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ジョニー・アイブがAppleで初めて設計した製品とは

AppleファンやAppleユーザーであってもなくても、
Appleのプロダクトデザインのトップ、
ジョニー・アイブ(Jony Ive)の名前は一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
ジョニー・アイブはAppleの前CEOであった故スティーブ・ジョブズも一目置く存在だった。

iMac、MacBook Air、iPhone、iPad等のデザインは、
彼がAppleで成し遂げた偉大な業績であるが、
それ以前の作品についてはそれほど知られていないようだ。

ではジョニー・アイブがAppleに入って初めてデザインを担当したのはどの製品だろうか。
実はこの製品だ。

見覚えがあるだろうか?
そう、これはあのNewtonの後継製品、「Lindy MessagePad」だ。

伝記作家のLeander Kahneyの新書「ジョニー・アイブ、Appleの偉大な製品の背後の天才」では、
このLindy MessagePadは、iPad等の製品ほど有名ではないが、
ジョニー・アイブがこのLindyに込めた思いはiPad等の製品にも負けないほどだったという。

ジョニー・アイブはこのLindyに、バネの入ったカバーをデザインした。
ユーザーがカバーをタッチすると跳ね上がるような機能になっているのだ。
他にもタッチペンを完全にデバイスの上部に収納できたり、
このタッチペンが折りたたみ式でデバイスと一体となり完全な製品となっているなど、
そのデザインの懲りようにはびっくりだ。

ジョニーは当時のことを振り返り、
Lindy MessagePadのデザイン理念について、
「僕はカバーでデバイスの上面を覆うデザインに拘った。
というのも見た目が速記をする人のノートみたいで、
誰が見たって一目でわかるデザインにしたかったんだ。
タッチペンをなんでデバイスの上部に収納できるようにしたかというと、
この位置が速記をする人のメモを綴じる螺旋状の金具の部分だからね」
と語っている。

彼自身はNewtonのデザインにオルタナティブなものを感じていたため、
Lindyをより親しみやすいデザインに変えたいと考えていたようだ。

Leander Kahneyは本の中で、
最初のデザインコンセプトは発泡スチロールによる模型で作ったという。
ジョニーはたった2週間でそれを完成させ、
それはAppleの中でも最も速かったという。
Lindyが量産の製造に入ったとき、
本当に彼が欲しかったデザインが実現しているかを確認するために、
ジョニーはAppleと提携している台湾メーカーの近くのホテルに泊まったそうだ。

当時Appleの工業デザイン部の責任者だったRobert Brunnerは、
「提携台湾メーカーが彼の求める製品を作るために、
ジョニーは台湾に非常に長い時間滞在した。
製品は非常に綺麗に仕上がり、
彼の仕事の能力が高いことを証明した。
あれは本当にびっくりするようないい製品だったんだ。」
と振り返っている。

Lindy MessagePadは多くの栄誉を獲得し、
サンフランシスコのMuseum of Modern Artにも永久保存された。
しかしそんなLindy MessagePadもいい製品と言われながら、
あまり日の目を見なかった。
というのも、スティーブ・ジョブズがAppleに復帰した後、
まず初めにとった行動がNewton関連製品の製品ラインをやめることだったからだ。

そんなLindy MessagePad、今でも持っている人はいるだろうか?
ヤフオクなどを探してもさすがに出てこない。
私自身はNewton関係の製品は持っていなかったが、
Palm Pilotは持っていて、
スケジュール管理やメモに役立てていた覚えがある。
懐かしい。。

そんな電子手帳デバイスも今や全てスマートフォンに取って代わられてしまった。
時代の流れを感じる。

ジョニー・アイブのデザインは今や世界を席巻し、
今でも多くの熱狂的なAppleファンを生み出している。
これからも素晴らしいプロダクトデザインを我々に見せてくれることだろう。

記事は以上。

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