Apple(アップル)の共同創業者で前CEOのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は、
2011年に惜しまれながら癌によってこの世を去った。
Appleはそれによって高い理想と千里眼とカリスマを併せ持つ卓越したリーダーを失っただけではなく、
同社の顔として講演の壇上に立つ千両役者をも同時に失ったことになる。
ジョブズがAppleのCEOだった時、無数の素晴らしい製品発表会のスピーチを行ったことはまだ記憶に新しい。
ジョブズは「スピーチの天才」とも呼ばれたほど講演が得意で、
その計算し尽くされた演説は観客を虜にしたものだ。
しかしそのジョブズがいなくなり、
Apple内部からティム・クック(Tim Cook)がそのCEOの地位を引き継ぎ壇上に立っても、
ジョブズ時代のAppleの製品発表会のあの観客の興奮した叫び声や拍手は聞かれなくなってしまった。
しかしそんな暗く沈んだ雰囲気も、先日6月3日に行われたWWDC2014で収束を告げたようだ。
その雰囲気を打ち破ったのは、Appleのソフトウェア部門担当上級副社長クレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)。
今年のWWDCの基調講演の映像を見たことがある人は(当ブログ記事でYoutubeリンクを紹介している)、
フェデリギが現場の雰囲気をがらっと変えるような情熱の青い炎を持っていたことに気づいただろう。
フェデリギが壇上に上がると、観客から雷鳴のような拍手を送られた。
既にいくつかのメディアはフェデリギを「次世代のジョブズ」と書きたてているほどだ。
フェデリギがここ数年の内で一般大衆の目の前に現れているのは、
2012年と2013年のWWDC基調講演だった。
2012年当時彼は壇上でつばをまき散らしながらOS X Mountain Lionの新機能について紹介したり、
2013年のWWDCではOS X Mavericksの命名をSea Lionと紹介して笑いをとるなど、
印象的なプレゼンテーションを行っていたのが記憶に鮮明に残る。
フェデリギとAppleの関係の始まりは1996年に遡る。
当時フェデリギはジョブズが設立したPCの会社、NeXT社で働いていた。
しかしその後1999年にはNeXTを退職している。
それから10年、2009年にフェデリギは再度Appleに入社し、
Mac OS Xの研究開発に携わり、
その成果からソフトウェア部門担当上級副社長に上り詰めた。
今年のWWDCの基調講演では、
Appleのもう1人の重鎮で、
スティーブ・ジョブズの片腕だったジョニー・アイブ(Jony Ive)による発表がなかったのは寂しい限りだが、
今後このクレイグ・フェデリギがAppleのために素晴らしいプレゼンテーションをしてくれることが期待される。
人々はやはりAppleにカリスマ的な人物の演説を求めているのではないだろうか。
記事は以上。