,750ドル)です。Appleは評決と金額に反対し、控訴する方針です。

iPhone 15のTaptic Engine。画像:Apple

特許2件の侵害認定と、故意侵害の判断

今回の陪審評決書では、Taction Technologyの特許2件に含まれる計3つの請求項について侵害が認められました。請求項とは、特許で保護する技術の範囲を記した項目のことです。陪審はAppleによる請求項は無効であるという主張を退けました。一方、Tactionが故意の侵害を立証したかという問いには、否定の回答を出しています。

AppleはAppleInsiderに寄せた声明で、Taptic EngineはTactionの技術と根本的に異なると反論し、控訴する方針を示しました。評決と賠償額についても、事実に裏付けられていないと主張しています。約9,085億円は陪審が算定した賠償額であり、最終的な支払額は今後の裁判手続きに左右されます。

Apple勝訴から再審理へ、分かれた特許の解釈

AppleInsiderによると、訴訟は2021年に始まり、2023年には地裁がAppleの非侵害を認めました。しかし、2025年8月13日の控訴裁判所の判断で取り消され、地裁へ差し戻されています。Taction側の専門家の意見を排除した手続きと、特許の範囲を狭く解釈した点が問題になりました。

技術上の焦点は、動く部分の振動を抑える「減衰」です。特許には磁性流体という液体で動きを減衰させる構造が記され、Tactionは液体とソフトウェア制御を組み合わせたTaptic Engineの動作を侵害の根拠に挙げています。地裁は一定の減衰を機械的な仕組みで達成することを条件にしましたが、控訴裁判所はその限定を退けました。部品とソフトウェア制御を組み合わせた動作も、改めて審理する対象になったのです。

通知の振動から、指に返す操作感へ

Appleは2016年のiPhone 7の発表で、押し込む機械式から変わったホームボタンとTaptic Engineを組み合わせ、精度が高く調整可能な触覚を返すと説明しました。振動が、着信を知らせる役割から「ボタンを押した」という感覚を作る役割へと広がった例です。

Appleの触覚設計の指針でも、短いタップのような刺激と、持続する振動を区別し、強さと鋭さを調整する考え方を示しています。利用者にとっては、同じ振動でも「操作を受け付けた感触」と「知らせ続ける振動」では役割が違います。触覚部品には、振動の強さに加えて、必要な瞬間に始まり、止まる制御が求められます。

当ブログでも、初代Apple Watchの頃からTaptic Engineによる多彩な振動を取り上げてきました。今回の訴訟は、その操作感を支える内部技術に関わっています。

小龍的にはこう思った

小龍的には、Appleが操作感を自社で作り込むほど、権利の確認も部品・制御と一体で考える必要が生じるので、開発は一筋縄にはいかないなと感じます。控訴裁判所が退けたのは、減衰を機械的な仕組みだけに限定する解釈でした。ソフトウェアで振動を整える設計も特許の検討対象に入る以上、部品の構造と制御方法を合わせて権利の範囲と照合する必要が出てきます。膨大な特許をチェックするのは骨が折れる作業ですが、昨今はAIもありますので、ある程度自動化して任せられるようになっているのではないかと思いますが、それでも抜けが出てくることもあるでしょうし、パテント・トロール(特許当たり屋)による重箱の隅をつつくような裁判に付き合わされるのも骨が折れますね。

もちろん、Taction Technologyがパテント・トロールであると特定・断定できるわけではありません。実際に開発を行っていたのに、Appleにアイデアだけ取られて、あとで訴訟を起こしたというパターンもなくはないからです。

今回の評決書が示すのは、特許侵害の認定と賠償額です。利用者への機能停止や買い替えを指示する内容ではありません。購入を検討している人に直接関わることはほとんどありません。実際に権利・特許に支払っているのは売上げの10%程度といわれていますが、その中には恐らくこういった訴訟で賠償金として支払っているものも含まれているのでしょう。Appleにとっては、売上げ全体額からすると吸収できるレベルだからです。2025年の売上げ額は約4,160億米ドル。そのうちの57億2000万ドル。。約1.4%未満です。とはいえすごい額ではあるのですけどね。またAppleは控訴するので、この金額が全額支払われるとは限りません。

以下はBusiness Insiderの少々古い記事による。Appleのデザイナーが1年近くも時間をかけてApple Watchのタプティック・エンジン(Taptic Engine)による振動機能を改良し、腕の上に着けていても通知を逃さないようにした。しかしあなたは知っているだろうか?見たり聞いたりすると非常に簡単に見えるこの振動機能も、当初は実はあの有名な映画のあの道具からインスピレーションを得ていたことを(言わなくても以下の画像を見ればわかるよね)。AP Photo/Marcio Jose Sanchez/Andrew Guyton/Flickr (CC)Apple Watchのタプティック・エン...
Apple Watchの振動のアイデアはなんとあの映画のあの武器からヒントを得ていた!? - 小龍茶館

記事は以上です。

(記事情報元:AppleInsider、米連邦地裁の陪審評決書、米連邦巡回区控訴裁判所。円換算は三菱UFJ銀行の2026年9月25日公表相場を使用。米ドルのTTS159.78円、TTB157.78円から、TTM=(159.78+157.78)÷2=158.78円で算出した参考値です。)

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