WWDC 2015で正式に発表されたiOS9。今回のiOS9はiOS8からの改善・改良・修正がみられたが、見た目の大幅な変更やあっと驚く新機能はなく、まるでiOS8のマイナーアップデートバージョンのようだったのが印象的だった。
そして毎回iOSメジャーアップデートで足される新機能は、脱獄ユーザの注目を集める。なぜなら新しいiOSではたいていいくつかの便利な脱獄アプリの機能がコピーされて導入され、該当する脱獄アプリの意味がなくなってしまうからだ。
以下に、Redmond PieがまとめたiOS9の登場によってAppleに殺されるであろう脱獄アプリ・脱獄Tweakを9つほど挙げてみたいと思う。
1. VideoPane
動画のマルチタスクを実現するというのは、もともとは脱獄TweakのVideoPaneで実現できていた。VideoPaneを使えば、iOSのどこでも動画を再生することができていた。他にどんなことをしていようとも、オーバーレイで再生できたのだ。
AppleはiOS9で正にこの脱獄Tweak、VideoPaneをコピーした。上の画像の、iPadで動くiOS9画面右下の動画画面をみれば一目瞭然だ。
2. SearchSettings
SearchSettingsはその名の通り、設定画面に検索ボックスを追加し、設定の項目を検索できるスグレモノの脱獄Tweakだった。機能が多くなりすぎ、あまりに設定が多すぎてわからなくなっていたユーザにとっては非常に助けになるツールだったのだ。
そしてAppleは正にこの機能も脱獄Tweakからコピーし、iOS9に搭載した。設定画面を開いて、下にスワイプするだけで検索ボックスが現れるようになったのだ。
3. SwipeSelection
AppleがWWDC 2015でiOS9にキーボード上でテキストのコピーなどスワイプでできるようにする機能は、脱獄TweakのSwipeSelectionが既に実現していたものだ。
4. ShowCase
新しいiOS9のキーボードでは、大文字と小文字シフトキーで切り替えると上の画像のようにキーボード全体でわかるように変更されたが、この機能は数年前に脱獄TweakのShowCaseが実現していた。
5. BattSaver
iOS9で、省電力モードが追加されることが発表となったが、脱獄アプリではかなり細かくオン・オフが設定できる脱獄アプリ”BattSaver”など様々な省電力アプリがあった。ただ、iOS9では省電力モードの詳細設定がないので、脱獄アプリにもまだ少しは勝算があるかもしれない。
6. Copic
Copicは、連絡先に保存している相手のプロファイル写真をメッセージアプリに表示するものだった。Appleは全く同じ機能をコピーしてiOS9に搭載し、全てのデバイスでできるようにした。
実はiOS8でもiPadやiPhone6 Plusではメッセージアプリで連絡先のプロファイル写真を表示できていたが、その他のデバイスはできなかったのを、Copicが補っていたかたちだった。それをiOS9は全てのデバイスにできるように変えたというわけだ。
7. ReachApp
iPadの画面分割によるマルチタスクがiOS9でようやく実現した。これは全て脱獄TweakのReachAppに感謝すべきだ。ちなみにReachAppではiPadじゃなくても画面分割によるマルチタスクが可能だ。
8. RelevApps
AppleはiOS9で、過去のユーザーの癖を覚えてサーチページにサジェスチョンを行うという大きな機能を発表したが、RelevAppsは同じようなことを脱獄ワールドで既に実現している。iOS9ほど賢くはないかもしれないが、昼と夜にに使ったアプリを覚えていてコントロールセンターに表示するという機能だ。
9. Quick Reply系脱獄Tweak
AppleはiOS9でメッセージアプリだけではなく、他のアプリに対してもクイックリプライ(クイック返信)のAPIを公開した。つまり、LINEやWhatsapp、WeChatなどでもアプリに飛ぶことなく、ロック画面から返信ができるようになるものだ。しかしこれらの機能は既に脱獄Tweakでは実現していた。とはいえ脱獄Tweakはチャットアプリごとに、例えばIMN for LINE/Facebook Messenger、Nuntius for WhatsApp 、そしてQuickReplier for Viberというふうに分かれていた。
画蛇添足 One more thing…
AppleはiOS登場以降から、iOS脱獄アプリや脱獄Tweakを研究していていて、その中から便利と思われるものを新しいiOSに採り入れてきた。iOSは最初の頃は貧弱で、コピー&ペーストさえできなかったのを覚えているだろうか。今や誰もが使っているコントロールセンターや通知センターも、もともとは脱獄アプリやAndroidのアイデアだった。そういった外部のアイデアをどんどん採り入れて、iOSはここまで進化した。iOS7やiOS8ではもはや脱獄はいらないとさえいわれたこともがあったが、私のような脱獄ユーザにとってはまだまだ脱獄の魅力はある(もちろんその魅力はだんだん減ってきたのは間違いないが)。個人的には以下のいくつかの機能は入獄状態でも欲しいところ。
- 一発で起動しているアプリを全部閉じる(Auxo等で実現)
- メモリを根こそぎ解放
- Springtomizeのような全面的に自由なUIのカスタマイズツール
- コントロールセンターのカスタマイズ
- Virtual HomeのようにTouch IDを触るだけで機能が使えるように
- Speed Intensifierのような余計なアニメーションやウェイト時間をなくしてきびきび動くようにする機能
- Androidのような、Springboard上でのウィジェットの実行
これらが全部実現できたら私は脱獄しないと思う。
iOSアップデートは、iOS脱獄ユーザ(JBer、脱獄犯)にとっては鬼門でもある。メジャーバージョンアップでもマイナーアップデートでも、まず最新版は基本的に脱獄ができなくなるからだ。そして更に、メジャーバージョンアップとなると新機能が増えて、上記のようにいくつかの脱獄アプリの機能が入獄状態でも使えることによって脱獄の意味をなさなくなることがあるからだ。後者はもちろん入獄状態で脱獄アプリで使えた便利な機能が使えるに越したことはない(セキュリティ面などにおいて)。しかしやはり脱獄はそれだけではない。。かなり無限に、自由なカスタマイズができるようになるのが魅力でもある。
Appleは現在、新しいiOSをデベロッパプレビュー版としてベータ版を配布している。それならば、ある程度自由にカスタマイズ可能なiOSをデベロッパ限定で公開してみてはいかがだろうか。本来であれば、ハッカーによる脱獄とそれに群がる開発者ではなく、正規のAppleのデベロッパが自由な発想をもってAppleのiOSの未来を作っていった方がよほど健全だからだ。
なお、脱獄は完全自己責任で。
記事は以上。
(記事情報元:Redmond Pie)