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Androidの来年2021年の主力チップQualcomm SnapDragon 888プロセッサ、ベンチマークテストでiPhone 12のA14チップに劣る結果に

来年2021年のAndroidスマートフォンの主力となる、Qualcomm(クアルコム)のフラッグシップシステムオンチップ(SoC)、Snapdragon 888。QualcommはSnapdragon 888チップのベンチマークテストを提供したのですが、その結果が皮肉にもAppleの今年最新モデルのiPhone 12搭載のA14 Bionicチップどころか、殆どの項目で昨年の旧モデルiPhone 11のA13 Bionicチップにも劣っていることがわかっています。

Qualcomm Snapdragon 888チップ

Qualcommは毎年、12月中旬に新しいプロセッサを発表し、次の年の1月に行われるCESで発表される製品を先取りするのが例年通りのやり方となっています。ただ今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で発表はオンラインで行われ、またベンチマークスコアもオンラインで提供されました。

Snapdragon 888のベンチマークスコア、iPhoneのAシリーズチップに劣る結果に

Qualcommの新しいフラッグシップチップのSnapdragon 888は、Samsung Galaxy Note 20 UltraなどのAndroidデバイスの現在最新フラッグシップモデルと比較すると良好なパフォーマンスを示しましたが、Appleの最新iPhoneの性能を超えることはありませんでした。しかも、前年のiPhone 11シリーズと安価なiPhone SE 2020(A13プロセッサ搭載モデル)でさえ、新しいQualcommのプロセッサのスコアを上回っているのです。

技術的には、Snapdragon 888にはいくつかの強力な新技術を採用されていて、実際には非常に競争力のあるプロセッサとなっています。例えば、iPhone 12シリーズに搭載されているA14チップが実装しているのと同様のサイズの設計の一部として、Cortex-X1が使用されています。また更にSnapdragon 888には、前世代のGPUよりも35%優れたパフォーマンスが期待されるAdreno 660GPUも含まれています。

Anandtechによる過去の各機種とのCPUベンチマーク比較

AnandtechがQualcommからSnapdragon 888のベンチマークスコアを受け取り、それらを他の製品の既知のスコアと比較しました。1つ目はGeekbench5で、シングルコアおよびマルチコアによるスコアを提供する非常に有名なCPUベンチマークツールです。

それによると、Geekbench5のシングルコアスコアは、前年の919から1135になり、前年比で約23.5%増加しました。しかしこのスコアは1,331をマークしているA13チップのiPhone 11 Proに比べ、恥ずかしい限りのスコアです。そしてマルチコアスコアは前年比で16.9%向上し、3,794というスコアを達成しました。マルチコアではA13プロセッサのスコア3,366を上回っていますが、A14のスコア4,187にはまだまだかないません。

Anandtechによる過去の各機種とのGPUベンチマーク比較

GPUベンチマークは、CPUベンチマークよりも更に絶望的です。Anandtechは、GFXBenchの結果を使用して、これまでのさまざまな製品と新しいSnapdragon888のグラフィックスコアを比較しました。

スコアは1秒あたりのピークフレーム数で表示されるのですが、Snapdragon 888は現在のすべてのAndroidフラッグシップを55%も上回っています。これは異常検出値である可能性もありますが、以前QualcommはGPU性能が約35%向上すると示唆していたため、それを上回るものとなりました。

しかしそれだけパワーアップしても、AppleのiPhone 12やiPhone 11のラインナップと比較すると、低い数値となっているのです。

ただこれらはテスト中のピーク結果であるため、Snapdragonは拡張負荷の環境下で異なるパフォーマンスを示す可能性があります。ただこれらのテストは、実際にSnapdragon 888プロセッサを実行しているデバイスが手に入るまで待つ必要があります。

その他のパフォーマンステストはiPhoneとの比較ができず

更にQualcommはAIパフォーマンステストなどの他のテスト結果も発表しましたが、それらは総じてiPhone 12やiPhone 11のA14・A13プロセッサとは比較できません。というのも、AppleはMac用のM1プロセッサはいうまでもなく、iPhone用のAシリーズチップにも強力なニューラルエンジンを搭載していますが、比較のために適切なベンチマーク結果が公開されていないからです。

その他のパフォーマンステストはiPhoneとの比較ができず

いずれにせよ、Qualcommのフラッグシップチップは、CPUマルチコアスコアを除いて昨年のiPhone 11シリーズのA13チップに劣り、CPUマルチコアスコアもiPhone 12シリーズのA14チップに劣る、という結果になりました。

単純な比較はできないが、AppleのAシリーズチップがやはりすごいという結果に

もちろん動いているOSやアプリなども違うため単純な比較はできないですが、やはりApple独自開発のAシリーズチップやMシリーズチップはずば抜けてすごいということがよくわかる結果となったのではないでしょうか。ちなみにQualcommのSoCもAppleと同様、台湾TSMCに委託生産されています。従って、回路製造プロセスの微細度も同じです。それでこれだけ差が出るということは、やはり設計能力の差と言わざるを得ないのではないでしょうか。

記事は以上です。

(記事情報元:Apple Insider

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