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Apple、Intelのモデムチップ事業買収交渉に進展、来週にも交渉成立か

The Wall Street Journal(以下WSJ)によると、Appleは現在、インテル(Intel)のスマートフォン用モデムチップ事業を買収するための交渉を進めているということです。交渉が順調に進めば、10億ドル(約1080億円)以上の価値のある特許と技術者のポートフォリオをカバーする取引が来週にも成立する可能性があります。

Appleとインテルはこれまでおよそ1年の間、モデムチップ交渉を続けていたと伝えられていました。しかしその協議はAppleとクアルコム(Qualcomm)の間の法的論争に和解し、新しい供給契約が締結され、Appleがモデムチップをクアルコムから調達できる目処がついた段階で終了したといわれていました。

インテルはインテルでApple以外の買い手を探し、他の利害関係者を見つけたのですが、結局Appleとの協議終了が伝えられた後、間もなく再開していたようです。

 

Appleとインテル間の協議は昨年の夏に始まりました。前IntelののBrian Krzanich最高経営責任者(CEO)が辞任した頃、この問題に詳しい人々がそう語っています。Krzanich 前CEOは、モデム事業を推進し、5Gテクノロジを将来の大きな収益源として売り出しました。1月にBob Swanがその仕事に任命されたとき、アナリストらは、同氏がインテルの事業整理に焦点を当てるためにモデムチップ事業の損失に対処する必要があるため、Appleとの取引の可能性が高まったと述べています。

WSJが指摘しているように、インテルのモデムチップ事業を買収することで、Appleが自社でモデムチップを開発することで、Appleは最終的にクアルコムへの依存度を下げることになるでしょう。

Appleは少なくとも2018年以来自社独自モデムチップの開発に取り組んできましたが、この技術は今後数年間でiPhoneやiPadで使えるようになるレベルになるとは予測されていません。

インテルは今年4月、Appleとクアルコムが新しい供給契約を発表した直後のタイミングで、5Gスマートフォンモデム事業を終了すると発表しました。それ以来、インテルはスマートフォンモデム事業の購入者を探しています。

Appleは2020年のiPhoneにインテルの5Gチップを使うことを計画していましたが、Intelは設計期限に間に合わず、Appleはインテルに「失望」し、両社の関係が悪くなったと噂されています。

また、Appleはインテルからモデムチップに関わる重要なエンジニアの引き抜きを既に行っていて、実際はかなり用意周到に準備を進めてきたのは間違いありません。

現在のAppleは2020年のiPhoneに供給契約が成立したクアルコムの5Gモデムチップを使用することを計画しており、また将来のiPhone/iPadデバイス用にもクアルコムとのチップの取引を確立しています。

Appleはクアルコムのとの和解に少なくとも5000億円を支払っていて、かなりのお金の動きがあったとみられています。しかしそれに比べればインテルのモデムチップ事業の評価額約1080億円という金額は少ないですし、技術が合法的にApple自社のものになるため、価値のある取引になるといえそうです。

Appleはインテルのモデムチップ事業を買収することで、自社独自のモデムチップの開発時期が短くなるとみられますが、クアルコムとの関係もあるので、すぐに自社チップに切り換えるという訳にはいかないと思われます。具体的にいつからになるかはわかっていませんが、モデムチップの製造委託先はTSMCになるのは間違いないと思われますので、TSMCの動きを見ていればその時期が読めてくるかもしれません。

記事は以上です。

(記事情報元:The Wall Street Journal

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